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Volume 09, No.2 Pages 94 - 101

2. ビームライン/BEAMLINES

理研物理科学IIIビームライン(BL17SU)の現状
〜軟X線輸送チャンネルの建設現場から〜
Current Status of RIKEN Coherent Soft X-ray Spectroscopy Beamline (BL17SU)

大橋 治彦 OHASHI Haruhiko、仙波 泰徳 SENBA Yasunori、岸本 輝 KISHIMOTO Hikaru、三浦 孝紀 MIURA Takanori、竹下 邦和 TAKESHITA Kunikazu、後藤 俊治 GOTO Shunji

(財)高輝度光科学研究センター ビームライン・技術部門 Beamline Division, JASRI、

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1. はじめに
 最近の本誌では利用成果が紙面を賑わせ、所内外で耳にする「本格利用期に入ったSPring-8」を実感させられる。ビームライン建設が一段落した昨今では、新たなビームラインのコミッショニングに関する記事は2002年9月号以来で、軟X線ビームラインでは4年前のBL27SUに関する拙文[1][1]大橋治彦、為則雄祐:本誌 Vol.5, No.4 (2000) 267.にまで遡ることになる。表題ビームラインの狙いについては計画当初に理研放射光物性研究室・辛埴主任らの報告 [2][2]辛埴、大浦正樹、高田泰孝、渡邊正満、鎌倉望、北村英男、田中隆次、高橋直、大橋治彦:本誌 Vol.6, No.5 (2001) 368.があり、このたび同研究室のご好意により、久々のビームライン建設の現状を現場担当者から紹介する機会を頂戴した。実験ステーションの詳細など利用研究に関してはユーザからの成果報告を楽しみにお待ちいただくとして、本稿では輸送チャンネルの建設に絞ってお伝えしたい。多くの読者には退屈な細かい技術的話題に偏るが、最近では珍しい建設顛末記としてご容赦願いたい。


2.BL17SU輸送チャンネルの技術的要点
(1)ビームライン光学系の概要
 BL17SU光学ハッチとビームライン輸送チャンネルの全景を写真1に示す。2本のブランチ(aとb)が計画され、2組の前置鏡による切り替え式で、排他利用となる。aブランチに図1に示すような光学系の回折格子分光器[3][3]M. C. Hettrick and S. Bowyer : Appl. Opt. 22 (1983) 3921.が建設された。先行する他の3本の軟X線ビームラインと同様に不等間隔刻線平面回折格子と球面鏡により離散的に偏角を選択する(表1)。エネルギー範囲は0.1〜3 keVである。



写真1 BL17SU光学ハッチと輸送チャンネル(aブランチ)の全景




図1 BL17SU(aブランチ)の光学系概要


表1 BL17SU(aブランチ)分光器の光学素子パラメータ一覧





(2)超高真空対応回転エンコーダの採用
 この光学系では、回折格子の回転だけでエネルギーを走査する。SPring-8の軟X線ビームラインの特徴である高分解能104を実用に供するには0.1秒台の回転角度の位置決めと安定性が必要である。
 駆動は、真空中で保持された揺り篭状の回転ステージに接続されたバーを真空外のリニアステージに沿って押すサインバー方式である。サインバーの長さ400㎜では先の回転を生む変位量はサブミクロンである。回転角度のモニタには、このステージの送り量をリニアエンコーダで読み取る方法が簡便である。しかし、機械的連結部を介するため、サブ秒の回転に対して誤差を含む恐れがある。BL27SUを建設した1997年当時にもこの点が技術課題として取り上げられ、超高真空中の回転軸角度を直接読み取るために分解能0.04秒のレーザ干渉計を導入した。真空外のリニアエンコーダと比べ、冷却水振動の影響を直接観測[4][4]Y. Tamenori, H. Ohashi, E. Ishiguro, H. Okumura, T. Fukui, T. Miura, H. Kishimoto, J. Tanase, N. Kamachi, K. Endo and T. Ishikawa : Nucl. Instrum. and Meth. A467-468 (2001) 789.でき一定の成果を挙げたが、アライメントの煩雑さに問題があった。
 そこで、BL17SUでは超高真空対応の回転エンコーダ[5][5]F. Senf, H. Lammert, R. Follath, T. Zeschke, W. Gudat, K. Feichtinger, P. Fischer, W. Hubner and R. Strobel : J. Synchrotron Rad. 5 (1998) 584. を採用した。アブソリュート型で0.2秒のシステム精度を有し、分解能は0.036秒以下である。制御グループによって、SPring-8標準のVMEバス上で読み取りがサポートされ、ユーザPCからも他の軸と同様のプロトコルで回折格子の回転角度の取得が可能である。なお、エンコーダを収納している真空チャンバは10-8Paに到達しており、超高真空環境での使用に対しても十分といえよう。このエンコーダは安定して動作しており、後述するように副次的効果としてエネルギードリフト原因を探索する際に役立っている。


