Volume 09, No.3 Pages 174 - 177
1. SPring-8の現状/PRESENT STATUS OF SPring-8
2004B ナノテクノロジー総合支援プロジェクト対象課題の募集について
Call for the Beam Time Application for Nanotechnology Experiments
財団法人高輝度光科学研究センター(以下JASRIという)は日本原子力研究所(以下原研という)および物質・材料研究機構(以下物材機構という)とともに、文部科学省が平成14年度から開始した、「ナノテクノロジー総合支援プロジェクト」のうち「放射光を活用した解析支援」を行う機関として、SPring-8の放射光特性を活用すれば特に高い成果が得られるテーマのナノテクノロジー研究課題について支援を行います。本支援についての詳細はホームページ(http://www.spring8.or.jp/nano_tech/)をご参照ください。
支援対象課題の申請受付、選定等は原研および物材機構のビームラインを利用する課題も含めJASRIが一元的に行います。2004B利用期間(平成16年9月23日~平成17年2月中旬)について以下の要領でご応募ください。
(※平成16年3月5日支援テーマN10が改訂され、支援テーマN13、N14が追加されました。)
1.支援する研究テーマと利用するビームライン(表1参照)
N1:磁気記憶材料等の元素別磁化測定(BL39XU)
N2:半導体等ナノ薄膜の表面・界面構造解析(BL13XU)
N3:新機能ナノ材料の光電子分光、磁気円二色性測定(BL25SU)
N4:新規ナノ材料の精密結晶構造評価(BL02B2)
N5:X線マイクロビームによる顕微分光、トモグラフィー(BL47XU)
N6:微粒子及びナノ薄膜の電子分光(BL27SU)
N7:蛍光X線分析法による微量元素マッピング(BL37XU)
N8:核共鳴散乱法による局所構造と電子状態の研究(BL11XU)
N9:電気化学における固/液界面構造解析(BL14B1)
N10:極薄膜形成過程のその場光電子分光解析(BL23SU)
N11:高精度小角散乱によるナノ凝縮体解析(BL15XU)
N12:高エネルギー内殻光電子分光(BL15XU)
N13:原子層制御結晶成長過程のその場観察(BL11XU)
N14:ナノ粒子・ナノドメインの静的・動的構造研究(BL22XU)
2.支援内容
A.最適な実験計画の立案・指導
B.利用技術の指導・助言
C.実験結果の解析・評価に対する助言
D.その他(※但し、旅費については2004A期より支援が出来なくなりました。)
3.ビームタイム
支援するテーマを行う各ビームラインについて全ユーザービームタイムの20%程度(50シフト程度)を予定しています。
4.応募方法
ナノテクノロジー支援プロジェクト申請書(正本1部、副本1部)に必要事項を記入し、SPring-8利用研究課題申請書(正本1部と副本15部)と共に送付してください。申請書はホームページからダウンロードできます。ナノテク支援課題として不採択になった場合は、一般課題としての審査を行いますので、一般課題への二重申請は不要です。
ホームページのURL:
http://www.spring8.or.jp/nano_tech/
原研のビームラインで行われる支援テーマのN8、N9、N10、N13、N14については申請前に原研の担当者に問い合わせてください。
物材機構のビームラインで行われる支援テーマのN11、12については申請前に物材機構の担当者に問い合わせてください。
原研・物材機構の担当者は、「共用ビームライン利用研究課題の募集について」の「表1 募集の対象となるビームライン」「原研/理研ビームライン」及び「専用ビームライン」(本誌166ページ)を参照して下さい。
5.記入上の注意
実験課題名:SPring-8利用研究課題申請書の課題名と同一にしてください。
支援テーマNo.:N1~N14の該当する記号を記入してください。
なお、SPring-8利用研究課題申請書の特記事項にある「ナノテク応募あり」にチェックしてください。
6.応募の締切
平成16年6月9日(水)午前10時 利用業務部必着
国内からの応募は6月7日(月)消印有効
海外からの応募は5月30日(日)消印有効
申請書の受理通知は6月23日(水)頃に電子メールで行います。
7.申請書提出・問い合わせ先
〒679-5198 兵庫県佐用郡三日月町光都1-1-1
(財)高輝度光科学研究センター 利用業務部
