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Volume 06, No.2 Pages 129 - 131

5. 研究会等報告/WORKSHOP AND COMMITTEE REPORT

第6回「加速器電源シンポジウム」報告
“The 6th Symposium on Accelerator’s Power Supply System” Report

武部 英樹 TAKEBE Hideki

(財)高輝度光科学研究センター 放射光研究所 加速器部門 JASRI Accelerator Division

Abstract
The sixth symposium on accelerator's power supply system was held on 15th and 16th November 2000 at SPring-8 PR-Center conference room. More than 70 people attended. Many presentations and discussions about, for example, IGBT switching mode power supply for magnets, noise reduction technics, high precision current control technics of accelerators, and so on, have done. Before this symposium, an investigative tour for Hyogo Ion Beam Medical Center, NewSUBARU facility, and SPring-8 facility was held. Announces and registrations for this symposium have been done using only an e-mail and www home page on the Internet.
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 第6回加速器電源シンポジウムが2000年11月21日、22日の二日間に渡り、SPring-8普及棟大会議室で開催された。参加者は約70名で、発表報告と活発な議論が展開された。このシンポジウムは加速器のビームを高性能なものにするために、主に電磁石電源の高安定化等の様々な高度技術開発の検討会から始まって、毎年11〜12月に行われてきた。過去にはKEK(第1回1995)、東大核研(第2回1996)、放医研(第3回1997)、阪大RCNP(第4回1998)、KEK(第5回1999)で行われている。
 この第6回の主催はSPring-8(担当:加速器部門、武部・熊谷(教)・熊谷(桂))と同じ科学公園都市にある、兵庫県粒子線治療センター(板野氏)及び姫路工業大学高度産業科学技術研究所(安東・細野氏)の3者の共同主催である。狭い分野であるため登録・案内を合理化して、開催案内は全てE-mailとWWWのみで行った。またXAFS国際会議で積んだ経験を基にして(JASRI企画部の御協力に感謝します)参加登録申請を完全電子化(FileMakerProを利用)した。郵便やFAXは一切受け付けず(一部の方にはご迷惑であったかも知れないがIT化の名目で許されるであろう)主催側の事務手続きは簡略化された。
 シンポジウムに先立ち1日目の午前中は粒子線治療センター、NewSUBARU、SPring-8の見学会が行われた。(その際、神姫バスには特別の便宜を謀って頂きお礼を申し上げたい。)見学会は電源にとどまらず、三カ所の施設をそれぞれ50分程度で行った。粒子線治療センターは2000年春から試験ビーム運転が始まっており、治療照射室(写真1)や外溝工事の仕上げの段階にあって見学者のアクセスは困難であったが、しかも朝一番のイベントにも係わらず約30人が参加した(写真2、3はNew SUBARU内部と見学者、写真提供:高田博史氏)。 
 
 
 
写真1 兵庫県粒子線治療センター照射室 
 
 
 
写真2 NewSUBARU 
 
 
 
写真3 見学会 
 
 前回のKEKでのシンポジウムでは電気機関車の動力系という、少し離れた分野での最新技術のお話が特別講演としてあった。今回は受電系統、特に電力会社の送電線の落雷対策と瞬時停電対策のお話の特別講演としてお願いした。
 一般発表ではIGBT素子・スイッチングモードの電源のテーマや地落事故、負荷変動、瞬時停電を含む電圧変動補償等電力系統の安定化についての発表が多かった。また時間的な余裕もあったため、加速器電源そのものにとらわれず日常の加速器運転時に頭を悩ませている話題、すなわち電磁石を含む機器の冷却水の問題等を盛り込み、話題が前回に比べて広くなった。また大型加速器用電源としてのスイッチングモードはこれからまだ発展・注目される話題である。それらのノイズ対策もこれからまだ進歩するべき技術でありこの会議はまだしばらく続くであろう。
 今後、さらに、関連した広い分野の研究活動を取り入れ、このシンポジウムが加速器電源等のさらなる発展の場となることが期待される。このシンポジウムの記録として、OHPの原紙を集め1冊にまとめた物を(モノクロで)出版し、関係する方々と図書室にお配りした。プログラムを以下に示しますのでご参照ください。今回の会議のホームページ(http://sp8sun.spring8.or.jp/~takebe/mag/sympo/)からは1部の方の発表(カラーで)もリンクされてますのでご覧ください。
 今回は参加案内の段階からインターネットを活用したものとして概ね成功したと思います。次回の開催地は原研東海が候補に挙がってますが、現在、世話人が検討調整を行っています。決定次第、上記WWWでお伝えする予定です。 
 
