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Volume 09, No.3 Pages 228 - 231

4. 談話室・ユーザー便り/OPEN HOUSE・A LETTER FROM SPring-8 USERS

故郷、書写山を訪ねて
Our Hometown, Mt. Shosha

藤川 葉子 FUJIKAWA Yoko

(財)高輝度光科学研究センター 総務部 Personnel Section General Affairs Division, JASRI

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はじめに

 映画『LAST SUMURAI』ですっかり有名になった書写山ですが、書写中学校(現在は移動して姫工大の敷地になりました)を母校とする私にとって、書写山は、遠足や冬のマラソン大会に活用されていた身近な山です。山頂付近は、何時間も十分楽しめる広いお寺の境内になっています。

 久しぶりに、この思い出がつまった書写山に登って、「ぶらり散歩道」コーナーで書写の自然と歴史を少しご紹介してみたいと思います。

 2年ほど前にも、このコーナーで、尾崎さんから、書写山の和泉式部の歌塚などを取材されていましたので、重複するところがありますが、お許しください。


書寫山 圓教寺

 西国第二十七番札所・天台宗・書寫山圓教寺は、西の比叡山とも言われ、壮大な伽藍が集まる立派な寺院です。鎌倉、室町時代の建築様式を残す国や県の指定重要文化財を多く持つため、日本各地や世界からも観光客や参拝者が絶えない姫路の名所のひとつとなっています。


刀出参道

 書写山は、SPring-8の三原栗山より少し高い標高371mです。

 書写山に登るには、4分ほどで上がってしまうロープウェーの他、6箇所の参道があります。参道によっては、岩場になっていたりして、アップダウンが違うようです。

 今回、私たちは、西側の刀出参道(近畿自然歩道)から登ってみました。刀出参道は、公共の交通機関が通じておらず、ローカルな参道かもしれません。(地図を参照してください)ですが、30分強ほどで、沢沿いを手軽に登れるお勧めのぶらり散歩道コースです。(写真1)




写真1



 この日(3月半ば)は、ひんやりした空気と杉林に囲まれ、沢の流れが心地いいハイキングとなりました。この時期は、ウグイスの声が聞こえ、サカキ、クロモジの花を楽しみながら登ることができます。登る途中、6名くらいのパーティーにあった以外、特に迷うことなく楽に登ってくると、播磨灘や姫路平野を一望できる展望台へ。


展望台広場

 遠足に来た子どもたちがお弁当を食べたり遊んだりする広場と眺めのいい場所があります。今は映画のおかげで有名になってしまい、観光客が増えたようですが、この場所は休日でも人が少なく、癒しのスポットです。

 ここからは、天気が良ければ、夢前川や広畑、飾磨の工場地帯を見ることができ、今日も煙をもこもこあげながら活動している阪神工業地帯を実感することができました。先の瀬戸内海は、家島や男鹿島、上島が見え、天気がよければ、小豆島も見えます。(写真2)お弁当をいただいてから、早速、小道を抜けて境内に向かいましょう。




写真2



法華堂

まずは、康保3年(966年)書寫山圓教寺の開山者、性空上人がお経をよんで修行をしたといわれる小さなお堂、宝形造の法華堂に出会います。それから、野鳥の声を聞くための集音器をレンタルできる新しいお茶屋さんを発見しました。どんなのか今度は試してみたいですね。(写真3)




写真3



書寫山境内、主役の摩尼殿へ

 さらに境内の方にむかうと、五分程で書寫山の主役、摩尼殿に到着。

 舞い下りた天女が桜の霊木に生木のまま如意輪観音を刻み、その上に建てられたのが、この巨大なお堂といわれています。京都の清水寺に似た舞台造りの建築は、いつ見ても圧巻です。(写真4)まわりには勇壮な大木の老杉やイチョウなどの落葉樹に囲まれていますので、一層神聖な雰囲気を漂わせています。この辺りは、紅葉でも有名なのだそうです。




写真4



今度は秋に登りましょうか。

 摩尼殿の本尊、如意輪観音は、1月18日にしか、開扉されないそうですが、治してほしいところを撫でると治してくれるといわれる賓頭盧(びんずる)さんが安置されています。少し怖い顔をしていますが、拝観できますので、治してほしいところを撫でてみましょう。(写真5)拝殿では、天台宗のお坊さんが熱心に勤行をされていました。

 お堂の縁側にでると、お堂の高さを体感できます。高所恐怖症の人は怖いかもしれませんが、清水寺と言われる所以がわかりますので是非行って見ましょう。床が少し斜めになっているせいか、手すりを掴んでも、とっても怖いです。山の上に、よくこのような立派なお堂を建てられたなあ、って、つくづく感心します。




写真5



白山権現

 摩尼殿をあとに、白山権現(はくさんごんげん)という山頂に向かいました。途中、岩場で、理解に苦しむ環境庁・兵庫県の看板を横目にしながら、スサノオノミコトを奉った社に到着。書写山は、性空上人が開山した平安時代以前から崇められていたようです。随分、古いのですね。そして、ここが頂上の371mです。

