Volume 05, No.2 Pages 84 - 87
1. SPring-8の現状/PRESENT STATUS OF SPring-8
SPring-8運転・利用状況
SPring-8 Operational News
◎平成11年12月の運転・利用実績
SPring-8は12月2日から第12サイクル運転を4週間連続運転モードで実施した。
第12サイクルでは3時間を超える停止が数回あったが、放射光利用運転時間(ユーザータイム)内での故障等による停止時間(down time)は約1.7%であった。
放射光利用実績については、実験された共同研究課題は合計119件、利用研究者数は617名にのぼった。
1.装置運転関係
(1)運転期間
第12サイクル(12/2(木)~12/24(金))
(2)運転時間の内訳
運転時間総計 約523時間
①装置の調整、およびマシンスタディ 約66時間
②放射光利用運転(ユーザータイム)時間 約449時間
③ユーザータイム内の故障等によるdown time 約8時間
総利用運転時間(②+③)に対するdown timeの割合 約1.7%
(3)運転スペック等
①セベラルバンチ運転
・1/12-filling+10 single bunches
・10 bunch train×21
・蓄積電流 1~99mA
(4)主なdown timeの原因
①SR-RF反射異常によるInter lock
②SRの漏水によるビーム廃棄
③挿入光源のrf-BPM によるInter lock
2.利用関係
(1)放射光利用実験期間
第12サイクル(12/3(金)~12/22(水))
(2)ビームライン利用状況
稼働ビームライン
共用ビームライン 15本
R&Dビームライン 1本
理研ビームライン 2本
原研ビームライン 3本
専用ビームライン 4本
利用研究課題 119件
利用研究者数 617名
(3)トピックス
①平成12年1月17日から1月28日までのマシン及びビームライン調整期間(第1サイクル)は2週間連続運転モードでマシンの調整等を行うサイクルでユーザータイムを配分していなかったが、スケジュールの見直しにより1日延長して運転を29日まで行う。この見直しにより4日間のユーザータイムの配分ができる見通しがつき、緊急に課題の募集を行った。
②第12サイクルにて第4回(1999B)の共同利用を終了した。
3.ニュースバル
第12サイクルは12月3日より12月22日までコミッショニング(加速器及びビームライン調整と焼き出し運転)を行った。また、12月7日に試験運転時自主検査、14日に試験運転時施設検査を行い問題なく終了した。
◎平成11年12月~平成12年1月の実績
SPring-8は平成11年12月25日から平成12年1月16日(線型加速器、シンクロトロンは1月14日)まで、ニュースバルは平成11年12月23日から平成12年1月16日まで、冬期の長期運転停止期間に入り以下の主な各設備及び機器の点検・設置作業等を実施し予定通り終了した。
1.SPring-8の長期停止期間中の主な作業
(1)線型加速器関係
①電子銃メンテナンス作業
②モジュレーターメンテナンス作業
③ネットワーク工事
④その他点検・整備作業
(2)シンクロトロン関係
①ストレーナ清掃作業
②水レベル配管作業
③その他点検・整備作業
(3)蓄積リング関係
①ビームラインの増設
②挿入光源の新規据付・既設改修作業
③FEの新規据付・既設改造調整作業
④蓄積リング周長測定作業
⑤真空系設備機器の交換・改造作業
⑥ビームライン制御移設作業
⑦その他点検・整備作業
(4)ユーティリティ関係
①CVCF点検作業
②冷却設備点検作業
③消防設備点検作業
④その他点検・改修作業
(5)安全管理関係
①入退出管理システム定期点検
②放射線監視システム定期点検
③インターロックロジック変更作業
④その他点検・改修作業
2.ニュースバルの長期停止期間中の主な作業
(1)主な作業・点検
①ビームラインの増設
②クレーン点検
③放射線モニター検査
④インターロック試験
⑤パルスセプタム電磁石磁場測定
⑥その他点検・改修作業
3.平成12年1月の運転・利用実績
SPring-8は1月17日(線型加速器、シンクロトロンは1月15日)からマシン及びビームライン調整期間(第1サイクル)を2週間連続運転モードで実施した。この期間は冬期運転停止期間に新規に設置された機器や既設の改造等を行った機器の調整及び第2サイクル以降のユーザー運転に向けてのマシンの調整を行った。また、一部ユーザーへの放射光の提供(ボーナスタイム)を行い放射光利用運転時間(ユーザータイム) 内での故障等による停止時間(down time)は約5.3%であった。