 
 
写真4 シンポジウム会場 
 
第六回電磁石電源シンポジウム(西播磨)プログラム 

2000.11.21(火)
見学
 (粒子線医療センター)    案内:板野
 (NewSUBARU)      案内:安東
 (SPring-8)       案内:武部、熊谷

開会挨拶          …SPring-8 菊田 惺志

 1kWh/1MWモジュール型SMESの研究開発
             …九州電力 林 秀美
 電力供給システムにおける落雷と瞬時電圧降下について     
             …立命大電力システム 樋口 武光 
 KEK-PS主リング電源における地絡・被雷事故
             …高エネルギー加速器研究機構 佐藤 皓
 マイクロSMESによる瞬時電圧低下補償
             …大阪大学大学院工学研究科電気工学専 伊瀬 敏史
 スイッチング方式によるシンクロトロン電源の研究
             …東京大学大学院理学系研究科附属原子
             (理化学研究所)雪竹 光輝
 電池を用いた超伝導磁石電源    
             …KEK 和気 Masayoshi
懇親会 (特別食堂) 

2000.11.22(水)
 IGBT電源       …㈱日立製作所 久保 宏
 高精度電磁石電源の開発
             …ニチコン㈱草津工場 特機部 技術 高田 博史

 QP電源性能の改善と高精度電流監視装置の製作
             …SPring-8 武部 英樹
 スイッチング方式を用いたパルスマグネット電源
             …東京電子㈱設計部 岡部 和樹
 The operation of an inverter power supply for the klystron of NewSUBARU
             …姫路工業大学 Shoj  Yoshihiko
 スイッチングモード電源で給電される電磁石のコモンモード特性の測定とパラレルモード
             …岡山大学 工学部 電気電子工学科 小笠 悟司
 機能結合型電磁石の磁場測定
             …京都大学化学研究所付属原子核科学研 森田 昭夫
 大強度陽子加速器計画3GeVシンクロトロン共振電源システム
             …日本原子力研究所 東海研究所 張 鳳清
 理研超電導リングサイクロトロンのセクター電磁石と電源      
             …理化学研究所 大西 純一
 KEK-PS主リング電磁石・電源の冷却水配管における腐食・浸食 
             …高エネルギー加速器研究機構 佐藤 皓
 大阪大学核物理研究センターの電磁石運転及び冷却状況
             …大阪大学核物理研究センター 二宮 史郎
 SPring-8 SRの冷却水質調査
             …SPring-8 大石 秦生
 SPring-8 SRの電磁石冷却Flow Switchの劣化
             …SPring-8 妻木 孝治
 SPring-8 ビーム性能と電磁石励磁電流精度
             …SPring-8 熊谷 教孝、田中 均
次回開催について     …NewSUBARU 安東 愛乃輔
閉会挨拶         …SPring-8 熊谷 教孝




武部 英樹 TAKEBE  Hideki
(財)高輝度光科学研究センター 放射光研究所 加速器部門 
〒679-5198 兵庫県佐用郡三日月町光都1-1-1
TEL:0791-58-0856 FAX:0791-58-0850
e-mail:takebe@spring8.or.jp
略歴:理化学研究所サイクロトロン研究室でリングサイクロトロンの電磁石及び電源を担当。1988年から大型放射光推進室に兼任で入り、93年から西播磨に本務として転勤し蓄積リングの電源の設計・設置・試験に関係してきた。また兼任で情報計算機GとしてSPring-8全体の通信機器・ネットワークの設計に携わって来た。



Print ISSN 1341-9668
[ - Vol.15 No.4(2010)]
Online ISSN 2187-4794