 引き返して、はづき茶屋の横に架かっている湯屋橋をとおり、一路、仁王門の方へ。

 途中、圓教寺会館という建物があります。この建物は姫路の小学生の自然学校に使われる宿泊施設となっていると思います。

 さらに、樹齢何百年もある老杉林を下っていくと、毎年多くの人が訪れる初日の出スポット、絶景のお立ち台に。

 書写山は、毎年、大勢の人が、大晦日や元旦、お正月に訪れ、中には一夜を明かす人もいます。新年は、はづき茶屋で甘酒がふるまわれ、薪で暖を取り、寒さを凌ぐことができます。

 この参道には、以前は、いまにも死んでしまいそうな水簿らしい牝馬がおり、馬車がこの広い境内を走っていたのですが、いつの間にか、マイクロバスに変わっていたのは、少し風情がなくなった気がして残念でした。馬も山の上しか知らずに一生を送ったらかわいそうだから、仕方がないですね。ということで、私たちは、帰りに、このバスを利用してみようと思いチケット売り場に行きました。しかし、このバスは、ロープウェーを使うお客様用で、しかも往復(700円)にしか利用できないという融通の利かないシステムでした。 納得できないな~と不満をいいながら来た道を戻り、『LAST SUMURAI』のロケに使われたという三つの堂と奥の院へ。ちなみに、ロープウェー側から来ると、参拝料300円も必要な様です。


三つの堂

 三つの堂とは、食堂(じきどう)大講堂、常行堂です。食堂には、色々な展示物が展示されており、一見無愛想に見えた親切なチケット(200円)売りのおじさんの説明を聞くことに。このおじさんは、トム・クルーズが有名だと知らなくて、写真を撮り損ねたことを後悔されていました。その話が終わるとようやく中に入れていただくことに。

 この食堂は、一枚以外、すべて蔀戸(しとみど)になっていて、一度に開くことができます。(写真6)桁行十五間と並外れた長大さ故に「長堂」ともいわれ、学問の道場とか僧の合宿所に使われたようです。そして二階には、性空上人の像がありました。(写真7)

 大講堂は、圓教寺の本堂で、こちらも学問と修行の場です。和様を基調として一部に唐様を加えた室町時代の折衷様式の建築だそうです。中の須弥壇には本尊の釈迦三尊像が安置されています。

 常行堂では、何年か前に、オカリナ奏者の宗次郎「奉納コンサート」が行われたりしたようです。




写真6




写真7



奥の院

 映画では勝元(渡辺謙)の道場として使われてた奥の院・開山堂ですが撮影時は、庭先に桜が咲いていて、とても綺麗に撮影されていたと思います。また、年に何度か、雪景色をみることができたりして、この辺りは写真家やスケッチする人が途絶えないスポットでもあります。


弁慶の鏡井戸

 言い忘れましたが、食堂の横には、小さな池があります。鎌倉時代の豪傑僧、弁慶が幼い頃、昼寝をしている間に、喧嘩好きの信濃坊戒円に「足駄」と書かれ、なぜ皆が笑うのかわからず、その池で自分の顔を映して原因が分かったといわれています。(写真8)




写真8



 私も子供のときからいつも自分の顔を映して、字が見えるか、想像しながら確認していたのですが、池に落ちそうになるか、どうしたら見えるのだろうと思って疑った、懐かしい思い出のある小池です。今日も同じようにして見ましたが、やっぱり字までは見えないみたい…。

 主な書寫山圓教寺の有名な建物は、このくらいでしょうか。はやくも16時をまわってしまい、下山しなければならなくなりました。これだけ見るのにも、4時間ほどかかりましたので、ずいぶん書写山って広いものですね。


おわりに

 今回の執筆にあたり、今までに利用者情報で紹介された「ぶらり散歩道」シリーズを一読させていただきました。子どもの頃は、田舎で何もないイメージしかなかった播磨の地ですが、いろいろな歴史や情緒あふれる場所が紹介されていて、地元の奥深さを見直すきっかけとなりました。

 今回の書写山ひとつとっても、まだまだ歴史のある小さな建物などが散在していて、十分紹介できていませんが、気軽に何度も訪れて、四季折々の書写の自然と歴史を楽しんでいただければ幸いです。




赤線:今回、歩いたコース



参考文献

http://www.shosha.or.jp/

http://www.e-himeji.com/engyo-zi.htm

http://www.lastsamurai.jp/

http://www.shosha.or.jp/syukyou/main/tera/rekisi/rekisi.htm


藤川 葉子 FUJIKAWA Yoko

(財)高輝度光科学研究センター 総務部 人事課

〒679-5198 兵庫県佐用郡三日月町光都1-1-1

TEL:0791-58-0956 FAX:0791-58-2794

e-mail:yokof@spring8.or.jp



Print ISSN 1341-9668
[ - Vol.15 No.4(2010)]
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