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Volume 06, No.5 Pages 390 - 395

4. 研究会等報告/WORKSHOP AND COMMITTEE REPORT

BL29XUL/19LXUに於ける標準型2結晶分光器の液体窒素冷却化
Introdution of Liquid Nitrogen Cooling System to Standard Double Crystal Monochromator at BL29XUL/19LXU

玉作 賢治 TAMASAKU Kenji[1]、矢橋 牧名 YABASHI Makina[2]、望月 哲郎 MOCHIZUKI Tetsuro[2]、石川 哲也 ISHIKAWA Tetsuya[3]

[1]理化学研究所 播磨研究所 X線干渉光学研究室 Coherent X-ray Optics Laboratory, Harima Institute, RIKEN、[2](財)高輝度光科学研究センター 放射光研究所 ビームライン・技術部門 JASRI Beamline Division、[3]理化学研究所 播磨研究所 X線干渉光学研究室、(財)高輝度光科学研究センター Coherent X-ray Optics Laboratory, Harima Institute, RIKEN/JASRI

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 SPring-8のような高輝度第3世代放射光施設ともなると、挿入光源からの放射パワーは絶大なものとなる。SPring-8では“普通の”硬X線ビームラインでも標準型真空封止アンジュレータからの出力は13kWに達する(標準型というと何かたいしたことなさそうな気がするが)。この内不要な放射はフロントエンドで取り除かれ真芯だけが2結晶分光器に通されるが、それでも最大で500Wにも及び、その殆どが第1結晶への熱負荷となる。第3世代放射光の最大の特色で分光器から見た最も厄介な問題は熱負荷もさることながら、それが40数mも離れているのに僅か1mm2程度の領域に局在していることである。このような強力な放射光を受けるためにBL29XUL / 19LXUでは分光結晶の液体窒素冷却を行っている。液体窒素温度でのSiの高い熱伝導率によって効率的に熱を取り除き温度勾配を小さくできる。また低温での低い線熱膨張率により温度勾配による歪みを抑えることが出来る。BL29XULでは2000年3月に液体窒素冷却装置を導入して以来1年以上かけて様々なスタディが行われ、最近になってようやく満足できる結果を挙げるに至った。本稿では主に液体窒素冷却分光器の性能について導入から現在まで順を追って報告したい。
 本稿で取り上げる液体窒素冷却装置はヘリウム冷凍機を用いた循環型となっている。このタイプの冷凍機はBL29XUL / 19LXU以外にもBL35XU / 20XU / 13XU / 12XUに既に導入されている。結晶の冷却は間接冷却で行っている。なお詳細については、分光器は文献1を液体窒素冷却装置は文献2[2]T. Mochizuki et al.:Nucl. Instrum. Methods, A467-8(2001)647.を参照されたい。
 1年前のBL29XULの実験ノートを読むと液体窒素冷却の立ち上げの2000年4月に手当たり次第に、しかしやや場当たり的に様々な測定が行われている。実は液体窒素冷却でどういう問題が起こりうるか、またどういう測定を行えば問題点を洗い出せるかという具体的な戦略がなかったのである。そこで闇雲に、ロッキングカーブ、第1結晶のドリフト、出射ビームの強度変動、絶対フラックス、ビームプロファイルなどを測定した。一通りとり終えて落ち着いて考えると、以下のように分類して調べて行くのがスマートであろうということになった。
1.耐熱負荷性能
2.安定性 強度振動(短時間安定性)エネルギードリフト(長時間安定性)
3.ビーム形状(ビームコヒーレンス)
すなわち液体窒素冷却が本当に真空封止アンジュレータの強力な放射光を受け切れるか、この耐熱負荷性能は分光結晶を液体窒素温度まで冷やすそもそもの動機であるので十分に調べる必要がある。安定性には典型的な測定時間である1秒に対する時間スケールの観点から2つに分けて考えるべきであろう。1つは短い時間スケールでの安定性で、強度振動から評価される。短時間の安定性がなければ、測定のS/Nを悪くするなどの悪影響を及ぼす。もう1つは分光器からの光の強度やエネルギーが2〜3日程度の長い時間スケールで安定であるかどうかである。BL29XUL / 19LXUでよく行われる多数の結晶からなる光学系を用いた実験では、分光器のエネルギーが安定していなければそれ以後の光学系の組み立てが至難となる。BL29XULではビームラインの長尺化に伴って水冷ピンポスト結晶の回転傾斜配置から、液体窒素冷却平板結晶に切替えた。これはピンポスト構造によるビームの質の劣化を嫌ったためであり、液体窒素冷却化でビーム形状がどう変わったか見る必要がある。
 一通りの測定をしてみると、2.の安定性以外には大きな問題はないようである。蓄積電流100mA、ギャップ9.6mmという最大負荷の下でも冷却能力に問題は見られず冷凍器そのものは安定して稼動している。一方で分光器の安定性に関しては「このままでは到底我々の研究には利用できないレベル」であり、安定性の必要な実験には一時的に水冷に戻すことさえ対策に挙げられる程であった。
