Volume 08, No.2 Page 116
3. 研究会等報告/WORKSHOP AND COMMITTEE REPORT
(第6回SPring-8利用技術に関するワークショップ)
超高圧・超高温科学の放射光利用による新展開を目指して
2002年12月19、20日の2日間、普及棟において「超高圧・超高温科学の放射光利用による新展開を目指して」と題してワークショップを行い、国内の高圧研究に関わる研究者が集まり、最新の研究成果から技術情報にわたって、活発に意見交換を行いました。近年、放射光の利用により高圧下の物性研究は格段の進展を遂げています。今回のワークショップにおいては高温実験に焦点を絞り、(1)実験技術の現状、(2)最新の成果とそれにまつわる技術的な進展、さらに(3)今後の新たな可能性の3つに重点を置き、これらの情報をSPring-8のユーザーが共有することをめざしました。また、“まだ”ユーザーでない方にも講師をお願いして、現ユーザーだけでなく広く「超高圧・超高温科学」の研究領域の視点からの今後の放射光利用の可能性にも重きを置き、ワークショップを企画しました(前述、総括参照)。高圧発生装置として大きくプレス型とダイヤモンドアンビルに分け、それぞれに於ける加熱法、基盤技術である解析法からダイヤモンドアンビルの合成に至るまで多くの研究者にとって有用な情報を網羅しました。将来の研究の場となると思われるメガバールまたはテラパスカル、数万度の高圧高温領域での実験もプログラムに組み入れました。
当ワークショップを通して、“静水圧性”をキーワードにした低温高圧研究を取り扱った昨年度と同じく、最近の各高圧研究者の技術をいかにして集約していくかが重要であることを再確認しました。つまり、高圧発生技術に加えて高温の生成という複合条件下の測定を行う上では2倍以上のノウハウの積み重ねが必要で、多くの研究者がSPring-8に集い共同で実験を進めていくことが今後目指すべき研究形態と思われます。一般の利用研究の旅費の廃止など上記の必要性には逆行する状況の中ではありますが、今後の高温高圧科学の新展開を実現するために、新たな体制がユーザーグループには必要であると思われます。
清水 克哉 SHIMIZU Katsuya
大阪大学大学院 基礎工学研究科
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