Volume 17, No.1 Page 99
7. 告知板/ANNOUNCEMENTS
最近のSPring-8関係功績の受賞
SPring-8 Related Achievements
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※功績が認められ最近受賞されたSPring-8利用者等を掲載しています。
第59回日本金属学会論文賞
主催:日本金属学会
受賞者 | 戸田 裕之 豊橋技術科学大学大学院 工学研究科機械工学系 教授 |
中澤 満 慶應義塾大学大学院 理工学研究科 博士課程 | |
青木 義満 慶應義塾大学 理工学部電子工学科 准教授 | |
上杉 健太朗 (財)高輝度光科学研究センター 利用研究促進部門 研究員 | |
鈴木 芳生 (財)高輝度光科学研究センター 利用研究促進部門 副主席研究員 | |
小林 正和 豊橋技術科学大学大学院 工学研究科機械工学系 准教授 | |
受賞テーマ | Four-Dimensional Annihilation Behaviors of Micro Pores during Surface Cold Working |
ビームライン | BL47XU |
研究内容 | これまでのSPring-8を用いた研究で、金属中の過飽和水素が材料内に分子状水素として排出され、ポアとして知られるミクロ欠陥が生成すること、これが強度や延性、疲労寿命に大きな影響を及ぼすことがわかってきた。このポアは、液相−固相間の大きな水素溶解度差という物理的な原因に基づいて発生するため、いかなる工夫をしても完全には防止できない。この研究では、材料表面に強加工を施し、水素を格子欠陥にトラップすることでポアの除去(閉口)および再発生防止を狙い、その過程をX線CTで4D観察した。その結果、適切な条件で強加工を施すことで表層300 mm程度のポアが完全に除去できること、そしてその後の高温暴露によっても再発生しないことがわかった。[参考文献:Acta Mater. 57 (2009) 2277, 59 (2011) 4990. SPring-8 News 60 (2012)] |
受賞理由 | 日本金属学会「論文賞」は、前年1ヵ年の会誌、欧文誌に掲載された学術論文の中から特に優秀な論文に対して贈られる。この研究では、工業的に重要なポアの完全除去を達成すると同時に、学術的には長らく懸案であったポア消滅の力学条件を明らかにした。このため、4D観察画像に写る数万〜数十万点の粒子やミクロ欠陥などを強加工下で高精度に追跡し、材料内部の歪みを4Dかつ高密度で直接測定して評価した。このように、産業、学術両面で意義深い研究を、受賞者のオリジナルな実験解析技術の応用で達成した点が高く評価された。 |