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Volume 11, No.1 Page 1

新年ご挨拶
New Year’s Greeting

川上 哲郎 KAWAKAMI Tetsurou

放射光利用研究促進機構 (財)高輝度光科学研究センター 会長 Organization for the Promotion of Synchrotron Radiation Research, Chairman of JASRI

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 皆さま あけましておめでとうございます。
ご家族お揃いですがすがしい新春を迎えられましたことを、心からお慶び申し上げます。

 21世紀に入ってわが国の政治、行政、社会の枠組みと制度が大きく変わりつつありますが、当財団におきましても昨年10月1日を期して、原子力研究所が経営から離脱し、当財団と理化学研究所の二者体制となりました。
 今後二者間の意思疎通を深め、利用者の利便性を重視した効率的な経営管理を進め、日本の科学技術の発展に貢献することが、新時代における当財団の使命でありましょう。

 さて、世紀の研究施設であるSPring-8は運転開始以来早くも8年を経過し、現在48本のビーム・ラインが稼働、年間延べ1万人の研究者が1400件の研究課題に取り組んでおり、8年間の累計では5万3千人、課題8千件と年々規模は拡大、対象も深みを増し、次世代施設の必要性が高まりつつあります。

 これまでの成果を見ましても、学界における学術論文から産業界の製品開発に至るまで、実に幅広く多岐な分野にわたっており、各方面から高い評価を受けております。特に昨年は産業利用に結びつく「目に見える成果」が相次いで発表されました。例えばナノ構造の素子実現に欠かせないシリコン内細線の敷設やゴミ焼却時におけるダイオキシンの発生過程の解明などは、ほんの一例であります。また、国の新政策として、SPring-8の産業利用促進のため、「大型研究施設戦略活用プログラム」がスタートし、予想を上回る多数の応募を頂いたことは、近未来における更なる成果が期待されるものでありましょう。

 本年4月から科学技術基本計画の第3期が始まることを受けて、SPring-8においても国際評価委員会を設立し、国際的な視点からの評価を頂くことにしており、この結果はこれからのSPring-8の運営と方向付けを決めることになりましょう。こうした動向を踏まえながら私どもはわが国の技術創造立国に聊かなりとも貢献する決意でありますので、皆さま方の変わらざるご支援、ご協力をお願いして新春のご挨拶といたします。



Print ISSN 1341-9668
[ - Vol.15 No.4(2010)]
Online ISSN 2187-4794