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Volume 06, No.2 Pages 137

6. 談話室・ユーザー便り/OPEN HOUSE・A LETTER FROM SPring-8 USERS

研究会「構造物性」の紹介
Introduction of SPring-8 New Research Subgroup, “Structural Materials Science”

高田 昌樹 TAKATA Masaki

名古屋大学大学院 工学研究科 Department of Applied Physics, Nagoya University

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 平成13年1月12日に広島大学にて開かれたSPring-8利用者懇談会の運営委員会において、「構造物性研究会」の発足が正式に認められました。本研究会は、SPring-8利用者懇談会の構造物性に関連したサブグループ(SG)である精密構造物性SG、極限構造物性SG、磁気散乱・吸収SG、コンプトン散乱SG、新たに発足が認められた共鳴散乱構造物性SGを主力として、他の活動を行っている研究者も含めたメンバーを広くを集め、構造物性研究に関心のある研究者間の交流を活発に行うことを目的とするものです。研究会設立の趣旨は以下の通りです。
 近年、強相関係物質、フラーレン関連物質、ゼオライト、ヘビーフェルミオン関連物質等の新奇な物性を示す物質群の登場により、物性との関連に着目した構造研究、すなわち「構造物性」の研究が多くの研究者によって行われるようになった。第3世代放射光源であるSPring-8では、精密構造物性SG、極限構造物性SG、磁気散乱・吸収SG、コンプトン散乱SGをはじめとするいくつかのサブグループの手で、この構造物性の研究に関連した回折、散乱等の実験手法に基づくビームラインが、それぞれ建設されてきた。そして、各サブグループの努力により着実に成果を上げ、この研究分野における重要な役割を果たしつつある。また、共鳴散乱構造物性SGも発足し、新たな構造物性研究分野の開拓がSPring-8で期待される。この様な状況の中で、構造物性研究の更なる展開を進めていく上で、それぞれの研究者が研究成果をもちより情報交換を行い、実験手法だけではなく、研究テーマに基づく有機的な研究協力を生み出すための、多面的な議論の場として、構造物性研究をキーワードとする研究会の必要性が増してきた。本研究会「構造物性研究会」は、この様なSPring-8ユーザーの期待に応える事を目標として結成する。本研究会の結成により、上記のSGを越えた研究者間の交流・協力により、1)構造物性関連のビームラインの整備及び高度化についての情報交換を行い、2)新たな実験・研究手法、及びそれに基づくビームラインの提案についての有用な議論及び提言を研究者間で行い、そして、3)SPring-8における新しい構造物性研究の研究テーマの開拓等を目指していくことが重要であると考える。
発起人 高田昌樹(名大・工)、村上洋一(KEK・PF)、守友 浩(名大・工)、岩佐義宏(北陸先端大・工)、伊賀文俊(広島大・先端研)、稲見俊哉(原研関西研)、澤 博(千葉大・自然)、廣田和馬(東北大・理)、有馬孝尚(筑波大・物質工)、浜谷 望(お茶の水大・理)、圓山 裕(岡山大)、小泉昭久(姫工大)、大石泰生(JASRI)、池田 直(JASRI)、水木純一郎(原研関西研)、下村 理(原研関西研)

 本研究会の設立により、SPring-8利用における構造物性関連のSG間の横断的な協力を促進し、まだ世の中に広く認知されているとは言えない「構造物性」という研究分野を、SPring-8で得られる成果を基に、物性物理・化学を中心とした物質科学の研究分野に広く定着させていきたいと思っております。ここに、本研究会の発足を皆様にお知らせすると共に、志を同じくする方の参加を呼びかける次第です。本研究会に関するお問い合わせは下記にお願いいたします。


代表:高田 昌樹 TAKATA  Masaki

名古屋大学大学院 工学研究科
〒464-8603 名古屋市千種区不老町
TEL&FAX:052-789-4455
e-mail:takata@nuap.nagoya-u.ac.jp


副代表:村上 洋一 MURAKAMI  Youichi
高エネルギー加速器研究機構 物質構造科学研究所
〒305-0801 つくば市大穂町1-1
TEL:0298-64-5589 FAX:0298-64-2801
e-mail:youichi.murakami@kek.jp



Print ISSN 1341-9668
[ - Vol.15 No.4(2010)]
Online ISSN 2187-4794