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Volume 11, No.1 Pages 27 - 31

5. 告知板/ANNOUNCEMENTS

2005年におけるSPring-8関係功績の主な受賞
Award-winning Achievements on SPring-8 in 2005

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 昨年一年間に、SPring-8関係の研究で受賞した主な功績を以下に紹介します。


「日本放射光学会奨励賞」を矢代航氏が受賞


 日本放射光学会が規定する学術賞等の一つとして,日本放射光学会奨励賞を設けており、若手研究員で放射光科学に関する研究成果を表彰の対象としている。今回、矢代氏は平成17年1月8日に開催された日本放射光学会総会において奨励賞の授与が行われた。


受賞者紹介

 矢代  航  独立行政法人物質・材料研究機構 ナノマテリアル研究室

       (現 東京大学大学院 新領域創成科学研究科 物質系)


功績名:多波回折減少を利用した位相問題の研究とSiO2/Si界面下のひずみの解析への応用


 矢代氏は、単結晶からのX線散乱実験において、X線同時反射条件に近い状態でブラッグ反射の裾にあらわれるcrystal truncation rod散乱強度が、他のブラッグ反射の励起条件の変化に大きく影響をうける現象について詳細な解析および実験を行った。その結果、このcrystal truncation rod散乱強度のX線入射角に対する変調はX線定在波と類似すること、また表面近傍の歪みに敏感なことを示した。また、この現象を利用すると、表面からの2次元回折波の位相を実験的に回復することができることを示した。さらに、この手法を用いてSiO2/Si界面の解析を行い、Si基板側に数百nmにわたって極微小の歪みが生じていることを初めて明らかにし、「静的構造揺らぎ」という新しい構造を発見した。矢代氏の開発した手法は、半導体デバイスなどの表面付近の歪み解析にとってますます重要になるものと評価されたことがが今回の受賞理由である。



「文部科学大臣表彰・科学技術賞(研究部門)」を大阪大学大学院基礎工学研究科 菅滋正教授、今田真助教授、関山明助手のグループ及び独立行政法人理化学研究所播磨研究所 北村英男主任研究員が受賞


受賞者紹介

 菅 滋正 大阪大学大学院 基礎工学研究科 物質創成専攻 教授

 今田 真 大阪大学大学院 基礎工学研究科 物質創成専攻 助教授

 関山 明 大阪大学大学院 基礎工学研究科 物質創成専攻 助手


 功績名:広エネルギー電子による高分解能光電子分光装置の研究


受賞者紹介

 北村 英男 独立行政法人理化学研究所 播磨研究所 主任研究員


功績名:真空封止短周期アンジュレータの研究


 上記記事の詳細は、SPring-8利用者情報Vol.10 No.4 344~347をご参照ください。



「エレクトロニクスにおけるマイクロ接合・実装技術シンポジウム優秀論文賞」を釣谷浩之氏のグループが受賞


 この賞は、エレクトロニクスにおけるマイクロ接合・実装技術シンポジウム(略称Mate)において発表された論文の内で特に優秀と認められたもの、またエレクトロニクスにおけるマイクロ接合および実装技術に関して、学術、工学または生産技術の観点から見て内容が秀ており、社会的貢献が大であると認められた論文に授与するものであり、優秀論文賞、研究奨励賞、技術開発論文賞、開発奨励賞がある。今回、釣谷浩之氏のグループは平成17年5月27日に開催された第77回マイクロ接合研究委員会において優秀論文賞を受賞した。


受賞者紹介

 釣谷 浩之 富山県工業技術センター 中央研究所加工技術課 研究員

 佐山 利彦 富山県工業技術センター 機械電子研究所 主任研究員

 上杉健太朗 財団法人高輝度光科学研究センター 利用研究促進部門 研究員

 土山 明 大阪大学大学院 理学研究科 宇宙地球科学専攻 教授

 安田 秀幸 大阪大学大学院 工学研究科 知能・機能創成工学専攻 教授

 中野  司 産業技術総合研究所 地球科学情報研究部門 情報解析研究グループ 主任研究員

 高柳  毅 コーセル株式会社 第二開発部グループリーダー

 森  孝男 富山県立大学 工学部機械システム工学科 助教授


功績名:放射光X線CT装置によるはんだボール組織の3次元観察


 本研究は、はんだボール中の微小サイズの組織を放射光光源を用いたX線マイクロCT装置により観察し、その熱サイクル負荷による組織の粗大化を詳細に検討している。特に、三次元画像処理による組織を表現できる相成長パラメータを求めており、粗大化への負荷サイクルの影響も明らかにしている。本研究では、従来観察できなかった微細組織の熱サイクル負荷による変化を最新の機器と手法を用いて明確にとらえるとともに、優れた学術的解析も行っている。さらに、得られたCT画像解析成果は、はんだの熱疲労寿命推定の可能性も示唆しており、今後の実用的貢献も大きいと期待される。したがって、本研究は優秀論文賞にふさわしいと認められたことが今回の受賞理由である。



「日本金属学会論文賞」を住友金属工業株式会社 谷山明主任研究員、荒井正浩主任研究員、高山透主任研究員、財団法人高輝度光科学研究センター 佐藤眞直副主幹研究員が受賞


 日本金属学会では、大きな功績のあった者に各種の賞を授与している。今回は、その中で特に優秀な論文に対する賞である論文賞を住友金属工業株式会社の谷山氏、荒井氏、高山氏、財団法人高輝度光科学研究センターの佐藤氏が受賞、平成17年9月に授与が行われた。