 さて問題点は明らかになったが液体窒素冷却のR&Dはなかなか進まない。なぜなら容易に分光器の中身を改造できないためである。分光器をあけて内部に変更を加えようと思うと、温めるのに1日、作業後に真空引きで1日、液体窒素循環で半日と開けて閉めるだけで計2日半かかってしまう。これに作業時間が加わるので、3日はビームラインを止めなければならない。まして液体窒素配管に変更を加える場合、配管内部が温まるまで更に3日程待たなければならない。こうなってしまうと比較的時間が自由になる専用ビームラインといえども、昨今の凋密な運転スケジュールではなかなか新しいアイデアを実機に反映できない。小さな変更でさえサイクル間で、配管を変更するような改造は停止期間でないとできない。さらに簡単にもとに戻せないということがジレンマとなって改造のペースを遅れさせてしまう。改良を加えて段々と性能が上がって来ると下手な変更をすると前より悪くなってしまうのである。悪くなったと分かっていてもビームタイムは割り振られている訳であるから「このサイクルは我慢して下さい」ということになる。
 それではまず短時間安定性、つまり振動から見ていくことにする。振動の評価はどう行えばいいであろうか?まず簡単な方法として分光後のX線強度をスペクトルアナライザーで見てやることにした。すると数100Hzの周波数領域に沢山の「トゲ」が立っていることが分かった。これを加速度計で調べた装置の機械的な振動と見比べてやって、ここが一致するなどとやるのだが正直いってその先に進めない。それではとオシロスコープを持ち出して時間領域で見てやるとこれも確かに振動しているのだが、やっていることは変わらないしやはり比較が面倒である。というのも装置の動作点を選ぶ自由度が多いのである。列挙すると、熱負荷(アンジュレータギャップ)、分光器の角度(エネルギー)、第1結晶の角度、液体窒素の温度、流量、圧力等々、これらに対して振動スペクトルのグラフが出てきてもノートに張付けて途方にくれるばかりである。結局現状のかなりひどい振動ではその詳細情報は(少なくとも筆者には)無意味であり、振動の大きさだけを議論するのがよいということになった。それもアンジュレータギャップ50mmの1次光(18.7keV)を分光結晶のSi333反射で受けて、そのロッキングカーブ幅を利用することにした。ギャップを全開にして振動への熱負荷による影響を切り分ける。18.7keVのSi333反射のロッキングカーブ幅は計算から、ω0=0.8"であるのでロッキングカーブ幅の測定値ωから振動の半値全幅ωVωV=(ω2-ω021/2と数値化できる。こうしておいて初めに液体窒素の温度、流量、圧力に対する振動を調べて最適値を探したり装置の改良を加えて、ある程度のところまで行ったら個々の周波数成分に対して細かな対策を施すのが良いと判断した。
 2000/4:当初液体窒素の流量が安定しないこと、液体窒素冷凍器から分光器までの外部配管が振動していたことから、振動の主な原因が液体窒素ポンプなどの外部装置にあると考えた。そこでバイパスやモーターの回転速度を変えてポンプの動作点を圧損-流量平面内で変えていろいろやるのだがあまり芳しくない。2000/9:それではとポンプそのものの特性を変えてやるべく、羽の形状を改良してやる(1ヶ月以上待つことになる)がこれも効果がでない。Fig.1に示すようにωは2"以上と理想値に比べてかなり大きい。2000/10:どうも振動の原因は分光器内部のフレキシブルチューブのせいではないかということが分かってきた。水冷の頃は実際に流してやって手で触りながら配管の振動を止めてやっていたが、液体窒素ともなるとそうも簡単にはいかない。フレキシブルチューブを固定して振動を抑えたり、重りを付けて共振周波数を下げるなどやってみた。すると7l/min以下ではω=1.2"と大幅に改善された(Fig.1)。ところが配管を固定して振動が収まると新たな問題が出てきた。数10秒から数分おきに数秒間流量が大きく乱れビーム強度も激しく変動するのである。これではI0が安定せずXAFSなどの測定では大変困ったことになる。2000/11:流量の不安定性は液体窒素の温度を上げることで回避できることが判明した。温度を73〜76Kで振ってみて、76Kが一番安定しているとした。2000/12:配管の変更を行ったが、これが裏目に出てω=1.4"と悪化してしまった。ところがBL19LXUのコミッショニングが始まると面白いことが分かった。この新しいビームラインではモーターのホールド電流を少なめに設定していた所、可動ステージの結晶に近い部分が凍結してしまった。この時のロッキングカーブ幅を見るとω=1.0"程度と格段に良くなっていた。凍ったままだと調整が出来ないのでホールド電流を多くして温度を上げると振動が酷くなる。結局押しネジとバネで駆動するステージが共振していたことが判明した。こうなるともはや分光器の改造はしないとは言ってられず、最小限の改造もやむなしとなる。2001/4:強度的に問題のあったTx,Tyの2つのティルトステージを、ウォームギアを用いたスイベルステージに載せ変えた。この甲斐あって現在ではω=1.0"と1年前に比べると格段に進歩した。この位だと通常の実験で振動が致命的な問題になることは無い。ただBL29XULの長尺部分を使った実験になると、まだまだ不十分と言わざるを得ない。実は分光器への液体窒素配管の接続部分のエルボーが振動をおこす原因ではないかと疑っており、この部分を改良すべく2001年の夏期停止期間中に外部配管の大改造を行う予定でいる。




