Volume 06, No.2 Page 90

1. SPring-8の現状/PRESENT STATUS OF SPring-8

−分光分科会−
– Spectroscopy Division –

藤森 淳 FUJIMORI Atsus

東京大学大学院 新領域創成科学研究科 Faulty of Frontier Sciences, University of Tokyo

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 分光分科会の主査としての第2期目(副査を含めて3期目)を、JASRIのスタッフの方々に助けられ、何とか終えることができました。分科会の選定委員である小谷野猪之介、谷口雅樹、渡辺誠、木下豊彦の各先生には、書類審査、委員会での審査、ビームタイムの配分など、大変な神経を使う作業でたいへんお世話になりました。なかでも、木下先生には途中から無理にお願いして加わっていただきました。

 1期目の終わりにも、SPring-8利用者情報に書かせてもらいましたが、小人数の選定委員会で短期間に多くの数の課題申請を公正に審査し、ビームタイムを配分していくことは大変な作業です。今期は赤外のビームラインも新たに立ち上がり、軟X線ビームラインでは世界が注目する成果が出ました。これに伴って、申請件数も増加の一途を辿って来ました。これは、SPring-8の共同利用がますます盛んになってきていることを直接示すもので、共同利用のお手伝いをさせてもらっている課題選定委員会にとっても、大変喜ばしいことです。しかし、選定委員の負担はかなり増加しました。経常的な審査に加えて、今期より特定利用課題の審査も加わりました。特定利用課題は、JASRIの方々と課題選定委員会主査の村田先生、各分科会の主査が準備に多くの労力を費やしてきたもので、今後、有効に利用され、SPring-8のさらなる飛躍につながることを願っています。

 さて、今期の審査で最も苦労が大きかったのは、加速器の運転時間等で決まる配分可能なビームタイムという境界条件の中で、増加する申請課題、申請ビームタイムに対処していかなければならなかったことです。ビームラインによっては、ビームタイム採択率がわずかに30%程度というところもありました。分科会としては、申請書から読み取れる科学技術的なメリットと予想される成果に基づいて、厳正な審査と適切なビームタイム配分という、分科会に与えられた任務を遂行する他ありません。しかしながら、ユーザーの方々には、採択の低さに対する不満が蓄積していったようでした。ユーザーにとっては、自分の申請課題の採否が最大の関心事ですが、共同利用機関としてのJASRIの使命、そのJASRIに任命され共同利用運営の一端を担っている選定委員会の任務もぜひご理解をいただきたいと思っています。これに関連して、現在、課題選定委員の氏名が公表されていることは、選定委員が信念を持って任務を遂行しにくい環境と言えます。外部からの雑音に惑わされない公正な審査は、匿名の審査で初めて可能になるものと考えます。JASRIの関係者の方々にはこの点の改善を是非ご検討お願いしたいと思います。




藤森 淳 FUJIMORI Atsusi
東京大学大学院 新領域創成科学研究科
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SPring-8/SACLA INFORMATION

ISSN 1341-9668 EISSN 2187-4794