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Volume 05, No.2 Pages 116 - 118

5. 研究会等報告/WORKSHOP AND COMMITTEE REPORT

第13回日本放射光学会年会・放射光科学合同シンポジウムの報告(その3)
Report of the Joint Symposium on the 13th Annual Meeting of Japan Synchrotron Radiation Society and Synchrotron Radiation Science (Part-3)

神津 博行 KOHZU Hiroyuki

神津精機㈱ Kohzu Precision Co., Ltd.

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 この報告に執筆依頼が参りましたとき、正直とまどいがありました。私はこのシンポジウムでは企業展示が目的で参加しており、本来のこの会の目的である学術的側面に対しては参加しておりませんので、報告も感想も全く述べる事が出来ません。ただこの業界で長年お仕事をさせて頂いておりますし、研究側ではなく供給側として企業の者がこのような場で意見を述べさせて頂く事は極めてまれな事だとも思っており、執筆のご依頼も、この学会に協賛しております企業側からの企業展示についての意見を聞かせて欲しいと解釈して、勇気をふるい、なるべく出展供給社を代表して述べさせていただきたいと思います。

今回の企業展示について
 今回の会場である岡崎コンファレンスセンターは駅から程々の距離にあり、新しくきれいでとても好感が持てました。しかし出展企業の中には車で荷物を運んで来るところも多く路上駐車を注意されていたようで、駐車場の問題が少々不便を感じさせました。
 弊社の立場では今回の展示場所は最高の一言です。受付ホールの真後ろで参加者が入ってきたら真っ正面と言うのは一等地です。しかし別室に展示された会社は狭くて大変だったようで、弊社は大変運が良かったと喜んでおりました。事務局の西野さんに「どういう理由でこの様な配置になったのでしょうか?」とお伺いしたところ、「単純に申し込んだ順で並べさせて頂きました」と明解な回答を頂きまして、確かにごもっともな事だと思いました。私の記憶では、何年か前の放射光学会の時、展示場が一杯で遅く申し込んだ会社は断られたと言う例もあり、出展社側としては大いに反省をして「仕事は早く」を心がけなければならないという教訓にもなりました。しかし一方では、別室もコーヒーコーナーやパネルセッションがあり狭いながらもお客様と話す機会が多くて良かったと言う声もありました。住めば都ということでしょうか?
 なお今回は出展社数44社と過去最高の出展だったようですが、企業側は放射光関係のビジネスに大変興味があり、実際に仕事も増えて供給側の底辺も広がっていると思います。つまりこれは額面通り受け取って頂いて、放射光学会が隆盛している証明と言えるのではないでしょうか。

時期について・料金について
 時期につきましては1月のこの時期は少しせわしないように思います。なんとかもう少し遅らせていただけませんでしょうか?このお正月休暇明けの日程ですと、暮れの休みに入る前に準備を終わらせていなければならなく、もし宅急便で荷物を届けるとなると、仕事始めの日に出荷しなければなりません。尚かつこの時期雪で交通に障害が出て予定が狂うことがある(実際に過去2回雪の障害に遭遇したことがあり、そのうち1回は3年前の岡崎でした)等々大変タイトな日程になっているので、どうか今後はご一考下さるようお願いいたします。
 料金については展示会としてはリーズナブルだと思いますが、もちろん安ければ安いほど助かります。またコストパフォーマンスにつきましては後段で提案したい事がございますのでそちらで述べたいと思います。

企業はどう考えているのか?
 企業にとってこういったイベントは活性剤と考えられています。やはり多くのお客様から直に生の反応をいただけるということや、不特定多数のお客様に見て頂き少しでもビジネスチャンスを掴みたいと思い参加いたしております。
 また展示会と言いましても2通りあり、純粋な商業的展示会(何とかショーと言う手のもの、弊社の場合「ナノテクフェアー」というのに毎年出展しています)と今回のような学会併設の企業展示ですが、前者の場合かなりの費用をかけて派手に宣伝します。当然来場者も多く一日当たり100人と言うことがあります。
 後者の場合お付き合いと言う意味があり、これは決して悪い意味ではなく、先の時期のところでも苦情めいたことを述べましたが、マイナス面だけでなくこの時期ですから賀詞交換会と言う重要な役目を担うことがあり、これは大変有意義なことです。また弊社のようにこの学会に長年出展していて、もし急に出なくなったとすると、同業者から「神津さん会社の調子が悪いんじゃないの…」等と陰口が囁かれるのが目に見えておりますので、欠席する訳にはいきません。実際3年前やはり岡崎で学会が催された時、大雪になり大変遅刻して展示会場に着きましたら業者仲間から「神津さんボイコットしたのかと思ったよ」と冷かされてしまいました。他にもいろいろ学会がございますが、弊社にとって放射光学会の展示会は絶対はずせないイベントになっています。学会併設の場合、確かに新しいお客様を掴む事は少ないですが、旧知のお客様が多く、ある程度リラックスしており新しい情報を頂いたり、こちらが提供したりといった事もあります。また研究発表のポスターセッション等に自社が供給した装置が使用されている物が出ていたり、オーラルセッションで話されたりしていますと少し鼻が高い気持ちがして、大変強く興味を持ちそのセッションに参加させて頂きます。一方業者間での情報交換も重要なファクターです。学会併設の場合オーラルセッション等でお客様が展示会場にほとんど居なくなるという時間があり、その間は業者間の情報交換の場になります。