(3)床面振動対策
 前置鏡から試料点までは50m以上で、微小スポットが求められている点から、振動に強い輸送チャンネルを計画した。
 実験ホールBゾーン床コンクリートは、下から捨コンクリート100㎜、土間コンクリート200㎜、嵩上コンクリート100㎜の三層構造である。土間コンクリートと嵩上コンクリートの界面に間隙を有する場所が一部あり、振動対策上問題となる恐れがある。そこで、BL17SU建設予定地で事前に環境振動測定を実施し、床面から伝わる振動の多寡について評価を行った。その結果、以下に示すような床面への振動対策工事の有用性を確認した[6][6]岸本輝、三浦孝紀、大橋治彦、竹下邦和、後藤俊治、石川哲也:第16回日本放射光学会年会 10 (2003) 120.
 前置鏡、回折格子、入射・出射スリットなど光学系を保持する架台足周りで嵩上げコンクリート部分をφ150〜φ400㎜の円柱状に取り除き(写真2-a)、土間コンクリートとの密着性を確保し、周囲の嵩上げコンクリート部との間にゴム板を敷き詰め(写真 2-b)、島状に孤立したコンクリート(写真2-c)の上で精密機器架台を支持した(写真2-d)。



写真2-a φ300㎜×100㎜で床を抜く





写真2-b 底面密着性向上とゴム取付





写真2-c コンクリート充填




写真2-d 回折格子架台を設置



 回折格子架台周辺で、加速度計による実測で、振幅にして水平方向で約80%減、鉛直方向で約20%減の効果が確認されている。


3.光学系の調整と評価
(1)光学素子の設置と0次光導入
 調整機構ごとの精密据付に加え、光学素子取付けに際してレーザセオドライトを用いて各軸の原点確認を行った。
 例えば、入射スリットから13m離れた光軸上に置いたセオドライトで、2枚の前置鏡(M0a,M1a)とφ38㎜のダクトを通して見ると、スリットの刃の開口(約1㎜)が辛うじて確認できる程度に過ぎない(写真3-a)。同じセオドライトからレーザを出射すると入射スリットのビューポートから写真3-bに示すように反射光が鮮明に観測される。



写真3-a 入射スリットから13m上流の光軸に置いたセオドライトから見たスリットの刃。前置鏡M0a,M1aで反射した像はこのように不鮮明。





写真3-b S1上のレーザ反射光。上記と同じセオドライトから投影。


 同様にレーザセオドライトを光軸基準に設置して可視光の回折パターンを投影させ、回折格子の面内回転位置を微調整した。
 斜入射で数十mの光学系を超高真空中で位置決めするにあたり、予め前置鏡の偏向角や高さの駆動パルス位置を知っておけば、調整段階で不必要な箇所に放射光を照射して光学素子表面を汚す程度を少なくすることができる。
 放射光導入前の調整が功を奏し、初めて前置鏡に光を導いた後、約12分で、光源からおよそ50m点の入射スリットで放射光を確認できた。また、球面鏡、回折格子及び出射スリットを経て、光源から71m点にあるφ1㎜のアパーチャに対しても簡単に光を抜くことができた。
 各コンポーネントが高精度に据付され、かつ安定に然るべき軌道で加速器が当たり前のごとく運転されていることに有り難さを感じる。限られたスペースの収納部内でこれらを形作り、支えている関係者の努力を改めて思い起こさせる。