「共用ビームライン利用研究課題募集係」
平野有紀、平野志津、衣笠晃子
TEL:0791-58-0961 FAX:0791-58-0965
e-mail:sp8jasri@spring8.or.jp
8.審査について
一般課題と同様の科学技術的重要性、研究手段としてのSPring-8の必要性、実験の実施可能性、実験の安全性についての総合的かつ専門的な審査に加え、ナノテク課題としての科学技術的重要性や研究戦略について審査を行う。
9.審査結果の通知
平成16年8月初旬の予定
10.旅費支援について
※2004A期より旅費支援が出来なくなりました。
11.その他
当支援を受けた課題については課題終了後、利用報告書に加え、「ナノテク課題研究成果報告書」の提出を求めます。
表1 ナノテク支援プロジェクト研究テーマとビームライン
※ 番号N3:平成15年10月22日に追加しました。
※ 番号N10:平成16年3月5日に改訂しました。
※ 番号N13、N14:平成16年3月5日に追加しました。
番号 支援する研究テーマ (主なBL)
N1 磁気記憶材料等の元素別磁化測定 (BL39XU)
X線磁気円二色性効果による磁気メモリ等磁気材料の磁化測定。磁性多層膜の磁気構造研究。
N2 半導体等ナノ薄膜の表面・界面構造解析 (BL13XU)
表面・界面原子構造解析。半導体デバイスに関連する酸化膜、ヘテロ界面などナノ原子構造解析。その場観察による表面/界面構造解析。
N3 新機能ナノ材料の光電子分光、磁気円二色性測定。 (BL25SU)
軟X線による表面ナノ電子構造および磁区構造解析。※光電子顕微鏡によるナノ材料解析
N4 新規ナノ材料の精密結晶構造評価 (BL02B2)
粉末結晶構造解析装置によるナノチューブやエネルギー貯蔵物質などの新規機能材料の精密結晶構造解析。機能に関わる軽元素、電子分布の決定。
N5 X線マイクロビームによる顕微分光、トモグラフィー (BL47XU)
X線マイクロビームによる顕微内殻吸収分光による、電子構造、組成分布、化学状態等の解析、マイクロトモグラフィーによる複合材料等の三次元構造解析。硬X線光電子分光による半導体ナノ薄膜、界面の解析。
N6 微粒子及びナノ薄膜の電子分光 (BL27SU)
ナノ微粒子、微結晶、およびナノ薄膜などの軟X線発光分光および光電子分光。
N7 蛍光X線分析法による微量元素マッピング (BL37XU)
X線マイクロビームを用いた蛍光X線分析二次元マッピング。ナノ材料、微粒子、生体組織等の元素分析等。
N8 核共鳴散乱法による局所構造と電子状態の研究 (BL11XU:原研)
核共鳴顕微分光法および非弾性散乱法を用い、量子ドット・ワイヤー等のナノ・マテリアルおよび関連物質の局所的な電子・格子振動状態の研究。
N9 電気化学における固/液界面構造解析 (BL14B1:原研)
表面界面構造解析用の多軸回折計を用いた、電気化学における電極/電解液(個/液)界面構造の解析。大型プレスを用いた、高温高圧下における固体ならびに液体の構造変化の研究。
N10 ※極薄膜形成過程のその場光電子分光解析 (BL23SU:原研)
Ti、Cu等の重金属や、Er、Hf、Ce等の希土類元素金属のナノメートルオーダーの酸化膜形成過程の実時間その場光電子分光法による解析。
N11 高精度小角散乱によるナノ凝縮体解析 (BL15XU:物材機構)
0.2nmから0.02nm以下の高輝度高平行光による高分解能精密粉末X線回折、特に0.01度オーダーの領域での高精度超小角散乱実験による複合材料やライフサイエンスで重要なナノ微粒子の凝集体等の精密解析。
なお、このほかに、回折計を移動してユーザー独自の実験装置を設置することで高輝度光利用実験ができます。
N12 高エネルギー内殻光電子分光 (BL15XU:物材機構)
2~60keVの高輝度単色光を利用して、運動エネルギー4.5keV以下の光電子の分光。全反射条件から直入射まで角度分解測定もあわせた実験が可能。ナノテク材料で重要な微量の重元素の化学状態の研究。
N13 原子層制御結晶成長過程のその場観察 (BL11XU:原研)
X線回析・反射法を用いたMBE法による化合物半導体の結晶成長のその場観察。埋もれた界面、量子ナノドットの構造解析。
N14 ナノ粒子・ナノドメインの静的・動的構造研究 (BL22XU:原研)
X線スペックル測定による誘電体等のナノドメインの動的観察・解析。ナノ粒子のXAFS解析。硬X線を利用した光電子分光によるナノ粒子の電子状態解析。
ナノテクノロジー総合支援プロジェクト申請書