ページトップへ戻る

Volume 05, No.1 Pages 9 - 16

2. SPring-8の現状/PRESENT STATUS OF SPring-8

第5回利用研究課題の審査結果について
The 5th Proposals Accepted for Beam Time at the Public Beamlines of SPring-8

(財)高輝度光科学研究センター 利用業務部 JASRI Users Office

pdfDownload PDF (63 KB)


1.課題選定日程
 9月6日  公募についてプレス発表及びSPring-8ホームページに掲示
10月16日  公募締切(郵送の場合当日消印有効)
11月9~10日 利用研究課題選定委員会による課題審査
11月22日  利用研究課題選定委員会による課題選定
12月6日  諮問委員会による承認

2.選定結果

 今回の選定結果は、件数では応募424に対し選定326(選定率77%)、シフト数では応募6,117に対し選定3,116(選定率51%)であった。この結果、選定された課題の平均シフト数は9.6となった(前回の公募では、それぞれ57%、38%、9.2であった)。選定率は、課題数から見た場合及びシフト数から見た場合のいずれの場合でも、前回に比較して増加している。この原因として、今回の共同利用においてビームタイムが共用ビームラインあたり約200シフトとなったこと(前回は約140)及び利用できるビームラインが増えたことにより総シフト数が約3,100シフト(前回約2,200)になったことが考えられる。

 ビームライン別では、BL01B1(XAFS)及びBL41XU(生体高分子結晶構造解析)で選定課題数が多くなり、それぞれ43件と33件であった。しかしながら、これらのビームラインでの選定課題平均シフト数はそれぞれ4.7及び5.1であり、他のビームラインに比較して少ない値となった。これらは、BL27SU(軟X線光化学)の選定課題平均シフト数17.0の1/3以下である。

 研究分野別では、生命科学の応募の割合は前回に比べて減少したが、選定の割合は増加した。また、散乱・回折では応募、選定とも前回比率が減少した。生命科学の変化は、選定課題平均シフト数が少ないことに対応している。特に、BL41XUでの生命科学の選定平均シフト数は5.1となっている。同様に、XAFSではBL01B1での選定課題の平均シフト数が4.8であり、他のBL10XU、BL39XUにおけるXAFS分野の選定課題の平均シフト数が10を超えているのに比較して目立って少なくなっている。

 選定課題の実験責任者の所属機関別では、国立大学が全体の半分以上を占めていることはこれまでの共同利用を通じて変わっていない。前回に比べて割合を増やしたのが国立研究機関、民間企業及び海外である。

 なお、選定された課題のうち、1件の実施が保留されたことから、325件の課題について実施が決定された。

 また、前回から開始した成果専有利用制度による応募が2件あった。この2件に関してJASRI責任者による公共性・倫理性の審査と技術的実施可能性及び実験の安全性の審査が行われた。さらに要求シフト数が対象ビームラインのビームタイムの10%以内という基準を満たしていたため、これらの2件は要求通り選定された。

3.利用対象ビームライン及びシフト数

 今回の募集で対象としたビームラインは、共用ビームライン15本とその他のビームライン6本である。このうち共用ビームラインについては、前回では立ち上げ課題を優先した5本(BL02B2粉末結晶構造解析、BL04B2高エネルギー構造解析、BL20B2医学利用BM、BL28B2白色X線回折、BL40B2構造生物学)は今回本格的な利用研究に提供された。しかしながら、そのうちのBL28B2及びBL40B2に関しては、引き続いて調整などを行う必要があることから、ビームタイムの一部を施設者側で確保した。これらの共用ビームラインの他に原研、理研、R&D用ビームラインを各2本、計6本のビームラインのビームタイムの一部(原研、理研ビームラインでは20%、R&Dビームラインでは30%)が公募課題の利用に提供された。

 今回、第5回共同利用期間のビームタイムは合計で85日255シフトあり、共用ビームライン1本あたりではビームラインの調整や緊急課題用などにJASRIが留保する20%を除く204シフトがユーザータイムとなる。ユーザーが利用可能なビームタイムは、これに原研・理研等から提供されるビームタイムを加えて合計約3,400シフトとなる。

 今回の公募及び審査では、生命科学分科における蛋白質結晶の出来具合に応じて分科会がシフト数を配分するために留保した分や立ち上げが継続しているため一部のビームラインのビームタイムを装置整備に回すなどした結果、共同利用期間に利用されるビームタイムは約3,110シフトとなった。

4.利用期間

 SPring-8の利用期間は6ヶ月単位とされている。これまで共同利用期間は年度の前半と後半の半年毎に区切っていたが、実際に運用を開始すると夏冬の長期停止期間によるユーザータイムの分割を研究の中断が起こること、申請課題の審査期間が選定委員の大半を占める大学関係者が多忙な入試時期と重なることなどの不具合が起こった。このため、前回の共同利用から利用期間を暦年の前半、後半で分けることとした。この結果、前回第4回共同利用では共用ビームライン1本あたりのビームタイムが139シフトであったのに対して、今回は204シフトであり、ビームタイムの比は、ほぼ4:6となった。このような利用期間の長短が上記のような今回の選定率の高いことの原因となっている。今後このような長短の解消について検討が行われる予定である。

 また、今回の公募締切は10月の後半に行われたが、この時期は1999B共同利用の途中であり、まだ大部分の課題が終了していない状況にあった。これも今後とも続くと考えられることから、共同利用に際し研究計画の立案にはこれらの点に留意され、応募いただきたい。

5.生命科学分野におけるビームタイムの留保

 生命科学分野におけるSPring-8の利用では、特に実験試料の特殊性から、短い時間でもいいから試料の出来具合をチェック出来るような利用をしたい、試料が出来たときに緊急に利用したいと言った要望が強い。このような要望に応えるため、今回の生命科学分科会では、BL41XU(生体高分子結晶構造解析)のビームタイムを36シフト留保した。

 このような研究課題については課題申請は従来の緊急課題に準じた取り扱いをすることになった。予め割り振られたシフトに対してこれらの課題が配分される予定である。申請の際には実験の必要性がわかるようにしていただき、分科会において審査されることとなった。詳しくは利用業務部にお問い合わせいただきたい。


   

図1 SPring-8利用研究課題 選定状況(第1回〜第5回)




図2 研究分野別、所属機関別、ビームライン別件数(第1回〜第5回)

表1 利用研究課題 公募内訳(第1回〜第5回)



表2-1 2000A利用研究課題一覧(第5回共同利用期間:H12.2〜H12.6)



表2-2 2000A利用研究課題一覧(第5回共同利用期間:H12.2〜H12.6)



表2-3 2000A利用研究課題一覧(第5回共同利用期間:H12.2〜H12.6)



表2-4 2000A利用研究課題一覧(第5回共同利用期間:H12.2〜H12.6)



Print ISSN 1341-9668
[ - Vol.15 No.4(2010)]
Online ISSN 2187-4794