(2)回折光の調整
 分光器を構成する球面鏡(M21、M22及びM23)は並進及び偏角調整機構に取り付けられている。これにより、入射−出射スリット間距離(20m)を変えることなく、曲率半径の製作誤差を補正している。
 例えば、M21の曲率半径は設計値が332.97mであるが、製作誤差が+1.8%であった。そこで、基準位置から入射スリット方向にM21を33.2mm移動させた上で、偏角88.5度を若干調整することで、この曲率誤差を補正している。
 Neガスの全イオン収量スペクトルの1sから3pへの吸収ピークを用いてM21球面鏡の焦点を確認したところ、上述のオフライン調整のみで十分な分解能を予想させるスペクトルを得られた。コミッショニング開始後、正味1週間を要さずにここに至っている。
 Neの全イオン収量スペクトルの典型例を図2に示す。入射・出射スリットは各々50µmと10µmに設定され、ガスセル排気室の圧力は10-3Paで、計測に要した時間は約10分であった。分解能8000程度以上でなければ埋もれてしまう6pピークが観測されており、回折光の調整もオフラインでほぼ完了していた。
 なお、光量については、金板からの光電流の簡便な計測から、狭い範囲であるが、オーダとして設計値が得られていることを確認した。



図2 Neの全イオン収量スペクトル


(3)共鳴Auger電子スペクトルから分光器分解能の評価
 昨今の軟X線ビームライン分光器のエネルギー幅は、励起状態の寿命で決まる自然幅(例えばNeのK端の場合、数百meV)と同等かそれより狭い。自然幅は固有であるはずだが分光性能が向上する都度狭く報告される歴史を繰り返している。先に示した図2のような吸収スペクトルでは、自然幅の影響等のため分光器のエネルギー幅にはフィッティング誤差を少なからず含む。このため、1次過程の観測から光の分解能評価は困難である。
 そこで、BL17SUでは、BL27SUと同様にガスセル付の高分解能電子エネルギー分析器をビームライン評価用に設置し、2次過程で生成される電子の運動エネルギーを精密に計測した。ビームライン分光器のエネルギー幅は励起状態の自然幅に比べて狭い。このため、寿命の長いAuger終状態への遷移時に放出されるAuger電子の運動エネルギー幅は、自然幅の影響を無視できる。
 測定されたスペクトル幅(Wf)は、光のエネルギー幅(WS2)と電子エネルギー分析器のエネルギー幅(WP)及びNeガスのドップラー効果(WNe)によって次のように与えられる。すなわち、

と、近似できる。なお、ドップラー幅(WNe)は、Neについて室温では79meVで一定である。
 装置パラメータである電子エネルギー分析器のパスエネルギー(Ep)と、分光器出射スリット幅(S2)を変えることで光のエネルギー幅(WS2)をそれぞれ順次変化させ、6通りのNeの共鳴Auger電子スペクトル(1s-13p→2p-21D)3p)を計測した(図3の○印が計測結果である)。



図3 NEe共鳴Augerスペクトル。出射スリット幅(S2)と電子エネルギー分析器のパスエネルギー(Ep)を変えて6種類測定

 このAugerスペクトルは3つの成分から構成されることが知られている[7][7]Y. Shimizu, H. Yoshida, K. Okada, Y. Muramatsu, N. Saito, H. Ohashi, Y. Tamenori, S. Fritzsche, N. M. Kabachnik, H. Tanaka and K. Ueda : J. Phys. B : At. Mol. Opt. Phys. 33 (2000) L685-L689.。そこで、各ピークの半値全幅(Wf)が等しいという拘束条件のもとで3本のガウス関数で分離した(図3の青線で分離ピークを、合成結果を赤線で示した)。Wfを測定条件ごとに求め(図中にWfとして記した)、それぞれ上述の関係を連立方程式として解きWS2WPを算出した結果が表2と表3である。

表2 出射スリット幅(S2)ごとに算出したフォトンエネルギー867 eVでの光のエネルギー幅(WS2)。

S2(μm) WS2( meV)
1063.4 -0.4/+0.5
2075.9 -0.9/+0.8
40114.7 -0.3/+0.2


表3 パスエネルギー(Ep)ごとに算出した電子エネルギー分析器のエネルギー幅(Wp
Ep(eV) WP(meV)
5033.7 -0.9/+1.4
10073.5 -1.7/+1.1


 今回評価に用いたフォトンエネルギー867eVでは、概ね設計どおりに分解能104が達成されていることが確認された。コミッショニング開始後、ここまでに要した時間は、電子エネルギー分析器の最適化調整に若干手間取ったため、約1.5ヶ月であった。


