Volume 05, No.4 Pages 275 - 276
4. 研究会等報告/WORKSHOP AND COMMITTEE REPORT
SPring-8ワークショップ「放射光と表面・界面の研究」報告
Report of SPring-8 Workshop on Surfaces and Interfaces
姫路工業大学 理学部、(財)高輝度光科学研究センター Faculty of Science, Himeji Institute of Technology and JASRI
SPring-8ワークショップ「放射光と表面・界面の研究」は、SPring-8の中央管理棟講堂において6月2日(金)、(財)高輝度光科学研究センター(JASRI)およびSPring-8利用者懇談会の主催により開催された。このワークショップは、昨年の「SPring-8磁性研究ワークショップ」(利用者情報Vol.5,No.1,p.42)に引き続き、SPring-8利用者懇談会のサブグループ横断的なワークショップである。当日はユーザービームタイムであったにも関わらず57名と多くの参加者があった。
タイトルからも分かるように表面・界面の分野は、基礎研究から応用研究まで広範囲であり、また、用いられる光も赤外からX線まで広範囲にわたる。世話人には、高橋敏男(東大物性研)、岩見基弘(岡山大理)、難波孝夫(神戸大理)、奥山雅則(阪大基礎工)、水木純一郎(原研関西研)の各氏と私があたった。時間的制約から全ての分野にたっぷり時間をかけるわけにも行かなかったが、現在建設中のビームライン、できたてのビームラインの概要の紹介から、すでに出始めたビームラインの結果、未だ試みられてはいないが今後SPring-8で成果が期待される実験、さらには理論の発表まで活発な議論がなされた。
内容としては、各ビームラインないしはステーションの概要、放射光による励起を利用した新物質あるいは半導体材料の創製とその物性評価、表面・界面構造決定、赤外光を利用した分光、そしてそれらに対応した理論であった。個々の講演内容は紹介しないが、プログラムを最後に示す。
全体として、表面・界面研究におけるSPring-8にかける期待が大きいと感じさせるものがあった。ビームライン建設もかなり進行し、利用フェーズに移りつつあるSPring-8では、今後もサブグループを横断的に結ぶテーマ、すなわち「研究対象」をテーマとしたワークショップが活発に開かれることが期待される。
−プログラム−
はじめに 馬越 健次(姫工大理、JASRI)
電子励起による新機能半導体のマテリアルデザイン 吉田 博(阪大産研)
電子励起によるシリコン表面新物質相の創製と改変 谷村 克己(名大理)
SPring-8 BL27SU CVDステーションの概要とSiの軟X線窒化 金島 岳(阪大基礎工)
Figure-8アンジュレータを用いたPTFEの軟X線照射効果 毎田 修(阪大基礎工)
シリコン酸化膜の原子構造 志村 考功(阪大工)
有機シラン超薄膜の表面凝集構造 高原 淳(九大有機基礎研)、梶山 千里(九大工)
電気化学における固液界面構造 高橋 正光(原研)
SPring-8 BL43IR表面科学ステーションの概要 桜井 誠(神戸大理)
複合測定装置HREELS-STMと赤外分光 須藤 彰三(東北大理)
埋め込み金属層基板を用いた赤外反射吸収分光と水素吸着Si表面の詳細構造 宇理須恒雄(分子研)
原子吸着金属表面の時間分解二光子光電子スペクトル 坂上 護(阪大工)、笠井 秀明(阪大工)、興地 斐男(和歌山高専)
金属表面における電荷密度波相転移 有賀 哲也(京大工)
表面、バルク効果を考慮した共鳴逆光電子分光の理論 魚住 孝幸(阪府大工)
表面内殻シフト分解光電子回折による表面構造解析 下村 勝、虻川 匡司、高桑 雄二、河野 省三(東北大科計研)
Si(111)表面における(Ag,Au)超構造の構造 田尻 寛男、高橋 敏男(東大物性研)
Si(111)Ag表面での構造相転移 垣谷 公徳、吉森 昭夫(岡山理大)
おわりに 水木 純一郎(原研)
馬越 健次 MAKOSHI Kenji
姫路工業大学 理学部
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