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Volume 18, No.1 Pages 18 - 20

2. ビームライン/BEAMLINES

産業利用ⅢビームラインBL46XUにおける測定代行の実施について
Measurement Service at Engineering Science Research III Beamline (BL46XU)

本間 徹生 HONMA Tetsuo、陰地 宏 OJI Hiroshi、小金澤 智之 KOGANEZAWA Tomoyuki、佐藤 眞直 SATO Masugu

(公財)高輝度光科学研究センター 産業利用推進室 Industrial Application Division, JASRI

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1.はじめに
 2012B第2期(12月)より、産業利用ⅢビームラインBL46XUにおいて、新たに
○硬X線光電子分光(HAXPES)測定代行
 測定手法:HAXPES:Hard X-ray Photoemission Spectroscopy
○薄膜評価(GIXD/XRR)測定代行
 測定手法:GIXD:Grazing Incidence X-ray Diffraction、XRR:X-ray Reflectivity
を開始しました。



2.JASRI産業利用ビームラインでの測定代行
 測定代行は、ユーザーから送付された試料をJASRI担当スタッフがユーザーに代わってSPring-8を利用した測定を行うものです。ユーザーのSPring-8への来所は任意としており、当制度は放射光利用に熟練した専門家を確保することが困難な企業や研究組織等への利便性拡大と即時利用のニーズへの対応を目的としています。
 JASRI産業利用推進室が運営・管理を行うビームラインでは、2007B第2期からBL14B2においてXAFS測定代行と、2009B第2期からBL19B2において粉末X線回折測定代行が実施されています [1] [1] 廣沢 一郎:SPring-8利用者情報 Vol.15, No.3 (2010) 163-165.。2時間単位利用・随時募集・立ち合い不要(立ち合いをする場合でも少数の来所ですむ)などの点が高く評価されており、期毎に35件程度の測定代行が実施されています(図1)。2012B期は12月末までで32課題が実施され、期全体で45課題が実施される予定となっており増加傾向にあります。また、応募が実施枠を上回る場合があるなど測定代行への期待が高まっています。更に、SPring-8研修会やSPring-8利用推進協議会主催の研究会において実施されたアンケートでは、新しい測定手法へ拡大することの要望の高さが伺える結果となっています。そこで測定代行をBL46XUで共用している測定手法のHAXPES(Hard X-ray Photoemission Spectroscopy)とGIXD/XRR(Grazing Incidence X-ray Diffraction / X-ray Reflectivity)にも拡大します。



図1 XAFS(BL14B2)および粉末X線回折(BL19B2)測定代行の課題数


3.新規測定代行のビームライン、測定手法、対象とする試料
3-1 対象ビームライン
 今回新たに測定代行を開始した産業利用ⅢビームラインBL46XUは、産業界による放射光利用の促進を主な目的とする、標準型真空封止アンジュレータ光源を用いたビームラインです。光学ハッチにはSi(111)を分光結晶とする二結晶分光器とRhコート横集光ミラー、チャンネルカット分光器(HAXPES測定時のみ使用)が設置されています。実験ハッチには硬X線光電子分光装置と多軸X線回折装置を常設しています(図2)。



図2 BL46XU第一ハッチに設置されている硬X線光電子分光装置と多軸X線回折装置。硬X線光電子分光装置ではHAXPES測定代行を、多軸X線回折装置ではGIXD/XRR測定代行を随時受付けている。2013年4月からは硬X線光電子分光装置は第二ハッチに移設する。


3-2 測定手法、対象とする試料
 測定手法はHAXPESとGIXD/XRRです。生物(動物・植物・微生物)試料や取扱いに際し国または県の許可が必要な物質等は対象外とします。測定用の試料調製はユーザーに行っていただき、JASRI担当スタッフは送付された試料、または立会い者が持ち込んだ試料を機器にセットし、ユーザーとの事前相談で決められた条件で測定を行います。



