Volume 07, No.3 Pages 167 - 168
1. SPring-8の現状/PRESENT STATUS OF SPring-8
R&Dビームライン利用に関して
R&D Beamline
1.R&Dビームラインについて
R&Dビームライン(BL38B1、BL46XU 、BL47XU)は、ユーザータイムの30%を共同利用に配分する一方で、残り70%を原研、理研、JASRI(以下「施設者」)に配分し、先端的要素技術の開発、新しい実験手法・実験技術の開発、新しい研究領域の開拓、ビームラインの高度化・効率化に関わる開発研究を実施することがJASRI諮問委員会、また、施設者間で協議する特定放射光施設連絡協議会で決定された。
2.R&Dビームライン委員会
R&Dビームラインにおいて、ビームタイムの効率的な運用の検討、R&D研究課題の選定・採択を行うために、特定放射光施設連絡協議会の下に、下記名簿で構成する「R&Dビームライン委員会」を設置した。
なお、委員会では、(1)~(6)の観点から、R&D研究課題の選定を行っている。
(1)先端的要素技術の機器開発
(2)新しい実験手法、実験技術の開発
(3)フロンティア実験
(4)高度利用技術開発研究(COE)
(5)プロジェクトの萌芽的研究
(6)その他、委員会が必要と認めた研究
また、R&Dビームラインの運用に係る庶務は、共同利用と調整の必要があるため、JASRIが行っており、2001年第5サイクルより運用を開始している。
○R&Dビームライン委員会委員
(委員長)
菊田 惺志
JASRI 放射光研究所副所長
(委員)
下村 理
原研関西研究所放射光科学研究センター長
石川 哲也
理研播磨研究所主任研究員
壽榮松 宏仁
JASRI 利用研究促進部門Ⅰ 部門長
植木 龍夫
JASRI 利用研究促進部門Ⅱ 部門長
多田 順一郎
JASRI 安全管理室室長
(オブザーバー)
的場 徹
JASRI 利用業務部部長
3.利用申請について
R&DビームラインでR&D研究課題を実施する際、以下の要領で運用を行っている。
①課題申請書の提出
施設者に属する職員が実験責任者となり、課題申請書を提出(他機関との共同研究を含む)締切は、利用希望サイクル開始日の1ヶ月前
②安全審査
課題申請書に基づく安全審査を実施
③課題選定
R&Dビームライン委員会で課題選定
④課題採択
R&Dビームライン委員会委員長が課題採択し、ビームライン担当者によるシフト配分調整
⑤通知
実験責任者へ採択の合否、シフト配分について通知
⑥書類提出
実験責任者が実験に際しての必要書類を提出
⑦ビームタイム時
実験
⑧課題終了時
実験責任者が利用報告書を提出(実験終了後60日以内)
⑨報告会などでの発表
※課題申請についての注意事項、申請書の記入方法、様式等については、
http://syo.spring8.or.jp//hp/rd/mokuji.htm
(SPring-8スタッフのみアクセス可能)
[申請書提出先]
R&Dビームライン委員会事務局:
JASRI 放射光研究所所長室研究事務グループ
4.安全審査について
R&D研究課題申請の安全審査については、JASRI安全管理室において、課題申請内容に基づき、共同利用と同基準の安全審査を行っている。
5.2001年における実施状況について
2001年(2001年第5サイクルから2002年第1サイクルまで)のR&DビームラインにおけるR&D研究課題の実施課題数は、BL38B1は45課題、BL46XUは7課題、BL47XUは28課題、シフト数はBL38B1は283シフト、BL46XUは84シフト、BL47XUは268シフト実施された。内訳については表1の通りである。
6.その他
平成13年度(2001年第5サイクルから2002年第3サイクル)に実施したR&Dビームラインの実験課題について、報告会を実施した。
7.R&Dビームライン委員会 委員長より
SPring-8の実験設備・機器をつねに最高の性能に保ち、新機軸の先端的利用研究を実施できるようにするには、新しい実験技術と研究手法についてのR&Dが不可欠であるのは申すまでもない。このような開発研究を行うために3本のR&Dビームラインが設置された。R&Dビームラインのビームタイムは施設者である原研・理研とJASRIの3者に全体の70%が割り当てられているが、そのうちビームライン調整、緊急課題、成果専有課題、研修会などに必要なビームタイムを配分したうえで、各種のR&D研究課題に割り振られる。R&Dビームライン委員会は、サイクル毎に開催し、R&D研究課題の選定作業は一般の共同利用研究課題選定の場合と同様に、提出された課題申請書にもとづき厳正さを旨として実施しており、必要に応じて申請者からのヒアリングも行っている。
R&D研究課題の実施ののち、他の共同利用研究課題と同様に利用報告書が提出され、それらは半年毎に出版の「SPring-8 User Experiment Report」に掲載されている。平成13年5月からこの委員会によるR&Dビームラインの運用が開始され、1年が経過するので、研究成果報告会を開催した。光学系、検出系などを含む高性能の実験機器の開発、新しい実験手法の開拓、先端的試行実験などのR&D研究がインハウススタッフによって実施されているが、このような開発研究に卓越した外部チームとの共同研究も進めていきたい。
表1 R&D利用状況