Volume 06, No.5 Pages 341 - 357
1. SPring-8の現状/PRESENT STATUS OF SPring-8
2002A SPring-8共用ビームライン利用研究課題の募集について
Call for the Beam Time Application for the Public Beamlines at SPring-8
(財)高輝度光科学研究センターでは、SPring-8の共用ビームラインを利用して行う研究課題を募集しています。以下の要領でご応募下さい。なお、別途特定利用課題も募集しております。締切日、申請書類等をホームページで案内しています。
1.平成14年前期(2002A)利用期間
平成14年2月14日~平成14年6月の予定
2.募集の締め切り
平成13年10月27日(土)消印有効
持参および時間指定宅配便は10月29日(月)午前10時利用業務部到着分まで受理。
申請書の受理通知は11月5日(月)までに電子メールで行います。
3.募集の対象となるビームライン
募集の対象となるビームラインを表1に示します。
このうち2002Aから新たに募集を開始するBL13XU(表面界面構造解析ビームライン)は立ち上げに資する課題を優先します。
4.提供するビームタイム(平成14年度の予算により変更される可能性があります)
・共用ビームライン(表1参照):200シフト程度
ただし、BL28B2は一部工事のため供給できるのは150シフト程度の見込みです。
・R&Dビームライン(共用ビームラインBL38B1,BL46XU, BL47XU):80シフト程度
・原研ビームライン(BL11XU,BL14B1,BL23SU):50シフト程度
なお、原研が行っている研究については原研に問い合わせてください。
・理研ビームライン(BL44B2, BL45XU):50シフト程度
なお、理研が行っている研究については理研に問い合わせてください。
BL29XU(理研 物理科学Ⅰ:長尺BL)は募集を計画中です。利用については理研の担当者と内容等を相談してください。
5.2002Aのセベラルバンチ運転モード
(申請書の12-2参照)
2002Aより、SPring-8のセベラルバンチ運転はモードを各期5種類に限定することにしました。詳細はホームページをご覧ください。2002Aに行う運転モードは以下のとおりです。
Aモード:203bunches(蓄積リング全周において等間隔に203個のバンチに電子が入っている。1日2回入射)
Bモード:4-bunch train×84(連続4バンチのかたまりが、全周において等間隔に84ある。1日1回入射)
Cモード:11-bunch train×29(連続11バンチのかたまりが、全周において等間隔に29ある。1日1回入射)
*Dモード:1/12-filling +10 bunches(全周を12等分し、1/12には連続して85mA相当の電子が入り、残りの部分は等間隔10カ所に各1.5mA相当のバンチがある。1日2回入射)
*Eモード:10/84-filling +73 bunches(全周を84等分し、10/84は連続して約64mA相当の電子が入り、残りの部分に等間隔に73バンチ合計約36mA相当の電子がはいっている。1日2回入射)
*上記のDおよびEモードはA期(2002A,2003A,…)のみ運転します。B期(2002B, 2003B,…)のDおよびEモードはそれぞれ1/21-filling+18bunchesおよび6/42-filling+35bunchesの予定です。
6.応募方法
[1]成果非専有課題
SPring-8利用研究課題申請書(成果非専有用)を記入要領に従い作成し、正本1部、副本15部を項目9の提出先までお送り下さい。副本の作成は項目8に示す。
[2]成果専有課題
SPring-8利用研究課題申請書(成果専有用)を記入要領に従い作成し正本1部、副本5部を項目9の提出先までお送り下さい。副本の作成は項目8に示す。
成果専有課題を申請される場合は、別途料金支払い等に関する契約を結んでいただく必要がありますので、利用業務部にお問い合わせ下さい。
7.申請書
成果非専有用、成果専有用の申請書の別があり、各申請書は蛋白質結晶構造解析用申請書とそれ以外(散乱・回折、XAFS、分光、実験技術)用があります。2002Aより様式が一部変更になりました。以下の、SPring-8のWWWホームページにPDF形式ファイルと一部Wordで供給しています。また、成果非専有課題の申請書は本誌の349ページからのコピーも利用いただけます。
[利用研究課題募集案内のホームページアドレス]
http://www.spring8.or.jp/JAPANESE/user_info/(日本語)
http://www.spring8.or.jp/ENGLISH/user_info/(英語)
8.副本について