過去の体験&今後に望むこと
 私が経験した展示会の中で最悪と思われたものがありますのでご紹介したいと思います。その会議は日本での国際会議でしたが、会場は自社から遠い場所で(つまり出張と言うこと)長い会期と広い展示会場に少ないお客様といった状況でした。この時はさすがに苦痛で最後には皆ブースにおらず観光に行ったり、ホテルに帰ったりで大変寂しい状況でした。もう一つは企業展示の会場が学会の会場と分かれ別館にあり、やはりほとんどお客様が来なかったと言う会議もありました。
 我々企業人にとって一番困るのはお客様が来ない事です。確かに学会併設の場合企業展示はほんの付け足しかもしれませんが、そういう考え方でしたら1小間15万円のブース代金はかなり高く、企業としては出展する価値を感じません。もう一つは拘束時間です。企業にとっては時は金なりで常に効率的に動きたいと思っており、少ない会期でたくさんお客様と接触することが出来るのが理想です。更に人件費の問題もあります、弊社の場合ですと展示会説明員に対し、出張手当と展示会説明員手当・お昼の食事代の補助と言う各種手当を出します。これは一度経験してみるとわかりますが、展示会の説明員として一日中立ちっぱなしだと大変疲労するからです。この手当は主に商業展示会のために考えだされたものですが、それらを補助するのに出来るだけ会期が短い方が負担が少なく会社としては助かります。
 次に今までで最高に良かった展示会の報告をしたいと思います、これは海外での事でしたが、その時は会議の期間中企業展示の日時が決まっておりその間は一切他のセッションはありません(但しポスターセッションのみ企業展示と同じ会場でありましたが)会議の出席者全員がその会場に集まり、しかもその会場が夕方から立食のバンケット会場になると言う大変気の利いた会議でした。それでも会場の設営が前日で片づけが翌日の計3日間は使いますが非常に充実していて無駄を感じさせませんし、会議のコミッティーがちゃんと企業の事も考えてくれているという感じがしました。こういう会議の企業展示でしたら大歓迎で、大変有益だと思います。このやり方が我々企業には理想的ですのでもっと採用していただけませんでしょうか?切に希望いたします。

 いろいろ勝手な事を言わせていただいておりますが、他の業者仲間からも意見を聞きましたが異口同音に、放射光学会は我々が参加する機会のある、日本で開催される会議では一番活気があり我々にとっては最高の展示会だと言うことで意見が一致しております。

海外の展示会事情
 蛇足ではありますが、弊社はこの10年程放射光関係の会議で諸外国に出展しておりますので、参考になればと思い簡単に述べさせていただきます。
 米国特にAPS関係には数多く参加させて頂いておりますが、インターナショナルの会議ではなく単にユーザーズミーティングであってもバンケットがいつも豪華でエンターテイメントがあり、必ず各回記念のノベルティーグッズを配ります。その他SPIE、MRS等は大変大掛かりな展示会を開催して、学会併設とは思えません。日本で言えばインターオプト程度の規模でしょうか?ですのでマネージメントも大変しっかりしていて抜け目がありません、強いて言えばランチがあまりおいしくないのが欠点と言うことでしょうか?
 欧州ESRFでは米国ほど派手ではありませんが、お城の見学等の多少のエンターテイメントがあり、ディナーは豪華で大変美味です。美味と言えばスイスSLSのカフェテリアの料理は最高です、聞けば世界一のシェフがいるとの事で、仕事とはいえそういう機会に恵まれている研究者は羨ましいかぎりです。
 総じて言えば各国共エンターテイメントには大変力を入れており、また出席者と展示企業が同等に扱われており、そのような場で大変著名な先生とお知り合いになれた事もございました。これは私の個人的意見ですが、こういったものは会議の趣旨からしてプライオリティーの低いものだとは思いますが、今後更に国際化が進む日本でも、もう少し肩の力を抜いて無条件に楽しめる企画があっても良いのではないでしょうか?人間というものはリラックスすると発想が豊かになるものではないでしょうか?ただでさえ堅苦しい諸々の学会の中にあって、放射光学会が一石を投じて下さる事をかすかに期待しております。

 以上本来の会議の本質からかけ離れている事ばかり述べまして大変失礼いたしましたが、こういう事を考えている者も放射光研究のほんの末端に居るということをお留め置き下されば幸いです。最後に日本放射光学会の益々のご発展を祈念して報告を終わりたいと思います。

神津 博行 KOHZU  Hiroyuki
神津精機㈱
〒154-0005 東京都世田谷区三宿1-8-19
TEL:03-3413-2131 
FAX:03-3413-5768
e-mail:h-kohzu@kohzu.co.jp



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[ - Vol.15 No.4(2010)]
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