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Volume 16, No.3 Page 225

4. SPring-8 通信/SPring-8 Communications

「量子ビーム施設震災優先枠」における被災量子ビーム施設ユーザー支援課題の実施について
-東日本大震災で被災した量子ビーム施設の利用者への支援-
Affected Facilities Support Proposals Carried out under the Priority Program for Disaster-Affected Quantum Beam Facilities
– Support for Quantum Beam Research Facilities Affected by the Great East Japan Earthquake –

(財)高輝度光科学研究センター 利用業務部 User Administration Division, JASRI

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 平成23年3月11日に発生した東日本大震災により、被災した地域に存在する最先端の研究開発を支える重要な研究施設の多くが甚大な被害を受けました。これらの施設の利用者は、施設復旧までの間研究活動を再開することができなくなることから、研究活動の停滞が懸念されていました。こうした状況を踏まえ、SPring-8を運営する独立行政法人理化学研究所と財団法人高輝度光科学研究センターは相互に連携して、被災した量子ビーム施設で実験が困難となった利用者に対する支援を実施することとし、初動的な対応として、「量子ビーム施設震災優先枠」を設定することを平成23年4月1日にSPring-8ホームページに緊急声明文*1*1 http://www.spring8.or.jp/ja/urgentnews/110401として公表しました。

 

 「量子ビーム施設震災優先枠」は、平成23年度上期のSPring-8の運転計画の見直しと、緊急用留保時間の見直しを行い、26本ある共用ビームラインについて、1本あたり約250時間の放射光利用時間を確保しました。具体的には、元々の運転計画にあった放射光利用時間2016時間の内、緊急課題などに当てるために2割程度を確保していた留保時間の見直しにより、114時間を確保しました。また、本来は加速器の安定した運転のために必要なものとして措置していた調整時間を見直したことにより、136時間を確保しました。ビームタイムの一部を共用に供している理研ビームライン5本*2*2 BL17SU, BL26B1, BL26B2, BL32XU, BL45XUにおいては1本あたり136時間の放射光利用時間を確保しました。

 

 被災した量子ビーム施設からは、平成23年度上期に実施が予定されていたものの、震災により実施が困難となった課題を対象として、「量子ビーム施設震災優先枠」の範囲で課題実施を希望する課題を各被災量子ビーム施設でとりまとめて、SPring-8へ申請していただきました。

 

 利用申請は、放射光を利用者に提供している高エネルギー加速器研究機構物質構造研究所の放射光科学研究施設PF、中性子を提供している、大強度陽子加速器施設J-PARCの物質・生命科学実験施設MLFと日本原子力開発機構の研究炉JRR-3の3施設からありました。中性子施設からの申請課題は、放射光利用を代替手法として実験を行うものです。

 

 申請された課題は、財団において、SPring-8の利用研究課題の審査基準に照らして(但し、研究手段としてのSPring-8の必要性は審査項目から除く)審査を行い105件をSPring-8の「被災量子ビーム施設ユーザー支援課題」の課題カテゴリーで採択しました。

 

 これら採択課題は、5月上旬以降、「量子ビーム施設震災優先枠」の範囲内で実施時期を調整したうえで、適宜実験が行われ、最終的に91課題が実施されました。

 

 なお、SPring-8の専用施設においても個別に被災量子ビーム施設の課題の受け入れが行われました。

 

 

*1 http://www.spring8.or.jp/ja/urgentnews/110401
*2 BL17SU, BL26B1, BL26B2, BL32XU, BL45XU

 

 

Print ISSN 1341-9668
[ - Vol.15 No.4(2010)]
Online ISSN 2187-4794