作成された申請書A4版の原本(正本)の1,2頁を表面に、また3,4頁を裏面としてA4版1枚に左綴じで読めるようにした縮小両面コピー。(蛋白質結晶構造解析の課題で原本が5枚になった場合は5頁目を同様に縮小コピーし副本の2枚目として下さい。)
9.申請書提出・問い合わせ先
〒679-5198 兵庫県佐用郡三日月町光都1-1-1
(財)高輝度光科学研究センター 利用業務部
「共用ビームライン利用研究課題募集係」
平野有紀、坂尻佐和子、牧田知子
TEL:0791-58-0961 FAX:0791-58-0965
e-mail:sp8jasri@spring8.or.jp
成果専有課題を郵送される場合は封筒に「専有」と朱書して下さい。
10.申請書作成上のお願い
[1]審査希望分野について
分野の区分を細分化しました。
磁気XAFSはS2(蛍光X線、XMCD)に申請してください。
なお、BL04B2を希望される場合は「6.希望ビームラインと優先順位」の項目に希望ステーション名も必ずご記入下さい。
[2]課題の種類(新規/継続)について
SPring-8の課題は6カ月の間に実行できる範囲の具体的な内容で申請してください。SPring-8の継続課題は、前回申請した課題が、なんらかの理由により終了しなかった時に申請していただくものです。研究そのものが何年も続いていくことと、SPring-8の継続課題とは別に考えてください。前回採択された課題のビームタイムを終了されて、研究が続く場合は新規課題の申請を行ってください。
[3]実験責任者について
実験の実施全体に対してSPring-8の現場で責任をもつ人が実験責任者となってください。
[4]特殊な運転モード、フィリングについて
2002Aから、特殊な運転モードの希望(マルチバンチを含む)は申請書の特記事項および12-2.セベラルバンチ運転メニューから選んでいただくことになりました。2002Aに運転を予定しているセベラルバンチモードは前頁項目5に示してあります。
11.審査について
[1]成果非専有課題:科学技術的妥当性、研究手段としてのSPring-8の必要性、実験の実施可能性、実験の安全性について総合的かつ専門的に審査を行う。
[2]成果専有課題:実験の実施可能性、実験の安全性のみ審査する。
12.審査結果の通知
平成13年12月下旬の予定
なお、採択の通知を受けた申請者(実験責任者)は2週間以内に利用研究課題実行者名簿をインターネットで登録していただくことになります。また、そのときに新規のユーザーはユーザー登録が必要になります。
13.ビーム使用料
成果非専有課題(成果を公開された場合*)):無料
成果専有課題:
通常利用 :472,000円/1シフト(8時間)
時期指定利用:708,000円(ビーム使用料+割増料金)/1シフト(8時間)
*)課題終了後60日以内に利用報告書を提出していただくことで、成果が公開されたとみなします。
14.旅費支援について
平成14年度の予算によっては、旅費支給方法が変更される可能性があります。予め御了承願います。
15.次回(2002B)の応募締切
次回利用期間(平成14年9月~平成15年1月 ただし2~3週間程度の冬期長期運転停止期間あり)分の募集は平成14年5月に締め切る予定です。
表1 募集の対象となるビームライン
■共用ビームライン(R&Dビームライン[BL38B1, BL46XU, BL47XU]以外):200シフト程度を利用できます。なお、BL13XUは今回2002Aから募集を開始します。
この申請書記入要領は「成果非専有」用です。「成果非専有」研究とは利用結果を公開することにより、ビーム使用料が無料となる研究です。利用結果は実験終了後60日以内に所定の様式に従う利用報告書で公開していただきます。これをJASRIは利用報告書集として公表します。また、利用結果を含む科学技術論文が出版される場合は、JASRIにその別刷を提出していただきます。
生命科学分野で構造生物学の課題を申請されれるかたは、[3]および[4]ページは別フォーマットの蛋白質[3],蛋白質[4]で申請して下さい。
また、成果専有(成果非公開;ビーム使用料有料)課題用申請書は別にありますので利用業務部へお問い合わせください。
SPring-8利用研究課題申請書(成果非専有用)記入要領
(本要領の見出し番号は「申請書」の記載事項の番号と一致しています。)
-2002A改訂部分-
(1)1.提案の種類に「留保R」を追加した。
(2)4.審査希望分野を細分化した。
(3)特記事項と12-2セベラルバンチ運転メニューで、
特殊な運転モードの希望をメニューから選ぶ様式にした。
はじめに
審査は書類だけで行われます。研究分野が多少異なる審査員が読んでも、その提案の重要性が理解できるように、研究の目的や方法等それぞれの項目について具体的に記述して下さい。また、半年の共同利用実験のビームタイムの範囲内で実行できる内容の申請を行って下さい。包括的な内容の申請は審査の対象となりません。
