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Volume 10, No.1 Page 1

新年ご挨拶
New Year’s Greeting

吉良 爽 KIRA Akira

放射光利用研究促進機構 (財)高輝度光科学研究センター 理事長 Organization for the Promotion of Synchrotron Radiation Research, President of JASRI

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 あけましておめでとうございます。利用者の皆様には、お元気で良い新年をお迎えのこととお慶び申し上げます。

 年の初めにあたり、「成果の向上」を今年の目標として掲げたいと思います。今更何を改めて、と感じる向きも少なくないと思いますが、あえてそれを言うのは、それが、利用の全盛期のSPring-8にとって一番重要であるばかりでなく、広く将来の放射光施設の運命、次世代の放射光施設の建設への世論にまで影響すると考えるからです。SPring-8はその建設の経緯からして、成果を期待されている施設です。共同利用というと、喧嘩せずに皆で仲良く利用することが目的であるというような風潮があったように感じますが、SPring-8ほどの施設では、仲良く使うことより、成果を最大化することが優先すべきものと信じます。

 優れた成果を挙げるための大切なポイントとして課題の選定があります。共同利用の課題選定をJASRIが行っていると思っている方が意外と多いのですが、これは、諮問委員会の下にある外部の課題選定委員会が行っています。審査委員の大変な仕事を思うと、審査について軽々に意見を述べるのにはいささかのためらいはありますが、現在のSPring-8の課題審査が、利用者の多様な価値観に十分対応しているか、また、成果を課題審査に反映していないのではないか、などについては再考の余地があります。一部についてはすでに検討が始まっているとのことで期待を持って見守っています。また、判断の基準が放射光実験技術本位になりがちではなかったかとの自省をこめて、それぞれの利用分野の指導的立場にある放射光の非専門家に審査に加わっていただくことが適切であろうと思います。

 放射光の利用全体、特に今利用されていない有望分野の開拓と言うのは、たとえば学会などで十分な議論がされて、その結論を、学会が国の科学技術政策に反映させる努力をするとか、もう少し小さい事柄はJASRIが消化して将来の設計をしてゆくのが望ましい姿であろうと思います。放射光学会の中にそのような動きが芽生えていることに私は大きな期待をかけています。そのような、大きな戦略がないと放射光利用研究の社会は、これから先の社会の変化の中で発展してゆくことは困難です。科学技術予算全体が増えているときに、放射光社会はその恩恵に全然あずからないなどと言う事態にならないよう、利用者と施設が力をあわせてこの素晴らしい施設を発展させてゆくことを願っています。



Print ISSN 1341-9668
[ - Vol.15 No.4(2010)]
Online ISSN 2187-4794