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Volume 11, No.2 Pages 75 - 76

1. SPring-8の現状/PRESENT STATUS OF SPring-8

先端大型研究施設戦略活用プログラムの公募結果(平成18年度上期)
Results of the Call for Strategic Use Proposals

(財)高輝度光科学研究センター 産業利用推進室 Industrial Application Division, JASRI

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1.プログラムの趣旨

 先端大型研究施設戦略活用プログラムは、我が国が有する最先端の大型研究施設について、その汎用性にふさわしい広範な利用者・領域により、施設の能力を最大限に引き出すような質の高い研究開発を実施し、新技術・新産業を創出していくために、戦略的な活用を推進するものです。


2.対象領域

 広範な利用者および分野の利用を促進する立場から「新規利用者による研究」を最優先とし、「新領域研究」、「重点領域研究」を設定し、これら課題を優先的に採択しております。「新領域研究」としては、コンクリート等建築資材関連、ヘルスケア関連、医薬品原薬関連、高エネルギーESCA(電子分光法)によるデバイス開発、環境負荷物質微量分析関連、耐腐食構造材関連、高密度記録装置関連等を例示し、「重点領域研究」としては、燃料電池研究、次世代半導体研究、フラットパネルディスプレー研究を設定しました。また、産業利用促進のため、産業界利用課題を9割程度、大学・公的研究機関等の利用課題を1割程度とし、50課題程度の採択予定でしたが、応募が多かったことから、74課題を採択しました。なお、地球シミュレータとの併用課題も含みます。


3.応募・採択結果

(1)採択/応募総数:74課題/104課題

 産業界:66課題/95課題(採択率69%)内)併用:2課題応募、2課題採択学・官:8課題/9課題(採択率89%)(公的機関1課題を含む)


(2)分類(課題数) 民 間     学 官

分 類      採択数/応募数  採択数/応募数

新規利用者(初回)13/25 (52%)   3/4 (75%)

新規利用者(2回目)26/35 (74%)   0

新領域研究    26/38 (68%)   2/2(100%)

重点領域研究   23/27 (85%)   3/3(100%)

その他      17/30 (57%)   0

併用課題     2/2 (100%)   0


 産業界の新規利用者採択課題の割合(2回目を含む):59%(39/66=0.59)

 (参考2005B:59% (59/100=0.59))


(3)産業界(利用者企業数)

 採択された新規利用者(2回目を含む)

 39課題/34社(2005B:59課題/47社)

  新規利用者(初回) :13課題/13社

  新規利用者(2回目):26課題/21社

 産業界全体

  採択 66課題/48社

  応募 95課題/64社

 注意)新規利用者と新領域・重点領域研究を各々別に分類しているため、重複している課題がある。


4.傾向

(1)新規利用者

 今回初めての産業界の新規応募課題は1/4程度(25/95=0.26)である。また、当該プログラムでは二回目まで新規利用者として優先的に採用する方針であり、前回の新規利用者の半数以上(35/59=0.59)が続けて応募した。採択結果としては、産業界の新規利用者課題の割合(2回目を含む)は、59%(39/66=0.59)である。SPring-8利用への企業の潜在ニーズと関心の高まりが、広範な産業分野に及んでいるものと推測される。

(2)新領域研究・重点領域研究

 前回、当該施策で急増したヘルスケア関連は勢いを継続しているが、建築資材と医薬品原薬は少ない。一方、今回例示を増やした腐食と記録装置は大体予想通りである。また、前回大多数を占めたその他分野は、1/3程度に激減した。重点領域研究では、燃料電池とフラットパネルディスプレーが多く、次世代半導体が少ない傾向は同じで、申請者もほぼ継続している。(図1)




図1 分類毎の採択課題数



(3) 技術分野

 高エネルギーESCA(光電子分光)、XAFS、X線小角散乱に課題が集中し、結果として特定ビームラインに課題が集中する傾向は変わらない。(図2)




図2 ビームライン毎の採択課題数



5.まとめ

 新規利用者・新規分野の拡大が充分に図れ、施策が有効であった。一方、産業界の利用が少数の特定技術への集中することが明確となり、その対応が次の最重要課題である。



Print ISSN 1341-9668
[ - Vol.15 No.4(2010)]
Online ISSN 2187-4794