Fig.1 The rocking curve width of the first crystal of the monochromator. Dashed line indicates the theoretical width.



 さて長時間の安定性はどうであろうか?液体窒素冷却分光器が熱負荷のある所でドリフトしていくことは容易に観察できるが、どのように定量的に調べるべきか?いろいろ考えた結果、定周期で分光器の第1結晶のピークサーチを行いそのピーク位置をプロットすることにした。ドリフトの測定は出発地点が分かっていなければならないので、50mmギャップの1次光で合わせておいてその後一気に10.5mmギャップにもって行く。10.5mmギャップの3次光のエネルギーは50mmギャップの1次光と同じ18.7keVである。この時の熱負荷は、フロントエンドスリットの開口が1×1mm2、蓄積電流100mAで0.6W(50mmギャップ)と470W(10.5mmギャップ)と見積もられる。2000/4:とにかくどのくらいずれていくものか測ってみたのがFig.2である。熱負荷がかかった時のドリフトの大きさと、さらには延々とずれていくことに絶望してしまう。解析してみると(物理的描像はともかく)この曲線は2つの指数関数の和で記述できることが分かった。2つの緩和時間は210sと5400sである。分光器内の主要な箇所に熱電対を張り付けてあったので、その温度変化と見比べてやると速い方は結晶の温度(循環する液体窒素の温度)が落ち着く時間で、遅い方は第2結晶のステージの温度上昇に対応している。結晶の温度は液体窒素の容量と冷凍器の冷却能力と熱負荷で決まるものでどうすることもできないが、幸い緩和が速いのであきらめがつく。問題は遅い方で、「MBSを開けたら落ち着くまで5時間お待ちください。」などというわけにはいかない。




Fig.2 Drifts of the peak position of the rocking curve of the first crystal of the monochromator.



