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Volume 12, No.1 Pages 9 - 25

1. SPring-8の現状/PRESENT STATUS OF SPring-8

第17回共同利用期間(2006A)において実施された利用研究課題
The Experiments in the 17th Research Period (2006A) at the Public Beamlines of SPring-8

(財)高輝度光科学研究センター 利用業務部 User Administration Division, JASRI

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 第17回(2006A)共同利用は、平成18年3月から平成18年7月にかけて実施されました。共同利用研究課題としては、一般利用研究課題に加えて、重点研究課題が実施されました。特に、昨年度新たに文部科学省が策定した戦略に沿った利用の拡大を図るプログラムとして「先端大型研究施設戦略活用プログラム」が立ち上がり、その中で前回(2005B)から新たに「SPring-8戦略活用プログラム領域」が重点領域指定型として開始されました。また、前回(2005B)まで実施していた重点トライアルユース課題が終了し、それに替わって「重点メディカルバイオ領域」が重点領域指定型として指定され、今回(2006A)から新たに重点メディカルバイオ・トライアルユース課題が開始されました。今回(2006A)の共同利用期間に実施された共同利用研究課題は全部で722件、総実施シフト数は5962.5シフトでした。本期間において実施された共同利用研究課題の内訳は次の通りです。


[一般利用研究課題]

 通常利用課題 441件

 (うち萌芽的研究支援課題 18件)分科会留保シフト課題(生命科学分科) 6件

 緊急課題 3件

 成果専有利用課題 24件

 (うち、時期指定成果専有利用課題 6件)

 1年継続課題 10件

 長期利用継続課題 7件

 (2003B期から開始 2件、2004A期から開始 1件、2004B期から開始 なし、2005A期から開始 1件、2005B期から開始 3件)

 長期利用新規課題 1件


[重点研究課題]

 重点ナノテクノロジー支援課題 61件(561シフト)

 重点タンパク500課題 48件(228シフト)

 SPring-8戦略活用プログラム課題103件(672シフト)

 重点メディカルバイオ・トライアルユース課題7件(60シフト)

 重点パワーユーザー課題(継続)5件(258シフト)

 重点戦略課題(継続) 6件(120シフト)


 今回(2006A)の共同利用では、R&Dビームライン1本を含む共用ビームライン25本のビームタイム、及び(独)理化学研究所ビームライン7本のうちから5本、平成17年10月より専用ビームラインとなった(独)日本原子力研究開発機構のビームライン4本、(独)物質材料研究機構・物質研究所のビームライン1本のビームタイムの一部を利用しました。

 長期利用課題は、2000B期から特定利用課題として開始し、2003B期から名称変更した制度で、3年にわたってSPring-8を計画的に利用する制度です。今回(2006A)の共同利用期間においては新たに採択されたものが1件あり、前回(2005B)からの継続7件と合わせて8件が実施されました。なお、長期利用課題のうち2課題が2本のビームラインを利用しました。

 今回(2006A)の共同利用期間において専用施設で実施された課題は227件(暫定値)でした。専用施設で稼働しているビームラインは合計14本です。専用施設で実施された課題の内訳は、通常利用が202件で、成果専有利用が25件となっています。成果専有利用の内訳は、前回(2005B)は創薬産業ビームライン(BL32B2)で21件、兵庫県ビームライン(BL24XU)で1件、産業界ビームライン(BL16XU)で2件でしたが、今回(2006A)は創薬産業ビームライン(BL32B2)で22件、兵庫県ビームライン(BL24XU)で2件、産業界ビームライン(BL16B2)で1件でした。

 今回(2006A)の共同利用期間における利用者数は、共同利用では4,809人、専用施設利用では1,831人でした。この数はいずれものべの人数です。この結果、これまでの17回の共同利用で実施された合計課題数は7,834件、合計利用者数は49,997人となりました。専用施設で実施された合計課題数は1,946件(暫定値)、合計利用者数は15,569人となりました。専用施設利用を合わせた利用状況を表1及び図1に示します。なお、表1における専用施設の利用課題数は、第10回共同利用期間(2000B)から利用報告書の出ていない研修会等の課題を省いたものとしています。これにより、専用施設の利用課題数は、利用報告書の出ている成果非専有課題数と成果専有課題数の和となっています。



表1 共同利用及び専用施設利用の推移





図1 利用課題数(上)及び利用者数(下)の推移



 今回(2006A)の共同利用期間におけるSPring-8戦略活用プログラム課題を除いた共同利用研究課題について、実験責任者の所属する機関別に研究分野の分類を表2-1に示します。本表では、実施シフト数も合わせて示しています。なお、SPring-8戦略活用プログラム課題については、実験責任者の所属する機関別に分科会別の分類を表2-2に示します。共同利用研究課題の平均シフト数は今回(2006A)が8.5で、前回(2005B)の8.6、前々回(2005A)の8.5と比較してほぼ同じとなっています。

 SPring-8戦略活用プログラム課題については、今回(2006A)の共同利用期間における平均シフト数は6.5で、第1回目である前回(2005B)の6.7と比較してほぼ同じとなっています。SPring-8戦略活用プログラム課題の平均シフト数(6.5)が共同利用研究課題の平均シフト数(8.5)より小さいのは、SPring-8戦略活用プログラム課題が産業利用中心であることによるものと思われます。また、今回(2006A)のSPring-8戦略活用プログラム課題を除いた共同利用研究課題における機関別、分科会単位での研究分野別の課題数、シフト数は、前回(2005B)および前々回(2005A)より多くなっています。これは、今回(2006A)の全利用時間が前回(2005B)および前々回(2005A)より2割位多いことによります。今後新しい共用ビームラインができるまでは、提供できる「のべシフト数」に見合った課題数が実施されるものと思われます。但し、重点研究課題として新たな重点領域課題が導入されたり、課題を公募しない重点パワーユーザー課題および一部の重点戦略課題が1課題あたりで多くのシフト数を使用する場合には、一般課題に割り当てる「のべシフト数」は少なくなりますので状況が変わる可能性があります。



表2-1 2006A期共同利用研究課題の実施課題数と実施シフト数:研究分野と機関別分類


(SPring-8戦略活用プログラム課題は別途表2-2にまとめて示す)




表2-2 SPring-8戦略活用プログラムの2006A期実施課題数と実施シフト数


(分科会別に機関別分類)




 最後に、今回(2006A)の共同利用期間において実施された共同利用課題の一覧を表3-1~表3-7に示します。一般共同利用課題の一覧は表3-1、重点ナノテクノロジー支援課題の一覧は表3-2、重点タンパク500課題の一覧は表3-3、重点メディカルバイオ・トライアルユース課題の一覧は表3-4、SPring-8戦略活用プログラム課題の一覧は表3-5、重点パワーユーザー課題の一覧は表3-6、及び重点戦略課題の一覧は表3-7にそれぞれ示します。ここで、SPring-8戦略活用プログラム課題の一覧(表3-5)において課題名の欄に「公開延期課題」と記載されている課題は、実験責任者から利用報告書公開の延期が申請され最大2年間の公開延期が認められたものです。なお、一般共同利用課題の一覧(表3-1)においても、前回(2005B)から課題名の欄に「成果専有課題」と記載されている課題は成果専有利用課題と時期指定利用課題です。また、表3-1から表3-7のシフト数は第10回共同利用期間(2002B)から実施シフト数としています(それ以前は、配分シフト数としていました)。


詳しくは、PDFファイルをご参照下さい。



Print ISSN 1341-9668
[ - Vol.15 No.4(2010)]
Online ISSN 2187-4794