4.光学系の安定性評価
(1)エネルギードリフトの観測
 上述のAuger電子スペクトルを用いて長時間のフォトンエネルギーの安定性について評価を行った。
 5分ごとに積算計測したNeの共鳴Auger電子スペクトルから得られたフォトンエネルギー変化(赤実線)と、先に述べた回折格子の回転角度エンコーダ変化(青実線)及び架台上下流端の温度差(黒実線)について、2種類の環境で各々1日にわたって観測した結果を図4に示す。
 図4左(Before、2003年11月30日0時から12月1日0時まで)は恒温化対策前(写真右上)で、図4右(After、同年12月6日正午から12月7日正午)は簡易の恒温化対策後(写真右下)である。なお、使用した回折格子は600本/㎜で、偏角は178.8度、フォトンエネルギーは867eVにて分解能104相当で、ビームライン側条件は測定中保持している。またそれぞれの測定途中にトップアップモードでの入射が含まれているが、この計測では影響はみられない。




図4 フォトンエネルギー、回折格子角度及び架台温度差の時間変化(簡易恒温化対策前後)


 温度は、校正済みの4線式白金測温抵抗体(正確度10mK、分解能1mK)を用いて、球面鏡と回折格子を保持している定盤(写真ピンク色部)の光軸上下流端と、その下の支持架台(写真緑部)の光軸方向上下流端の合計4箇所について同時計測した。測定点の距離は2.4m離れた高さ0.9mの架台である(図4写真右中)。黒実線の温度差の符号は、光軸上流端に対する光軸下流端の温度差として定義している。図4左(Before)の1日での温度変化は最大約0.25℃であった。温度差が+0.25℃とは、荒っぽくいえば、架台が写真右中赤矢印のように約0.2秒だけ傾けられたと考えることができる。このように光学系にもたらされる影響を架台の熱膨張係数を考慮して角度換算し、温度差軸の目盛刻みをエネルギーやエンコーダ刻みと比較できるようにスケーリングした。
 恒温対策前では、図4左赤線で示されるように、フォトンエネルギーの変動幅は0.06eV/1日である。このときのエンコーダの変動幅は0.05秒以下である。温度差が上述仮定のような影響を与えているとするならば、エネルギー(図4左赤線)と温度(図4左黒線)の増減傾向と、大まかな振幅も合致する。一方、エンコーダ(図4左青線)にも有意な変動が観測されており、サインバーのリニアステージの伸縮も疑わせる。これら結果は、長時間にわたるエネルギードリフトの主な原因が架台の温度変化による傾きであると示している。


(2)簡易恒温化によるドリフトの低減
 この架台の温度差は室温の変化から発生していると予想される。そこで、架台の温度変化を抑制するために、図4写真右下のように発泡スチロール板で足周りを覆って断熱し、さらに空気の淀み層を形成するように全体にシートをかけ、内部の発熱体を極力排除した。その結果、図4右のように、温度差変化(図4右黒線)は0.02℃程度に抑制され、エネルギードリフト(図4右赤線)も0.03eV/1日に半減した。このとき、エンコーダ幅(図4右青線)は0.025秒以下で、ほぼ安定するようになった。


(3)エネルギー安定化に向けて
 図4右で観測される残存のエネルギードリフトの原因としては、①スリットと回折格子との相対位置の変動、②電子エネルギー分析器の安定性などが考えられる。入射光による光学素子の熱変形歪みは、このときの挿入光源の運転モードでの前置鏡への軸上パワーがわずか1.2Wに過ぎない点を考慮すると、現状では考えにくい。そこで、スリットを含む光学素子架台の恒温化と高精度温度モニタの導入を進めている。また電子エネルギー分析器の安定性の評価を行う予定である。


