Volume 06, No.2 Pages 136

6. 談話室・ユーザー便り/OPEN HOUSE・A LETTER FROM SPring-8 USERS

新サブグループ「共鳴散乱構造物性」の紹介
New Subgroup : “Resonant Scattering Subgroup for Structural Materials Science”

澤 博 SAWA Hiroshi

千葉大学大学院 自然科学研究科 Graduate School of Science and Technology Chiba University

pdfDownload PDF (8 KB)


 この度、我々はSPring-8を利用した共鳴X線散乱法による3d, 4f電子系の電荷・スピン・軌道秩序状態の研究のためのビームライン設立を目的とした「共鳴散乱構造物性」サブグループを提案し平成13年1月12日の運営委員会において発足が認められました。その趣旨について説明します。
 近年わが国において放射光による物性研究がめざましい躍進を遂げ、世界的にもトップレベルの成果を上げつつあります。これは日本においては
 ・新物質の開発及びその基礎物性研究で成果を上げている多くの研究グループ
 ・中性子散乱などのミクロなプローブを用いて研究を行っているグループ
との密接な研究協力体制によるものであります。これらの研究の大きな流れの中で、我々は放射光の高輝度・高空間分解能・エネルギー可変性・偏光特性という特性を遺憾なく活用した実験手段により物性の発現機構の解明について研究を進めてきました。この成果は主に「強相関電子系の物性は、電子の持つ自由度(電荷・軌道・スピン)の秩序状態により決定される」と要約されます。例えば遷移金属酸化物における高温超伝導、巨大磁気抵抗などのエキゾチックな物性の発現機構はこれらの複数の自由度が相互に関係することによって織り成されていることが明らかになってきました。
 さらに共鳴散乱法は、将来的には以下のような研究分野への展開も期待できます。
 ・生命科学分野:生体分子中における遷移金属の価数状態が関係する反応機構の解明
 ・応用工学分野:新しい多機能性電子デバイスの開発
 このように「共鳴散乱構造物性」SGでは、個々の物質の物性発現機構の解明にとどまらず、d電子・f電子を含む広い物質系を対象として、基礎研究から応用研究までを行います。このSGの発足を皆様にお知らせすると共に、志を同じくする方の参加を呼びかけるしだいです。なお、お問い合わせは下記にお願いします。



澤 博 SAWA  Hiroshi
千葉大学大学院 自然科学研究科
e-mail:sawa@science.s.chiba-u.ac.jp



村上 洋一 MURAKAMI  Youichi
高エネルギー加速器研究機構・物質構造科学研究所
e-mail:youichi.murakami@kek.jp



SPring-8/SACLA INFORMATION

ISSN 1341-9668 EISSN 2187-4794