 ステージの温度がジリジリと上昇して行く理由は簡単で第1結晶からのコンプトン散乱である。普通挿入光源のビームラインでは(回転)傾斜配置をとるので結晶表面は分光器の表蓋の方を向いて、コンプトン散乱は蓋を温める。ところが平板結晶を使うと第1結晶からの散乱線は第2結晶のステージ類を直撃してしまう。そのパワーは入射光の1割程度と見積もられるので、最大負荷時には50Wにも達してしまう。2000/5:散乱線を遮蔽するために液体窒素冷却ホルダーに銅板を取り付けて遮蔽してみる(Fig.3)。多少の改善はあるが、まだまだなので1mm厚の鉛板を上乗せする。かなりおとなしくなって来るが、まだドリフトする。コンプトン散乱を抑えると液体窒素温度の結晶ホルダーがステージを冷やしていることが気になりはじめる。しかしコンプトン散乱を遮蔽で防いで、冷えてくるのを断熱で守るやり方には自ずと限界がある。こういう訳で思い切ってステージの温度コントロールをするという攻めに転じることにした。結晶ホルダーの断熱を多少悪くしてステージを冷やし気味にしながらヒーターで温調することも考えたが、高級すぎて具体的なパラメータを計算するのも面倒だ。幸い水冷結晶の時使っていたチラーが余っているので、この水をステージに循環させて温度を一定にすることにした。水を循環させる場所は第2結晶のホルダーとステージの間が効果的であろう。この標準型2結晶分光器は2つの結晶の役割を明確に分けた上で設計されている。すなわち第1結晶は熱負荷を受け、第2結晶はエネルギーを決めるのである。2000/10:このために結晶ホルダーの厚みを5mm削って、ステージが冷えないように温めているにもかかわらず皮肉にも「水冷プレート」と呼んでいる部品を入れるスペースを捻出した(Fig.3)。この水冷プレートの効果は絶大でFig.2に示すように第1結晶のずれは殆どなくなった。少しずつずれていくのは主に第1結晶側のステージの温度が上昇するためである。2001/2:2結晶の平行性が大きくずれない所までは安定化したので、この状態で分光後のエネルギーがどの程度安定しているかを測定した。この頃では特別フラックスを必要とせず安定性を重視する実験では、フロントエンドスリットの開口を0.5×0.5mm2で使用していたので、エネルギードリフトの測定はこの開口で行った。分光器と平行配置になるようにSi333のチャンネルカット結晶を用いてエネルギーを測定した。分光器の第1結晶をピーク位置に合わせた後、エンコーダー付の精密ゴニオメーターでチャンネルカットの方でピークサーチを行いエネルギーを決定する。こうして入射後約48時間の分光器の第1結晶のピーク位置とチャンネルカットから割出したエネルギーのずれを測定した(Fig.4)。途中24時間目で一度定時入射が行われている。エネルギーは初めに大きく変化する。初めの1時間で約3eV程度ずれ、その後は1.5eV程度の範囲に収まっている。再入射後も直後に大きくずれる他は、すぐに入射前の値に戻っている。このエネルギーでの分光器のエネルギー幅が大体2.5eV程度あることを考えると、入射後しばらくしたらエネルギーはずれなくなると見て良い。これでまず文句は出ないはずだ。




Fig.3 Photo of the stages inside the monochromator. The shield (A) and the water-cooled-plate (B) can be recognized.




Fig.4 Drifts of the peak position of the first crystal rocking curve and the energy of the output beam.



 もちろん初めに書いたように悪いことばかりではない。熱負荷に対する装置の冷却能力は十分であることはすぐに示された。熱負荷を変える最も簡単な方法はギャップを変えることであるが、スペクトルも一緒に変わってしまい解析が困難となってしまう。2000/6:ドリフトも大分収まってきたので、加速器グループの協力を得てスタディを計画した。ギャップは最低の9.6mm固定にして、蓄積電流を100mAから1mAまで変化させる。こうすると他の条件を変えずに分光器への熱負荷を500Wから5Wまで2桁変化させることができる。Fig.5に示したものが蓄積電流に対する分光後のX線の強度のグラフである。蓄積電流が増えるに従って直線的に強度が増えていることが分かる。熱負荷の無視できる低蓄積電流値での強度から外挿した直線に高熱負荷時の測定強度が良く合っている。また各電流値での第1結晶のロッキングカーブ幅も一定であった。これらのことから冷凍器や結晶ホルダーを含めたシステム全体としての能力は十分であると言える。ただし60mA以上の蓄積電流値で数%程度強度が低く出ているが、これは液体窒素流量の不安定性によるものと考えている。振動や流量の不安定性などが全て解決されたらもう一度調べてみたい。




Fig.5 The ring current dependence of the measured beam intensity.