5.むすび
 BL17SUは4本目の軟X線専用のビームラインとして計画された。先行する3本のビームライン群(共用の軟X線固体分光ビームラインBL25SU及び軟X線光化学ビームラインBL27SUと、原研・重元素科学ビームラインBL23SU)は、いずれもSPring-8のファーストビームより前に計画が立てられ建設された。これらを第一世代と呼ぶとすれば、BL17SUはユーザも建設担当者もすでにSPring-8の高輝度軟X線を体感した上で研究計画を立て、建設を進める次世代のビームラインである。既存ビームラインの多くがいずれも世界最高級の分解能と明るさを両立する軟X線ビームラインとして利用開始直後から数々の研究成果を生み出している現実の前で、BL17SUは、研究テーマの厳選はもとよりビームライン建設の現場においてもこれまでの経験を踏まえた進歩があって然るべきである。
振り返ると、筆者の一人がBL27SUで軟X線ビームライン分光器建設に携わることになった当時、輸送チャンネルの設計において、SPring-8の光源性能を生かすために、3つの重要なパラメータで“0.1以下”という数値に遭遇した。一つ目は、分解能を左右する光学素子のスロープエラーが0.1秒以下であること、二つ目は上述した回転角度精度0.1秒、そして三つ目には、建設目標でもあったフォトンエネルギー1keVで0.1eV以下の分解能達成とその評価方法の確立である。個々の“0.1”の意味は異なるが、その桁でぎりぎりの性能を要求する象徴的数値である。当時は実現可能な限界として目標値でしかなかったが、今やこれらの“0.1”は十分管理できる水準となり、さらに次の桁の実現が可能な時代に突入しつつある。
 BL17SUのaブランチ建設では、ユーザからの強い要望に基づき、手堅い水準の技術を用いて、現時点で世界最高級性能の軟X線ビームラインをいかに迅速に立ち上げるかに注力してきたに過ぎず、次世代ビームラインへの脱皮はまだこれからである。
 ここ数年来の顕著な技術的進歩を考慮すると、適切なコストパフォーマンスで、3つの象徴的パラメータを0.05あるいは0.01で実現可能な時期が到来しつつある。これらを観測できる眼を自前で開発できるかどうかが、第二世代の軟X線輸送チャンネルの成否を決するであろう。一方、必然のない技術開発に投資する余裕はないので、使途を強く意識しつつ、これからの輸送チャンネル開発につなげたいものである。
 今後、BL17SUは後置鏡やbブランチなど、質的にも量的にも建設期が続く。関係各位の引き続きのご理解とご支援をお願いする。


6.謝 辞
 独創的な挿入光源を開発しコミッショニングに努力している理研・JASRIの挿入光源チームと、安定な運転を実現している加速器部門の関係各位に敬意を表する。フロントエンド、制御、周辺技術、放射線遮蔽そして計画調整チームの協力なくしてこれまでの円滑な立上げはありえなかった。放射線遮蔽に関しては原研浅野芳裕氏の協力を得た。光学系設計にあたっては琉球大学石黒英治教授にご指導いただいた。また、決して忘れてならないのは理研事務局の支援であった。
 今回のBL17SUコミッショニングで実施した多くの手法は、BL27SUにおいて担当者の為則雄祐氏と共に試行錯誤した経験を元にしている。飽くなき要望を具体的に寄せてくれるユーザからの声を直接賜ることが糧となっている。また、ユーザ各位と常に向き合っている軟X線チームメンバの有形無形の支援を心強く感じている。BL17SUでの経験を還元できるように互いに協力を続けたいものである。
 お取引先関係者の真摯な技術開発への取り組みがあってはじめて、BL17SUの建設が順調に推移している点を申し添える。
 最後に、理研放射光物性研究室の大浦正樹氏や実験ステーションで日夜奮闘している同研究室の新進気鋭のスタッフの皆さんと共にBL17SUビームライン建設に携わることができたことを光栄に感じつつ、あわせて今後の利用成果を期待して本稿を締めくくる。



参考文献
[1]大橋治彦、為則雄祐:本誌 Vol.5, No.4 (2000) 267.
[2]辛埴、大浦正樹、高田泰孝、渡邊正満、鎌倉望、北村英男、田中隆次、高橋直、大橋治彦:本誌 Vol.6, No.5 (2001) 368.
[3]M. C. Hettrick and S. Bowyer : Appl. Opt. 22 (1983) 3921.
[4]Y. Tamenori, H. Ohashi, E. Ishiguro, H. Okumura, T. Fukui, T. Miura, H. Kishimoto, J. Tanase, N. Kamachi, K. Endo and T. Ishikawa : Nucl. Instrum. and Meth. A467-468 (2001) 789.
[5]F. Senf, H. Lammert, R. Follath, T. Zeschke, W. Gudat, K. Feichtinger, P. Fischer, W. Hubner and R. Strobel : J. Synchrotron Rad. 5 (1998) 584.
[6]岸本輝、三浦孝紀、大橋治彦、竹下邦和、後藤俊治、石川哲也:第16回日本放射光学会年会 10 (2003) 120.
[7]Y. Shimizu, H. Yoshida, K. Okada, Y. Muramatsu, N. Saito, H. Ohashi, Y. Tamenori, S. Fritzsche, N. M. Kabachnik, H. Tanaka and K. Ueda : J. Phys. B : At. Mol. Opt. Phys. 33 (2000) L685-L689.



大橋 治彦 OHASHI  Haruhiko
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竹下 邦和 TAKESHITA  Kunikazu
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後藤 俊治 GOTO  Shunji
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