受賞者紹介

 谷山  明 住友金属工業株式会社 総合技術研究所 主任研究員

 荒井 正浩 住友金属工業株式会社 総合技術研究所 主任研究員

 高山  透 住友金属工業株式会社 総合技術研究所 主任研究員

 佐藤 眞直 財団法人高輝度光科学研究センター 利用研究促進部門 副主幹研究員


功績名:In-Situ Observation of Growth Behavior of Fe-Zn Intermetallic Compounds at Initial Stage of Galvannealing Process


 溶融亜鉛メッキ自動車用鋼板はプレス加工等の加工性向上のため、加熱合金化処理を行う。この亜鉛-鉄合金相の制御がメッキの品質向上の最重要課題である。今回、谷山氏のグループは、産業利用ビームライン(BL19B2)を用いて、この加熱処理中の合金相の生成過程をX線回折によりリアルタイムで観察した。特に、10秒程度の瞬時に起こる基材とめっき界面の合金相生成初期過程を1秒以下の時間分解で捉え、合金相形成過程のめっき組成や加熱プロセス依存性を明らかにした。これらの功績が今回の受賞理由である。



「日本高圧力学会学会賞」を兵庫県立大学大学院物質理学研究科 赤浜裕一助手が受賞


 日本高圧力学会では、高圧力の科学・技術の進歩に貢献し、内外から高い評価を受けた者に学会賞、奨励賞、功労賞を贈り、これを表彰している。今回赤浜氏が受賞したのは、学会賞である。

 平成17年10月30日、室蘭工業大学において第46回高圧討論会が開催され、授与式及び受賞記念講演が行われた。


受賞者紹介

 赤浜 裕一 兵庫県立大学大学院 物質理学研究科 助手


功績名:マルチメガバール領域での圧力誘起構造相転移と圧力スケールの研究


 赤浜氏は放射光を利用して、酸素分子の金属化など超高圧下で出現する驚異の物質状態を次々と発見した。地球の中心に匹敵する300万気圧もの超高圧下では、物質は1気圧とは全く異なる状態・構造を示す。超高圧下で物質の状態・構造を調べることは物質の性質と構造の関係を理解し、高温超伝導体などの新しい物質を開発する上で重要な研究であるが、数百万気圧まで加圧できる物質の大きさはミクロンサイズと極めて微小となり、その状態・構造を測定することは従来技術では困難であった。そこで、赤浜氏は300万気圧の超高圧発生技術を独自に開発するとともに、世界最強の放射光源であるSPring-8の高圧構造物性ビームライン(BL10XU)を利用して、圧力スケールを確立し、超高圧下の状態・構造研究において数多くの優れた成果を挙げた。これらの成果はアメリカ物理学会誌を中心に数多くの研究論文として発表され、SPring-8が超高圧科学の研究拠点として国の内外から高い評価を得られた。これらの功績が今回の受賞理由である。



「日本結晶学会賞学術賞」を山本雅貴氏が受賞「日本結晶学会賞西川賞」を菊田惺志氏が受賞


 日本結晶学会では、結晶学の進歩発展に寄与し、その業績が特に顕著な者に学会賞を贈りこれを表彰している。今回、山本氏及び菊田氏が受賞したのは、学術賞及び西川賞であり、学術賞とは「50歳以下の結晶学会員で、結晶学に関する独創的な研究をした方」に、同西川賞は「長年に亘って結晶学に対する貢献が特に優れている方」にそれぞれ賞を授与している。

 平成17年12月6日、イーグレひめじにおいて2005年度年会および総会が行われ、そこで表彰式が行われた。


受賞者紹介

 山本 雅貴 独立行政法人理化学研究所 播磨研究所

       放射光科学総合研究センター 研究技術開発室長

       財団法人高輝度光科学研究センター 利用研究促進部門 副部門長


功績名:トリクロマティック多波長異常分散法およびデータ収集の自動化に関する開発研究


 菊田 惺志 財団法人高輝度光科学研究センター 参与


功績名:回折物理学と放射光科学の推進


 学術賞に輝いた山本氏はSPring-8立ち上げの頃からタンパク構造解析のための測定装置やビームラインの開発を行ってきた。理研構造生物学ビームラインⅠ(BL45XU)において、トリクロマティック多波長異常分散法の開発を行うとともに、理研構造ゲノムビームライン(BL26B1/B2)では、サンプルを自動で交換するためのロボットを作り、利用者が常駐するのではなく、測定装置が自動的に測定を進めて行くシステムを作り上げた。これまで、タンパク構造解析測定では測定者が徹夜でサンプルの交換を行っていたが、山本氏が作った装置によって利用者はある一定の間、サンプルを交換することなく実験を行うことができ、実験の効率化に大きな進歩があったことが今回の受賞理由である。菊田氏は、完全結晶でのX線回折の実験的研究により、現代X線光学の基礎を作った一人である。また、日本で最初のX線放射光施設である筑波のフォトンファクトリー(PF)建設計画に尽力した。PFで多数の先駆的な仕事を行った後、SPring-8建設計画時にはSPring-8利用者懇談会会長として全国の利用者の先頭に立って計画を推進するとともに、X線光学研究と放射光科学の発展に尽力した。これらの功績が今回の受賞理由である。



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[ - Vol.15 No.4(2010)]
Online ISSN 2187-4794