 液体窒素冷却を導入するに至った一番の理由であるビームの質に関して見てみることにする。ビームの質に関して我々の興味は空間的な干渉性-空間コヒーレンス-にあるが、これを測るのは大変であるのでビームの形状で議論する。2000/4:ビームの形を見る最も容易な方法はCCDを用いたビームモニタを使うことである。しかし実際に見てみると熱負荷の高いギャップの小さな所では高次光と重なってきて不思議な形状になる。結局エネルギー分解能のあるNaIシンチレーションカウンタを用いてスリットスキャンをすることにするが、ドリフトが大きくてとても測定できない。2000/12:苦労の甲斐があってドリフトが収まってきたのでスリットスキャンを行う。比較のために熱負荷最小の50mmギャップ(18.7keV)と最大の9.6mmギャップ(16.55keV)で測定した(Fig.6)。フロントエンドスリットは1×1mm2である。ビーム形状を測るスリットの開口は50×50µm2である。ビームの強度分布は熱負荷によらず半値全幅、横1.3mmで縦0.7mmで同じである。どちらも非常にきれいなビーム形状で光源のもつ空間コヒーレンスを良く保存していることが期待できる。ただしギャップ9.6mmの方で裾の方がやや広がっているところに熱負荷の影響が見られる。1つ注意したいのは熱負荷によって出射位置がずれていることである。現在ではステージの構造が当時とは異なるので改善されていると思われるが測定していないので何とも言えない。残念ながら定位置出射は我々には優先度が高くないのである。




Fig.6 The measured beam profiles under different heat loads.



 さて技術的な話ばかりだとやや退屈なのでビームの形状についてひとつ興味深い現象を報告する。Fig.7は10.5mmギャップの1次光(18.7keV)と3次光(56.1keV)のビームの高さ方向の強度分布を分光器の第1結晶のロッキングカーブ上の各点で測定したものである。測定の条件はフロントエンドスリット1×1mm2の下で蓄積電流83mAと1mAの2つである。液体窒素冷却の分光器を使っている方々にはスクリーンモニタ上で見られる馴染みの現象である。残念ながら紙面も尽きてきたので種明かしはまたの機会にしたい。
 現在のBL29XUL / 19LXUの液体窒素冷却分光器の状態をまとめる。強度の蓄積電流依存性やビームの形状測定からBL29XULでは利用を許可されている範囲の熱負荷でビームの質の劣化なく利用できる。短時間の安定性については数十〜数百Hzの領域で振動が見られる。ロッキングカーブ幅の測定から振動の振幅はωV=0.6"(FWHM)程度と見積もられる。これは通常の実験では大きな支障はないレベルになっている。長時間で見るとフロントエンドスリットを0.5×0.5mm2で利用すれば分光器を合わせ直すことなく数日間の実験が行える。エネルギーは熱負荷を変えると数eV程度変化するが同じ熱負荷で利用している限り分光器のエネルギー幅以上大きくずれることはない所まで安定化出来ている。しかし定位置出射のように手付かずの問題も残されている。この夏期停止期間中にコンプトン遮蔽及び配管周りに改良を加えてさらなる安定化を達成する予定でいる。これらの結果については(成功すれば)秋に行われるSPring-8シンポジウムで報告したい。




Fig.7 The vertical intensity distribution of the first and the third harmonic as a function of the first crystal angle.




参考文献
[1]M. Yabashi et al.:Proc. SPIE, 3773(1999)2.
[2]T. Mochizuki et al.:Nucl. Instrum. Methods, A467-8(2001)647.




玉作 賢治 TAMASAKU Kenji
理化学研究所 播磨研究所 X線干渉光学研究室
〒679-5148 兵庫県佐用郡三日月町光都1-1-1
TEL:0791-58-2805 FAX:0791-58-2807
e-mail:tamasaku@postman.riken.go.jp


矢橋 牧名 YABASHI Makina
(財)高輝度光科学研究センター ビームライン・技術部門
〒679-5198 兵庫県佐用郡三日月町光都1-1-1
TEL:0791-58-0831 FAX:0791-58-0830
e-mail:yabashi@spring8.or.jp


望月 哲郎 MOCHIZUKI Tetsuro
(財)高輝度光科学研究センター ビームライン・技術部門
〒679-5198 兵庫県佐用郡三日月町光都1-1-1
TEL:0791-58-2861 FAX : 0791-58-2862
e-mail:mochizut@spring8.or.jp


石川 哲也 ISHIKAWA Tetsuya
理化学研究所 播磨研究所 X線干渉光学研究室
〒679-5148 兵庫県佐用郡三日月町光都1-1-1
TEL:0791-58-2805 FAX:0791-58-2807

e-mail:ishikawa@spring8.or.jp



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[ - Vol.15 No.4(2010)]
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