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Volume 07, No.6 Pages 374 - 376

3. 研究会等報告/WORKSHOP AND COMMITTEE REPORT

第6回SPring-8シンポジウムの舞台裏 ‐シンポジウム実行委員の反省を含めて‐
How was the 6th SPring-8 Symposium Prepared ?

坂田 修身 SAKATA  Osami[1]、難波 孝夫 NANBA  Takao[2]

[1](財)高輝度光科学研究センター 放射光研究所 利用研究促進部門Ⅰ JASRI Materials Science Division、[2]神戸大学大学院 自然科学研究科 Graduate School of Science and Technology, Kobe University

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1.はじめに
 著者の1人(坂田)が2年前に開催された第4回の印象記において、比喩を使ってハードウエア面、ソフトウエア面を記述しました。その後、ハードウエア面においてはビームラインの増加、運転スケジュールの変化などがありました。また、ソフトウエア面では、株価の上昇傾向だけから将来の株価を期待することは、予測とは異なるという例えを用い、SPring-8に必要な現状分析の項目例を挙げました。実際この2年でアメリカを中心に株価は大方の期待とは異なり大幅に下落し、また、SPring-8をとりまく環境も大きく変化しました。さて、この度また、坂田は印象記を書くよう依頼されました。今回はシンポジウム実行委員会活動を総括し、今後の参考になることを祈って、シンポジウムの舞台裏を記録します。以下の4は、反省会に参加した難波(委員長)、伊藤(利用懇側委員)、井上(勝)、広沢、今井、一色、石井、高井、當眞(以上、所内委員)、植木(部門長)、坂田(副委員長)とボランティア有志によるログです。

2.経 過
 4月の中旬に、今年のシンポジウムの副実行委員長を難波実行委員長と充分相談しながらやらないかという話が、植木部門長から坂田にあり、坂田は引き受けました。最初のシンポジウム実行委員会議以前に、次の会議資料を用意するため、委員長、植木部門長、事務局當眞氏、佐久間氏と会議までにメール上で議論しました。シンポジウムまでのやるべき事(テーマの設定、講演者と座長の選択、アブストラクト作成、実行委員の選択)の日程案、(とくにポスターの図面決定と案内の時期を早急にする必要があるメモつき)、テーマの案、講演者の候補。テーマについては、利用者の中から外国人研究者、女性研究者、ビームタイムを多く利用している研究者、はたまた、若手研究者を集めて発表してもらおうかなどと、思いましたが他にはこれという名案は浮かびませんでした。そこで中央管理棟の3階の‘自由討論場’(と勝手に名づけました。天の声という人もいるかも)で、何かこれというテーマはないですか、と議論していると、シンポジウムのメインの話題については現場を知るビームライン担当者にきくのが一番早いという、後藤さんの意見がありました。そこで早速、BL担当者全員にアンケートを取るよう當眞委員にお願いしました。9人から返事が来たので、それを整理して第1回会議の議論の材料とするとともに、返事をくれた方をやる気のある人とみなし、都合のつかない人を除いて委員(今井、一色、谷田、広沢、櫻井、石井、吉越、玉作の各氏)に指名しました。それに追加して、加速器部門から田村氏、昨年の実績からどうしても必要な人材と判断した井上(勝)氏にもお願いしました。都合のつかない人が代わりに推薦した高井氏を加え、今年の所内からの委員としました。以上をまとめると、第1回会議の前に、準備したことは日程案の作成、実行委員の選択、メインの話題を議論するための‘食材’選びでした。

 5/30の第1回会議で了承、決定したことは、2本のテーマ(産業利用に関した研究、トピックス研究)、日程の確認(表1)、9/10、11のプログラム案、セッションごとの連絡係の委員への割り振り(表2)、ポスター図案の決定、等です。