放射光利用実績については、実験された共同研究課題は合計7件、利用研究者数は27名にのぼった。
1.装置運転関係
(1)運転期間
第1サイクル(1/17(月)~1/29(土))
(2)運転時間の内訳
運転時間総計 約271時間
①装置の調整、およびマシンスタディ 約205時間
②放射光利用運転(ユーザータイム)時間 約62.5時間
③ユーザータイム内の故障等によるdown time 約3.5時間
総利用運転時間(②+③)に対するdown timeの割合 約5.3%
(3)運転スペック等
①マルチバンチ運転
・24/29-filling
・蓄積電流 1~99mA
(4)主なマシン調整項目
①運転再開後のパラメータ取得
②RF-Aステーションの調整
③HHLV軌道調整
④Chromaticity調整
⑤現状の6極と最適化の6極についての各測定
⑥Response Matrixの測定
(5)主なdown timeの原因
①SR-RF冷却水流量低下によるInter lock
②SR電磁石電源調査のためのビーム廃棄
③挿入光源のrf-BPM によるInter lock
2.利用関係
(1)放射光利用実験期間
第1サイクル(1/24(月)~1/27(木))
(2)ビームライン利用状況
稼働ビームライン
共用ビームライン 15本
R&Dビームライン 1本
理研ビームライン 2本
原研ビームライン 3本
専用ビームライン 4本
利用研究課題 7件
利用研究者数 27名
(3)トピックス
①第1サイクルはボーナスタイムとして共同利用を実施した。前期での不実施課題、機器整備などの課題が行われた。
②検出器の不具合で一部やり残した成果専有課題を実施し、1999Bに予定していた成果専有利用は全て終了した。
③第1サイクルより第5回(2000A)共同利用を開始した。
3.ニュースバル
第1サイクルは1月21日より1月27日までビームライン調整と焼き出し運転を行った。
平成12年1月12日付けで原子力安全技術センターより施設検査合格証を受け取り、第2サイクルより利用運転を開始する予定。
◎今後の予定
(1)2月2日から3月31日まで3週間連続運転モードで3サイクル(第2~4)と4月5日から4月28日まで4週間連続運転モードで1サイクル(第5)の運転を行う予定である。(詳細については「SPring-8運転計画」を参照)
(2)第2サイクルから第5サイクル迄の運転モードについては、第2サイクルはセベラルバンチ運転、第3~5サイクルについては、マルチバンチ運転で実施する予定であるが、今後の検討によっては変更される可能性がある。詳細な運転モードについては決定しだい、ユーザーに報告する。
4.平成12年度のSPring-8運転計画
SPring-8では平成12年度(12年4月~13年3月)の運転を以下のように計画している。但し、本計画は現在のところ確定されたものではなく、今後の検討により修正される可能性がある(特に夏期の運転停止期間以降の運転計画)。
正式に運転計画が決定され次第、SPring-8ホームページや利用者情報誌でお知らせするとともに、利用者には直接通知する予定である。
(1)運転予定表
別図1に平成12年度(2000年度)の運転計画を示す。
(2)運転計画の内訳
①サイクル数
平成12年度は合計12サイクル(平成12年;第5~第12、平成13年;第1~第4)の運転を予定している。
②1サイクル当たりの期間
1サイクル当たりの期間は、原則3週間連続運転モードで行う予定である。
③運転停止期間
サイクル間の運転停止以外の主な長期運転停止期間は、以下の通りである。
・中間点検4月29日~5月9日
・夏期停止6月17日~9月15日
(マシン及びビームライン調整期間も含む)
・冬期停止12月23日~平成13年1月16日
(マシン及びビームライン調整期間も含む)
(3)運転スペック等
各サイクルの詳細な運転スペック(蓄積電流値やバンチ運転、フィリング等)については、利用者の要望等を踏まえ、各サイクル開始前に開催される「スケジュール調整会議」で、検討・調整をする。
会議で決定された運転スペックについては、すみやかにSPring-8ホームページなどでお知らせするとともに、利用者には直接通知する。
(4)注意事項
長期停止期間については、今後の検討により変更される可能性がある。また、停止期間中に設置、増設されるビームラインや挿入装置についても変更される可能性がある。
平成12年度(2000年度)SPring-8運転計画予定表