[1、2ページ目]共通項目
1.提案課題の種類:「新規N」通常の申請。
「継続C」以前採択された課題が何らかの理由により終了せず、継続して実験したい場合の申請。前回採択された課題のビームタイムを終了されて、研究が続く場合は新規課題の申請を行ってください。実験責任者が変わる場合は新規課題で提出して下さい。
「緊急U」緊急に実験が必要になった場合の申請(随時受付)。
「留保R」留保ビームタイムの申請(留保ビームタイムを提供した場合)。
2.実験責任者:
実験の全体を把握し、かつ実験の実施全体に対してSPring-8の現場で責任をもつ人を記入して下さい。
すでにSPring-8のユーザー登録をされているかたはユーザーカード番号も記入して下さい。なお、電子メールアドレスが記入されている申請者には、締め切り日から2週間以内に申請書の受理通知を電子メールで送ります。
3.実験課題名:
申請書には、実験方法や測定対象を明らかにした6カ月の共同利用期間で遂行できる具体的な実験課題名を、日本語および英語で記入して下さい。包括的な課題名による申請は審査の対象となりません。なお、申請者の優先性の保護のため実験が終了するまで課題名を公表しません。(即ち、課題の採択時には、実験責任者の名前と所属、配分シフト数のみ公表し、課題が終了後に課題名を公表します。)
4.審査希望分野:
希望する審査分野を記号で記入して下さい。磁気XAFSはS2(蛍光X線、XMCD)に申請してください。
5.共同実験者:
実際にビームラインを使って実験を行う人に限定して、実験責任者を含まない1名以上を記入して下さい。ただし、10名以上になる場合は主要メンバー10名までを記入して下さい。すでにSPring-8のユーザー登録をされているかたはユーザーカード番号も記入して下さい。
6.希望ビームライン:
希望するビームラインの番号(名称)を順位をつけて記入して下さい。また、その理由については12.で明らかにして下さい。2本のビームラインの利用を希望される場合は、各ビームラインごとに申請書を提出してください。BL04B2を希望される場合はステーション名も必ずご記入下さい。
7.所要シフト数:
実験目的を達成するために必要なビームタイムをシフト数(1シフト=8時間)で記入して下さい。このときに、この課題は6カ月の間に共同利用として実施することを考慮してください。実験を分けて行いたいものは1回に必要なシフト数と何回行いたいか記入し、その合計も記入して下さい。また算出根拠を後の項目12.に記載してください。
特記事項
来所できない時期:原則として、審査後申請者に利用時期についての問い合わせを致しませんので、ビームタイムの配分を受けても実験ができない時期がわかっている場合は、記述して下さい。
特殊な運転モードの希望:特殊な運転モードが必要かどうか該当するチェックボックスにチェックを入れてください。希望がない場合は、運転モードの選択は施設の担当者に一任していただきます。マルチバンチを希望される場合、マルチバンチでなければ実験ができない場合は「必須」に、マルチバンチでなくても原理的には実験できるが、マルチバンチで実験するほうがよりよい場合は「好ましい」にチェックを入れてください。セベラルバンチのフィリングの希望は項目12-2に記述してください。
8.安全性に関する記述、対策
(1)施設に持ち込む測定試料全ての名称、形態(形状)、量、性質(放射性、毒性、可燃性、伝染性、無害など)について記入し、取り扱いに注意を要する物質については利用法、保存法、利用後の処理法を記入して下さい。なお、SPring-8では持ち込み物品は全て持ち帰っていただくことになっています。
・「試料名」について:
一般名、構造式等(XAFSを測定する場合は組成も)を記入し、略称や頭文字の表記はさけて下さい。CAS番号があるものでも自分で調整した試料には「自作」、自分で創製した試料で物性値が未知のものについては、「創製」と付記してください。
・「形態(形状)」の例:
結晶、粉体、加圧成形体、小片、液体、薄膜
・「量」について:
体積、重さ、または、プレート、ドロップ、ボタン、キャピラリの大きさ、及び個数で表示
・「性質」の例:
発火性、引火性、可燃性、爆発性、酸化性、禁水性、強酸性、腐食性、有毒性、放射性、感染性、発ガン性(催奇性)、その他の有害性、無害等。
非密封RI試料、ウイルス試料は今回の募集対象外です。密封放射線源については定義量(3.7MBq)未満のものに限り実験ホールでの使用が認められています。動物の持ち込みがある場合は「動物持込み有」チェック欄にチェックしてください(課題が採択されましたら、「動物実験計画書」を提出していただきます)。
(2)測定試料以外で安全上取扱いに注意を要する
物質の名称、形態、量、性質、使用目的と具体的な使用方法を記入し、安全対策を示して下さい。上記(1)参照。
