Volume 15, No.1 Page 50
5. 告知板/ANNOUNCEMENTS
最近のSPring-8 関係功績の受賞
SPring-8 Related Achievements
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※功績が認められ最近受賞されたSPring-8利用者等を掲載しています。
2009年度朝日賞 主催:朝日新聞文化財団
受賞者 | 豊島 近 |
東京大学 分子細胞生物学研究所 教授 | |
ビームライン | BL41XU |
研究業績 | カルシウムポンプ作動機構の解明 |
研究内容 | カルシウムポンプ蛋白質は生体膜に埋め込まれた膜蛋白質であり、ATP(アデノシン三燐酸)の加水分解によって放出されるエネルギーを利用し、濃度勾配に逆らってカルシウムイオンを輸送する。
たとえば、筋肉の収縮のために、カルシウムの貯蔵庫である筋小胞体から放出されたカルシウムイオンを、筋小胞体中に汲み戻すことによって、筋肉の弛緩をもたらす。このポンプ蛋白質の作動機構を原子構造に基づいて理解することが本研究の目的である。2000年に最初の「カルシウム結合状態」の結晶構造を決定して以来、SPring-8の構造生物学IビームラインBL41XUを用い、運搬サイクル全体をほぼカバーする9つの中間状態の結晶構造を決定し、作動機構を解明した。 |
受賞理由 | 豊島教授グループは、困難なことで知られる膜蛋白質の結晶化に取り組み、独自の技術を開発してカルシウムポンプ蛋白質の構造決定に成功した。さらには、反応サイクル中の中間状態の構造を次々と決定し、濃度勾配に逆らってイオンを輸送するという複雑な動作を原子構造に基づいて説明するという画期的な研究を成し遂げた。しかも、構造変化の大きさは誰も予想し得なかったものであり、多くの派生的研究を促進するなど、構造生物学に多大なインパクトを与えた。 |
第7回ひょうごSPring-8賞 主催:ひょうごSPring-8賞実行委員会
受賞者 | 尾崎 哲也 |
(株)ジーエス・ユアサコーポレーション 研究開発センター第二開発部 | |
ビームライン | BL19B2 |
受賞テーマ | ニッケル水素電池の高容量化と長寿命化 |
受賞理由 | SPring-8のXAFS・粉末X線回折を用い、電池性能に優れた結晶系を同定するとともに、劣化につながる原因を解明し、合金化や元素の置換により世界初の「ポリタイプ積層水素吸蔵合金」を開発、ニッケル水素電池に採用。これにより市販化されたニッケル水素電池「eNi TIME(エニタイム)」は、従来品の蓄電性能を20%上回り、自己放電を大幅に改善することに成功、従来のアルカリ乾電池が使用されている機器に幅広く活用される等、大きな経済効果が期待される点が評価された。 |
受賞理由 | 豊島教授グループは、困難なことで知られる膜蛋白質の結晶化に取り組み、独自の技術を開発してカルシウムポンプ蛋白質の構造決定に成功した。さら には、反応サイクル中の中間状態の構造を次々と決定し、濃度勾配に逆らってイオンを輸送するという複雑な動作を原子構造に基づいて説明するという画期的な 研究を成し遂げた。しかも、構造変化の大きさは誰も予想し得なかったものであり、多くの派生的研究を促進するなど、構造生物学に多大なインパクトを与え た。 |
平成21年度兵庫県科学賞 主催:兵庫県
受賞者 | 吉良 爽 |
(財)高輝度光科学研究センター 顧問 | |
業績・活動 | 世界最高性能の放射光施設であるSPring-8の利用促進に努め、数多くの研究成果を創出し、国内外で高い評価を得るとともに産業利用の支援体制を整備するなど科学技術の発展に貢献 |
受賞者 | 宮野 雅司 |
(独)理化学研究所 宮野構造生物物理研究室 | |
業績・活動 | SPring-8を活用した膜蛋白質の研究により、世界に先駆けてウシロドプシンの結晶構造決定に成功するとともに、抗アレルギーの医薬品開発に貢献するなど医学の発展に貢献 |
http://web.pref.hyogo.jp/ac13/ac13_000000009.html
http://web.pref.hyogo.lg.jp/contents/000143300.pdf より転載