3-2-1 HAXPES
 HAXPESはSPring-8の高輝度放射光を利用することで硬X線による光電子分光測定を行う技術で、硬X線により励起された脱出深度の深い高エネルギーの光電子を利用して、深い材料内部の電子状態分析を可能としています。例えば、SiO2の場合、光電子の非弾性平均自由行程は、AlをターゲットとしたX線光源を用いたラボ装置では4 nm程度となりますが、BL46XUで主に使用されているX線のエネルギー(8 keV)では16 nm程度となり、光電子の脱出深度が数倍程度となります。装置にはVG-Scienta社のR4000電子エネルギー分析器を使用しています。入射X線のエネルギーは8 keVです。測定試料は基板上の薄膜などの固体試料で現有装置の試料ホルダーに取り付けることが可能なものに限ります。以下の試料・測定は測定代行対象外とさせていただきます。
(ⅰ)ガスや水分を含む試料など、装置の真空度に悪影響を与えることが懸念される試料
(ⅱ)絶縁物等、帯電の可能性がある試料(中和銃を用いた測定は行いません)
(ⅲ)真空ベッセルを用いた試料移送
(ⅳ)その場測定
なおHAXPES測定には真空引きに1~2時間程度要するため、利用最少時間を4時間とさせていただきます。試料調製についての詳細は次のURLをご参照ください。
http://support.spring8.or.jp/HAXPES/s-haxpes_manual.pdf



3-2-2 GIXD/XRR
 SPring-8アンジュレータ光源からの高輝度X線を利用し、GIXD/XRRを測定手法とした薄膜評価を実施することができます。測定装置にはHUBER社製多軸X線回折装置を使用しています。GIXD/ XRRはX線回折/散乱を利用した薄膜評価手法として広く用いられており、基板上に成膜された薄膜の結晶性・配向性、薄膜膜厚などを評価することができます。入射X線のエネルギーは原則12.39 keV(波長1 Å)です。試料はシリコンやガラス基板などに成膜された薄膜に限ります。測定は原則室温・大気中で行います。
測定方法についての詳細は次のURLをご参照ください。
https://support.spring8.or.jp/daikou/bl46xu_huber _measurement_service_info_20121108.pdf



4.利用料金、申込方法等
 測定代行は「成果専有時期指定課題」の一形態として取り扱い、ビーム使用料および消耗品実費負担に関しても、成果専有時期指定課題に準じた金額となります。また、得られた成果を独占的に専有することができ、利用申請内容に係わる機密は保持されますので、情報を開示することなく研究開発等を進めることが可能です。



4-1 利用料金
 利用料金は、次の1)および2)の合計金額となります。
1)ビーム使用料
 ご利用時間はまずJASRI担当スタッフと十分に事前打合せを行っていただき、必要ビームタイムとビーム使用料(時期指定利用 成果専有時期指定料金相当:180,000円/2時間)を算出いたします。
2)消耗品実費負担相当額
 消耗品実費負担相当額として、定額分(2,575円/2時間)および従量分(測定代行中に使用した消耗品等の金額)を算出します。



4-2 申込方法
 測定代行の申込みは随時受け付けています。申し込みの詳細は下記のURLをご参照ください。
HAXPES測定代行
http://www.spring8.or.jp/ja/users/proposals/call_for/indu_haxpes_substitu
GIXD/XRR測定代行
http://www.spring8.or.jp/ja/users/proposals/call_for/indu_xrd_substitu
 測定手法毎にご相談フォームがあり、上記URLにリンクがあります。まずはフォームに必要事項を記入し送信してください(Web入力)。



5.その他
 申込み方法や、試料の事前調製、測定条件など不明な点がございましたら、下記のメールアドレスにご連絡ください。
HAXPES測定代行
daikou46-haxpes@spring8.or.jp
GIXD/XRR測定代行
daikou46-xrd@spring8.or.jp



参考文献
[1] 廣沢 一郎:SPring-8利用者情報 Vol.15, No.3 (2010) 163-165.



本間 徹生 HONMA Tetsuo
(公財)高輝度光科学研究センター 産業利用推進室
〒679-5198 兵庫県佐用郡佐用町光都1-1-1
TEL:0791-58-0924
e-mail:honma@spring8.or.jp

陰地 宏 OJI Hiroshi
(公財)高輝度光科学研究センター 産業利用推進室
〒679-5198 兵庫県佐用郡佐用町光都1-1-1
TEL:0791-58-0924
e-mail:oji-h@spring8.or.jp

小金澤 智之 KOGANEZAWA Tomoyuki
(公財)高輝度光科学研究センター 産業利用推進室
〒679-5198 兵庫県佐用郡佐用町光都1-1-1
TEL:0791-58-0924
e-mail:koganeza@spring8.or.jp

佐藤 眞直 SATO Masugu
(公財)高輝度光科学研究センター 産業利用推進室
〒679-5198 兵庫県佐用郡佐用町光都1-1-1
TEL:0791-58-0924
e-mail:msato@spring8.or.jp



Print ISSN 1341-9668
[ - Vol.15 No.4(2010)]
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