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Volume 05, No.6 Pages 414 - 415

5. 談話室・ユーザー便り/OPEN HOUSE・A LETTERS FROM SPring-8 USERS

国宝マルチ城−スクリーンの中の姫路城−
Versatile Actor Himeji Castle in Films

利用業務部  藤本 裕美

財団法人高輝度光科学研究センター

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 今回、姫路をよく知らない姫路っ子の私になぜか白羽の矢が当たり、「ぶらり散歩道」を書かせていただくことになってしまいました。本情報誌事務局のI氏の熱烈なラブコールに答えねばと勇んで返事をしたものの、さて何を書こう。姫路・ひめじ・Himeji…。





 ただ姫路の名所を並べるのはガイドブックのようになってしまうなぁと考え、私らしい姫路の紹介の仕方はなんだろう?と考えた時にふと「映画」が思い浮かんだ。(ちなみに私はSPring-8シネマ倶楽部所属。)そうだ!姫路で撮影された映画を調べてみよう。そういえば姫路城が出ていた映画が何本かあった。

 私が記憶していたのは、

・影武者

・007は二度死ぬ

の2本。どちらもかなり有名な映画。


 さて、他にもあるのではないかと思い、姫路城管理事務所に問い合わせてみる。


上記の2本に加えて、

・47人の刺客

・忠臣蔵

・伊達政宗

・必殺(必殺仕事人の映画版)

・天守物語

・梟の城

などがあった。知らなかった。結構最近の映画も撮られているではないか。早速レンタルビデオ屋に走る。


 手に入ったのは、

・影武者

・天守物語

・梟の城(新旧)

 まずは「梟の城」から観た。姫路城はなぜか伏見城として登場していた。

 新作の方では、中井貴一扮する葛籠つづら重蔵と上川隆也扮する風間五平がCG処理された姫路城の屋根の上で闘っていた。ちなみに2人とも忍者という設定。


「影武者」

これは2巻に別れていて、合計180分。長い!!!

確かに姫路城ロケ。見覚えのある城壁が随所に出てくる。それにしてもすごいエキストラの数である。

 この春から、友人の自主製作映画(※)の撮影を手伝っているのだが、その作品にこの「影武者」にエキストラで出たという山口一彦さん(59)が役者として参加して下さっている。お話を色々訊かせてもらったが、「影武者」に出ているエキストラの大半は当時の姫路工業大学の学生さんだとか。山口さんはその中に混じって雑兵の役を演じている。「戦に疲れ果て、城内のあちこちに無数に横たわる雑兵」というシーンを撮影する時の事、黒澤明監督は本番前に、泥水の中でエキストラ全員を歩かせ、走らせ、へとへとに疲れさせたという。そして本番、エキストラの演技は見事に真実味を帯びていたとか。黒澤監督の「こだわり」を物語るエピソード。


 さて2本続けて観たが、姫路城はどちらも他の城の代わりとして使われている。よくTVの「暴れん坊将軍」などで出てくるが、天守閣をバーンとアップでとらえながら、画面の下に「江戸城」とテロップが入るのは、姫路市民としてはなんとなく寂しい気がする。

 そんな中、姫路城が姫路城として登場している映画を1本だけ見つけた。

「天守物語」

泉鏡花の戯曲で、姫路城の天守閣最上に住む美しい妖精(妖怪?)のお話。板東玉三郎が監督・主演をしていて、富姫の幻想的な魅力を醸し出している。

宮沢りえも共演。可憐な亀姫を演じていた。絵的にもとても綺麗な映画である。

姫路市民はちょっとうれしい1本。





千姫の人形。(「天守物語」を観た後だと、不思議と富姫と亀姫に見えてくる。)



さて、映画鑑賞の合間に実際姫路城に行ってみた。

最近天守閣西側の小天守の漆喰を塗り直しをしているらしく、足場が組まれていて少し残念。


 しかし平日は流石に観光客もまばらだったので誰もいない廊下など歩いているとなんだか不思議な気分になった。

季節はずれの蝶が数匹舞っていて、ふと「天守物語」を思い出す。





姫路城の白壁。向こうに姫路の街が見える。



 ところどころに居る守衛のおじさんに声をかけて映画の事を聞いてみる。

「007は二度死ぬ」の時は、西の丸付近で爆破シーンを撮影中、石垣が爆風で崩れてえらい騒ぎになったとか…。

 そういえば昔TVのドキュメンタリー番組でそんな話を聞いたことがある。

007ではなぜか姫路城は日本の秘密情報部のような設定になっていて、中では忍者が手裏剣や武術の訓練をしているという滑稽なシーンがいっぱいだった。で、手裏剣を投げたエキストラが誤って白壁に傷をつけてしまい、当時の姫路城の管理事務所長だか誰だかがえらく立腹し、「007は二度と来るな」と言ったとか言わないとか…(笑)映画を撮るのも大変ですね。


 これからも時代物の撮影に数多く使われていくのでしょう。でもやはり姫路城として使われる事は少ないのでしょうね。それだけ日本に完全な形として残っている城が少ないとも言えますが…。


 もう存在しない歴史の中に消えてしまった数々のお城の代役としてマルチぶりを発揮するのでしょう。あるときは江戸城として、ある時は伏見城として、またある時は秘密情報部として…???

今後の時代物にはちょっと注目したいと思います。


(※)自主製作映画

㈱SES勤務の牛建義博監督の「ひまわり」。

2000年3月にクランクインして、間もなくクランクアップ予定。南光町のひまわり畑をモチーフにした90分の青春ストーリー。2001年に完成予定。SPring-8シネマ倶楽部で上映会を催しますので、是非観に来てください。

これも一部姫路ロケをやっています(笑)。SPring-8勤務の人も出演していますよ。藤本オススメの1本!



藤本 裕美 FUJIMOTO Yumi

(財)高輝度光科学研究センター 利用業務部

e-mail:yumif@spring8.or.jp

〒679-5198 兵庫県佐用郡三日月町光都1-1-1



Print ISSN 1341-9668
[ - Vol.15 No.4(2010)]
Online ISSN 2187-4794