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Volume 10, No.2 Page 97

1. SPring-8の現状/PRESENT STATUS OF SPring-8

−長期利用課題分科会−
– Long-Term Proposal Subcommittee –

佐々木 聡 SASAKI Satoshi

東京工業大学 応用セラミックス研究所 Materials and Structures Laboratory, Tokyo Institute of Technology

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 長期利用研究制度は、ビームタイムを集中的・計画的に利用することで顕著な成果が期待できる課題に対し、最大3年間の長期利用を可能にするシステムです。一般利用研究課題の枠内にあり、選定されますと、ビームタイム配分枠の20%までを限度に優先的に利用できることになっています。この制度を利用するためには、一般の課題の選定基準に加えて、長期的なビジョンで研究が明確に捉えられていること、また、長期的に利用することによって単発の実験では無理な傑出した成果が得られると期待できることなど、いくつかの用件を満たすことが要求されます。書類審査に続く面接審査に始まり、中間評価・事後評価ともにヒヤリングによる評価が入ってきますので、課題申請者のみならず審査員にとっても負担の大きい作業です。マシンタイムを上限20%まで優先的に配分するわけですから、一般ユーザーに対する影響も大きく、厳格な選定を実施しています。また、審査結果は、理由を付して公表されます。現在までに、瀬戸課題(2000B)、田村課題(2000B)、早川課題(2000B)、高田課題(2001A)、菅課題(2001B)、小泉課題(2002A)、守友課題(2002B)、巽課題(2003A)、Cramer課題(2003B)、村上課題(2003B)、小賀坂課題(2004A)および、Fons課題(2005A)の12課題が長期利用研究制度で選定されました。

 長期利用研究課題は実験開始後1年半から2年で中間評価を受けます。書類およびヒヤリングによる審査により、利用研究の進捗状況の報告を受け、当初計画と実施状況を評価し、3年目の利用が適当かどうかを判断されます。

 長期利用課題による研究の目的達成度等を把握するために事後評価を実施することになっています。事後評価の一環として、実験を終了した後に開催されるSPring-8シンポジウムで、得られた成果が取り纏めて発表されます。この2年間には、初期の5課題が事後評価の対象となりました。2000B期に開始した瀬戸課題(BL09XU)、田村課題(BL04B1、B L 2 8 B 2 、B L 0 4 B 2 、B L 3 5 X U )、早川課題(BL39XU、BL37XU)は、2003A期で実験が終了し、2003年11月12日開催のSPring-8シンポジウムで、ユーザーに公開された形での成果発表と質疑応答が行われました。同様に、2001A期に開始した高田課題(BL10XU)と2001B期に開始した菅課題(BL25XU)については、2004年10月18日開催のSPring-8シンポジウムの中で発表と質疑応答が行われました。SPring-8シンポジウムに引き続き、事後評価委員会による評価が別室で行われました。評価結果は、諮問委員会の了承を得た上で公表されます。また、実験責任者は、長期利用課題の成果をアピールするため、利用者情報誌にわかりやすい解説記事を掲載するよう求められます。

 本分科会は、各期ごとに面接審査とヒヤリングによる中間評価をSPring-8のサイトで行っており、分科会委員の方には多大なご無理をお願いしてきました。また分野によっては、分科会委員以外の方にも審査をお願いしました。ご協力に対し厚くお礼を申し上げます。色々とありがとうございました。



佐々木 聡 SASAKI Satoshi
東京工業大学 応用セラミックス研究所
〒226-8503 横浜市緑区長津田町4259
TEL:045-924-5308 FAX:045-924-5339
e-mail:sasaki@n.cc.titech.ac.jp



Print ISSN 1341-9668
[ - Vol.15 No.4(2010)]
Online ISSN 2187-4794