    表1 日程
アナウンス  7/20(またはそれ以前)
締め切り   8/9
業者発注   8/26
納入     9/6
配付(当日) 9/10、11

    表2 連絡係など一覧
・ポスター作成依頼、アブスト
 ラクト集の業者選定など    當眞委員
・看板などの準備        當眞委員 
・施設報告           坂田副委員長
・蓄積リング・光源の現状    田村委員
・産業利用の現状        広沢委員
・新設ビームライン報告     高井委員
・特定利用研究課題の進展状況  櫻井委員
・トピックス          坂田副委員長
                難波委員長
・各委員会報告         難波委員長
・ポスター アブストラクト   一色委員
                今井委員
・口頭発表アブストラクト    井上(勝)委員
・当日の講演会場        井上(勝)委員
・ポスター会場         今井委員
                一色委員  

 この会議の直前に利用者懇談会の世話人会があり、そこで吉良所長、菊田副所長から「産業利用がこれからのSPring-8に課せられる重要課題となるだろう」という意味の印象的な話が、たまたまありました。実行委員長がこれを聴いてすかさず産業利用をメインテーマにすることを決断しました。会議後、表2の各セッションの担当委員が、講演候補者と連絡をとり、講演を非公式に依頼(講演内容の委員会からの希望を伝える場合もあった)し(内諾後、委員長名で依頼文書を送付)、タイトル、日時の打ち合わせをしました。その結果をもって、‘自由討論場’で再びアドバイスをもらい、実験技術に関するセッションを含めるよう修正しました。昨今のSPring-8のカレントトピックスになりかけているトップアップ運転に関する説明を入れたらという木村(洋)氏のサジェスチョンを受けて‘トップアップ運転伝道師’の田中(均)氏と木村(洋)氏にそのお話をお願いしました。その修正プログラム案を吉良所長、菊田副所長、壽榮松部門長、植木部門長に見ていただき、プログラムの骨格ができました。また、6/4には一色委員、今井委員から、「第6回 SPring-8 シンポジウムでのポスター展示に関する事前調査」というメールを配信しました。このメールの意図はポスター発表が今年のシンポジウムでも設定されることの周知とポスター発表枚数を調べることでした。
 6/27の第2回会議において、各委員から各自担当する事項の状況報告を受け、ポスター発表については一色委員に連絡漏れのところへの対処をお願いしました。更に、坂田の作成した座長候補者案を吟味し、複数のセッションをのぞき、候補者を絞りました。会議後、直ちに各委員は自分のケアするところを対応しました。難波委員長名のポスター発表依頼の公式文書を一色委員、今井委員から、口頭発表依頼の公式文書を井上(勝)委員から7/5に出しました。7/8には委員長名で當眞委員が印刷物を各座長候補者に送付しました。

 その後、坂田のミスティクからBLの副担当者経由で連絡していた正担当者から、連絡の不手際があったこと、かつ、一部の該当者からシンポジウムでポスター発表するのは本来の仕事ではないというお叱りを頂戴しました。その対処として、副委員長からおわび状と改めて難波委員長からの依頼状を送付し、また、下村日本原子力研究所放射光研究所放射光科学研究センター長からポスター発表は職員の仕事の一環である旨を連絡していただくようお願いしました。この様な手順を踏んでポスター発表を快くひき受けて頂きました。人にものを依頼して動いてもらうにはそれなりの手続きを踏む必要があるという好例と云えましょう。

 心配していたポスター発表のアブストラクトは1週間遅れで、口頭発表のアブストラクトは締め切り通りに集まりました。その全体を今井委員と一色委員がチェックし、英文著者と和文著者の統一性、著者名の表記の誤りを正しました。誤りは元のファイルがアクセスできるものは、著者の了解後、修正しました。と、簡単に書きましたがこの作業量は実は膨大で、その為、両委員は8/19〜23のほとんどの時間をこの作業に費やしました。その作業と平行して、両委員は利用業務部に作成して頂いた目次のフォントの統一、文字サイズの統一という作業もしました。アブストラクト集は昨年のものは貧弱で、簡易製本のように見える代物でしたが、坂田、今井委員、一色委員、當眞委員で検討し、見栄えの良い紙質のものに変えました。當眞委員は経理上の難点を巧みに乗り越えてくれました。

3.印 象
 SPring-8を取り巻く状況を察知して取り上げた産業利用に関する発表の研究テーマは斬新にみえました。企業としての最終目的(評価とそれによる新しい物性機能の発現)とSPring-8の実験の結びつきを必ずしもはっきり明示する発表だけではありませんでした。しかし、聴衆に新しい利用の有り方を感じさせるものでした。数年後に目的達成の可能性を期待します。

