Volume 05, No.3 Page 218
5. 研究会等報告/WORKSHOP AND COMMITTEE REPORT
SPring-8国際アドバイザリー会議の開催について
SPring-8 Advisory Council
放射光利用研究に高い見識を有する著名な学識研究者をSPring-8に招聘して、標記の会議を、平成12年3月15、16、17日に渡って開催した。
今回招聘を予定したメンバーは、ノーベル賞受賞者2名を含む、ヨーロッパ、アメリカ、アジアから各2名、ロシアから1名、国内からは、企業からの1名を加えて4名であったが、都合により3名が欠席され、以下の8名によって行われた。
Prof. M. Blume
Brookhaven National Laboratory, NY, US
Prof. J. Deisenhofer
Howard Hughes Medical Institute,
Univ. of Texas, Dallas, US
Prof. G. Materlik
HASYLAB/DESY, Hamburg, Germany
Prof. D. Xian
SR Lab. Institute of High Energy Physics,
Beijin, PRC
太田 俊明 東京大学大学院理学研究科教授
新庄 輝也 京都大学科学研究所教授
冨浦 梓 ㈱新日鐵 顧問
西塚 泰美 神戸大学学長
会議に先立ち、委員の互選により、ドイツHASYLAB/DESYのG.Materlik教授を委員長に、また東京大学の太田俊明教授を副委員長に就任していただいた。
会議は、以下のプログラムで実施された。
挨拶 伊原理事長
SPring-8の概要 上坪放射光研究所所長
施設の現状と高度化計画
加速器 熊谷部門長
挿入光源 北村主席研究員
光学系 石川主席研究員
検出器 八木主席研究員
サイトツアー
放射光利用研究
概要 菊田放射光研究所副所長
BL41XUを用いたタンパク質構造解析研究 田中北海道大学教授
小角散乱および散乱研究 八木主席研究員
物性科学 下村原研放射光利用研究部部長
表面界面科学 並河東京学芸大学教授
エックス線吸収による微細構造研究 村田京都教育大学教授
ソフトX線ビームラインの現状 菅大阪大学教授
兵庫県ビームラインの現状 松井姫路工業大学教授
日本原子力研究所ビームラインを利用した物性研究の現状 下村放射光利用研究部部長
理化学研究所1kmビームラインおよび30m長直線部の現状 北村主席研究員/理研主任研究員
理化学研究所ビームラインを利用したタンパク質構造解析研究の現状 井上理研播磨研究所副所長
会議は、事前に用意されたSPring-8の設立の経緯、施設の概要、組織や予算について記された報告書1と先端設備や研究の概要を記した報告書2を参考にし、各報告者が用意した資料を提示しながら進められた。
会議前半の報告は、まさにSPring-8をオーバービューするものであり、後半の各研究報告は、各専門分野の先端研究報告会に近いものであった。報告に対する委員からの質問は、各研究分野における全体的な研究実施方法や、ビームタイムの配分の実態、さらに参画している研究者の数など、供用施設としての運営、さらに財団としての責務に関するものなど幅広いものであった。
また、委員の各位にあっては、精力的に討議を重ねていただき、昼食前やわずかな空き時間を見つけては、委員のみによる会議が数回開催された。最終日には、午前の大半を使って委員による報告の取りまとめ作業が行われた。その後、委員長から口頭で会議に対する感想が述べられた。現在、報告の詳細を正副委員長が取りまとめ中である。これについては、次号以降で報告することを予定している。