(3)施設に持ち込む装置、器具の名称と、安全に配慮しなければならないものについては、その仕様と安全対策を記入して下さい。
(4)安全に配慮しなければならない実験を行う場合は、該当する内容にチェックを入れ、安全対策を記入して下さい。
9.必要とする施設の装置、器具
ビームラインハンドブックで確認した後、記入して下さい。最新情報はSPring-8のWWWホームページ(http://www.spring8.or.jp/JAPANESE/facility/bl/)にありますので、参照してください。
署名欄 自筆署名してください。(署名がない場合は受理されませんので、ご注意ください。)
[3、4ページ目]一般(構造生物学以外)
10.提案の種類と提案理由
提案の種類にチェックを入れ、その種類によって以下の観点で提案理由を記入して下さい。
「新規提案」:
研究分野が多少異なる審査員が読んでもその提案の重要性が理解できるように、研究の意義、目的等それぞれの項目について具体的に記載して下さい。包括的な内容の申請は審査の対象となりません。期待される成果の中ではSPring-8の寄与する点を具体的に示して下さい。
「継続提案」:
継続を必要とする理由(例:ビームダンプがあり実施できなかった等)を記入して下さい。前回の申請で行われた実験の結果(成果)について具体的に記載し、問題点があった場合はその解決策を示したうえ、今回の提案で実施を計画している内容を具体的に示して下さい。試料の変更、実験方法に大きな変更を伴うものについては「新規提案」で申請して下さい。
「緊急提案」:
緊急に実験が必要になったときに提案して下さい。SPring-8のビームラインによる実験が不可欠であり、かつ、緊急性が必要な理由を具体的に示すとともに、その波及効果についても示して下さい。
「留保提案」:新規提案に準ずる。
11.本申請に関わるこれまでの研究成果、準備状況、これまでに採択された課題との関係、他に申請課題がある場合はその課題との関係、同種実験の経験
期待される成果を得るために、これまでに得た研究成果並びに装置、試料の準備状況等を具体的に示して下さい。これまでに採択された課題との関係や関連テーマで他に申請があるときは、その課題との関係を記述してください。同種実験の経験についても記述して下さい。
12.実験の方法(レイアウト、測定法、検出器、試料の濃度等を明確にする)、ビームライン選定の理由、使用するエネルギー(波長)又は特性線(例:Pb-L)、シフト数の算出根拠
(1)新しい測定法の場合には、図を用いて実験の特徴が明らかになるようにして下さい。
(2)最適のビームラインを選ぶため、申請書作成にあたってはSPring-8のビームラインの整備状況をWWWホームページ(http://www.spring8.or.jp/JAPANESE/facility/bl/)で確認して下さい。
(3)ビームラインのどのような特性(例えば、エネルギー範囲、集光特性、測定器等)に着目して利用を希望するビームラインを選定したのかについて説明して下さい。XAFSの測定の場合は測定法(透過法、蛍光法それもライトル検出器か半導体検出器-シングル、マルチ、か等)、元素、吸収端、試料濃度、試料のマトリックスの種類を必ず記述して下さい。
(4)要求するシフト数の算出根拠を記述して下さい。
12-2.セベラルバンチ運転メニュー
この欄は「特記事項」で特殊な運転モードとしてセベラルバンチを希望した場合のみ記入してください。希望するモードは優先順位(1,2,…)を、実験できないモードには×を記入してください。なお、A、B、C、D、Eの各モードはA期とB期で異なりますので、必ず募集案内のホームページで確認してください。メニューに示した5種類のモード以外を希望される場合は「その他」の欄にフィリングの詳細と必要理由を記入してください。
[蛋白質3、蛋白質4ページ目]構造生物学用
10.提案の種類と提案理由 一般と同じ
11.これまでに採択された課題との関係、関連するテーマで他の申請がある場合はその課題との関係、同種実験の経験
これまでに採択された課題との関係、関連するテーマで他の申請がある場合はその課題との関係や同種実験の経験について記述して下さい。
12.ビームライン選定の理由、シフト数の算出根拠
ビームラインの選定の理由と要求するシフト数の算出根拠を記述してください。
12-2.セベラルバンチ運転メニュー
必要があれば、一般申請書[4]の12-2に記入し、添付してください。
13.構造解析の対象についての情報
SPring-8での実験について、審査に必要な項目があげてありますので、できるだけ漏れなく記入してください。なお、書ききれない場合は用紙を追加してください。
様式A1 SPring-8利用研究課題申請書(成果非専有用)
SPring-8利用研究課題申請書の記入例