4.反省、次回のシンポジウムのためのメモ(順不同)
4-1. ソフトウエア

 あ)プログラム作成に関して:時間遅延を吸収するため、コーヒーブレイクは20分必要。
 い)目次作成のため、タイトル、著者はWEB入力を採用し、その後の処理の手間を軽減すること。あるいは 全面的に印刷業者にまかせ、研究者はその作業をやらなくて済むようにすること。
 う)委員の数を減らし、実働部隊を形成すること。その為には委員以外に当日働ける人を早い時期に決め、その方の予定を早く押さえておくことが重要。頼み安い人に依頼するのではなく、新人や今までにやってない人にも手伝ってもらうこと。
 え)発表はOHPとPCプロジェクタのいずれを用いるのか、事務局側が会議前に把握しておくこと。さらにPCは持ち込みか、媒体のもち込みか、もしそうならその媒体の種類(CD-R、MO)を把握しておくこと。あるいは、CD-R 650MBと指定し、使用するソフトウエアを指定しておくと良いかも知れない。
 お)次回は変化する課題申請システムの説明や、新運転システム(トップアップ運転などに関する最新情報など)の説明があるであろうから施設からの連絡事項が増えるだろう。
 か)ユーザーが該当のBLを利用するときの必要十分な最新情報を含めて示すというポスターセッションの主旨を明瞭にし、徹底させること。
 き)アブストラクト作成では、著者は英文著者と和文著者の統一性、著者名の表記の誤りの無いよう徹底させること。
 く)アブストラクトのスタイルがまちまちだったので、次回はpLATEXなどのスタイルファイルで指定することも検討に値するかもしれない。

4-2. ハードウエアの整備
 け)持ち込みPCに対応して、ディスプレイ分配器を用意すること(PCの切り替えに手間取った)。
 こ)講演時間を自動タイマで管理すること。(時計係として、研究者のボランティアを使わない)
 さ)質疑応答用のマイクロフォン係をやめ、複数のマイクロフォンをスタンドに立てておき、質問者がそこまで行き、質問すること。
 し)右(窓)側のスクリーンをつかうと、見やすくなる。そのとき、必要なら、プロジェクタの角度を変えたり、ポータブルプロジェクタの採用の可能性も検討せよ。その場合、電灯の改良工事も合わせて必要になるかもしれない。

5.謝 辞
 委員と重複する方もおりますが、当日会場で、時計、マイクロフォン、プロジェクタの世話をしてくれた方は次の通りです:上杉、今井、田村、井上(勝)、本間、広沢、尾角、佐藤(真)、一色、岡、加藤(和)、酒井、高井、谷口、北野の各氏。さらに古川氏は講演者の撮影、および、会場におけるサポートをしていただきました。アブストラクトの目次を利用業務部の佐久間部隊の鈴木、水牧、武内のお三方が入力してくれました。貴重な時間をありがとうございました。

6.最後に
 参加者261名の内訳は、JASRI/SES 77名、理研22名、原研17名、大学90名、企業28名、研究所16名、その他11名でした。参加者数は前回に比べて約1.5倍、最終セッションまで相当数の参加者が残っていたことでも分かる様に今回は大変盛会でした。反省会の席で次回の副委員長は広沢氏に内定しました。以上の反省点が次回に活かされ、シンポジウムがますます重要な情報共有の場となることを希望して反省記をおしまいにします。



坂田 修身 SAKATA  Osami
(財)高輝度光科学研究センター 放射光研究所 利用研究促進部門Ⅰ
〒679-5198 
兵庫県佐用郡三日月町光都1-1-1
TEL:0791-58-2750 FAX:0791-58-0830
e-mail:o-sakata@spring8.or.jp


難波 孝夫 NANBA  Takao
神戸大学大学院 自然科学研究科 教授
〒657-8501 神戸市灘区六甲台1-1
TEL・FAX:078-803-5642
e-mail:nanba@phys.sci.kobe-u.ac.jp



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[ - Vol.15 No.4(2010)]
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