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Volume 05, No.6 Pages 418 - 419

6. 告知板/ANNOUNCEMENTS

生物試料をSPring-8に持ち込むときの手続きについて
Introduction of Biological Specimens to SPring-8

八木 直人
財団法人高輝度光科学研究センター
放射光研究所 生物試料安全管理者
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 SPring-8では生物試料の持ち込みを安全性の観点から審査しています。この審査はSPring-8バイオセーフティ委員会と安全管理室が行っています。この基準となっているのが「バイオセーフティ規程」です。また動物実験の場合には、動物実験委員会が倫理性(動物愛護)の観点からの審査も行います。この基準となっているのが「SPring-8における動物実験の実施に関する指針」であり、より実際的な規則が「SPring-8動物実験実施要領」です。これらはどちらもSPring-8のホームページで参照できます。

* http://www.spring8.or.jp/JAPANESE/user_info/ 

 SPring-8に実験試料として生物由来の試料を持ち込む場合には、有害無害を問わず「化学薬品、生物試料等持ち込み承認申請書」を提出していただく必要があります。これに加えて、動物実験を行うには「動物実験申請書」を実験前に提出していただく必要があります。これらの書類に基づいて安全審査や動物実験倫理の審査を行いますから、これらの書類を出して頂かないと審査ができず、実験ができなくなります。安全性の審査を行った結果、現在の実験設備では安全を保障できないと判断される場合には、試料の持ち込みをお断りすることもあります。

 以下にこれらの書類の書き方について説明します。安全性についての記述は十分にお願いします。「化学薬品、生物試料等持ち込み承認申請書」に書ききれない場合には別紙を添付してください。審査には時間のかかることもありますし、追加情報をお願いすることもあります。「化学薬品、生物試料等持ち込み承認申請書」の提出は実験日の10日前までとなっていますが、生物試料の場合にはなるべく早めに提出してください。

 なお、一度きちんとした安全性審査を行えば、以後同様の試料を用いる実験の審査は迅速に行えるようになります。


生物試料の分類

 現在SPring-8では生物試料をおおまかに3つのカテゴリーに分類して扱っています。

1.生物標本
2.生きた動物
3.培養細胞
この分類に基づいて説明します。

1.生物標本

 生きた動物と細胞を除くすべての生物由来標本を含みます。タンパク質結晶も含まれます。この種の試料の場合には、次のような情報を提供してください。

 * 感染性(ヒト、動物、植物への)の有無

 * 化学固定標本なら固定の方法

 * 封入標本なら封入の方法

以下に、代表的な試料についての注意点を述べます。


◎タンパク質結晶

 ほとんどのタンパク質は非感染性で無害ですが、トキシンや動植物ウィルスの結晶の扱いには注意が必要です。トキシンやウィルスの結晶の測定を希望される方は、事前にご相談ください。


◎動物由来の固定標本

 感染性、化学固定、封入に関する情報が安全性の検討には必須です。動物の入手方法、SPF動物かどうか、化学固定の方法などについての記述が必要です。ヒト・動植物への感染の可能性のある試料、化学固定の行われていない試料、非密封標本についてはなるべく詳細な記述をお願いします。このような試料の場合には安全性審査に時間がかかる可能性がありますので、なるべく早めに正確な情報をお知らせください。

 本誌の多田安全管理室長からのアナウンスにもありますように、バイオセーフティレベル2以上の感染性試料で実験を行う場合には取り扱いマニュアルの提出も必要となります。事前にご相談ください。


◎ヒト由来の固定標本

 動物由来の標本と同様に、感染性、化学固定、封入に関する情報が安全性の検討に必要です。ヒトの組織には人体に感染する恐れのあるウィルスや細菌が含まれている可能性が高く、これらのウィルスや細菌は種類が多いので全てをチェックするのは困難です。したがってヒト由来の標本は原則として感染性のあるものとして扱います。被検者のウィルスや細菌感染についての情報を記述してください。

 また、ヒト由来の試料ではその組織が本人もしくは遺族の同意のもとに得られたものであることが必要です。そのことを明記する誓約書を必ず添付してください。誓約書には実験責任者または共同実験者が署名してください。


◎植物

 病気をもった植物(例えばいもち病のイネ)や、花粉の飛散する可能性のある植物は注意が必要です。


2.生きた動物

 「SPring-8動物実験実施要領」では、哺乳類・鳥類・爬虫類を実験動物として定めています。これらの動物を使用する場合には動物実験申請書を、最初の実験日の10日前までに提出してください。申請は課題の有効期間中は有効です。課題終了後はすみやかに「動物実験報告書」を提出してください。

 動物の感染性については、SPF動物やクリーン動物が指定業者からSPring-8へ直接搬入される場合には感染性なしとみなせますが、これ以外の場合にはSPring-8へ持ち込む前の飼育状態などについての情報が必要です。場合によっては大学の動物実験施設から検疫や安全性に関する証明書を発行してもらう必要があります。

 カエルなどの、「SPring-8動物実験実施要領」で実験動物として定めていない動物については動物実験申請書は必要ありませんが、動物の入手先や安全性に関する情報があれば書いてください。

 なおSPring-8の実験動物維持施設では、短期間の動物の飼育が可能です。飼育を希望される方は事前にご連絡ください。また、SPring-8へ業者から直接動物を搬入される場合にも、検収を行いますので事前にご連絡ください。


3.培養細胞

 細胞株の名前、細胞の由来、細胞の入手先などについての情報を書いてください。また搬入の際の密封の方法についての記述もお願いします。

 なお、SPring-8では実験動物維持施設に共同利用実験者の使用できるクリーンベンチを準備中です。


 SPring-8への生物試料の持ち込み・動物実験についてのお問い合わせは、八木(yagi@spring8.or.jp,電話0791-58-0908、内線PHS 3852)までお願いします。



Print ISSN 1341-9668
[ - Vol.15 No.4(2010)]
Online ISSN 2187-4794