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Volume 04, No.1 Pages 39 - 40

5. 研究会等報告/WORKSHOP AND COMMITTEE REPORT

第2回放射光利用による材料科学国際会議(SRMS-2)報告
The 2nd International Conference on Synchrotron Radiation in Materials Science

水木 純一郎 MIZUKI Jun'ichiro

日本原子力研究所 関西研究所 JAERI Kansai Research Establishment

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 10月31日から11月3日まで表題の国際会議が、神戸国際会議場で開催された。本会議は、放射光利用による材料科学の進展を主題とし、放射光による物質・材料特性の解明のみならず、新物質創製までを包含した実験的ならびに理論的検討を行い、この分野の研究の発展に大きく寄与することを目的としたものである。私は、この会議のプログラム委員長として関わったので主に主催者側としての立場から会議の報告をする。ちなみに主催者は、日本原子力研究所、理化学研究所、JASRI、日本放射光学会である。
 第2回と言うけれども実は、1994年に“European Conference on Synchrotron Radiation in Materials Science”と題した会議がイギリスで開催され、これを発展させたものであるので、前回の1996年シカゴに続く第3回目の会議と位置づけられるものである。(余談ではあるが私がSRMS-2をお手伝いすることになったのは、シカゴでの会議の運営がいかにまずかったかを招待された立場からこのSPring-8情報[1]に述べ、シカゴでの会議を反面教師としなければならない、と苦言を呈したからである。まさに口は災いの門である。)この会議では生物、医学関係を除く放射光利用のほとんどを包含するため、プログラム編成では非常に悩まされた。私を含め各分野から15名のプログラム委員が練りに練った結果、午前の前半はすべてplenary talk、それ以降は2つのセッションをパラレルで行うことを決めた。この結果、plenary talkの招待講演者は7名、各セッションでの招待講演者は27名となり、一般講演50件、ポスター発表123件を加えて、全参加者数287名であった。ちなみに地域別参加者は、欧州21名、アメリカ13名、アジア10名、ロシア10名、ブラジル3名、日本230名であった。 
 
  
 

講演会場にて 
 
 Opening lectureとしてAPSのDr.Sunil K Sinhaにお願いし、60分という短い時間ではあったが、第三世代の光源がもたらした(もたらしている)材料・物質科学への寄与、今後の発展を非常にきれいに紹介してくれた。あらゆる分野でマイクロビームが必要になってきていること、これまでとは違って、放射光のcoherenceを利用した材料への応用、中性子散乱にも詳しい彼ならではの立場からX線非弾性散乱の重要性とそれの進むべき方向等を最新のデータを示しながらすばらしい迫力で講演してくれた。他のplenary talkは、Prof.Margaritondoによるマイクロビーム光電子分光による半導体への応用、Dr.C.−T.Chenによる軟X線MCDとその磁性体への応用、Prof.Shiotaniによるコンプトン散乱による金属フェルミ面の研究、Dr.GibbsによるX線磁気散乱による磁性体、特に表面磁性の研究、Dr.VladmirskyによるX線リソグラフィ技術を使った微細加工とその物質科学への応用、Prof.Nordgrenによる軟X線を使った発光分光とその材料科学への応用、であった。私の能力と紙面の制限で講演内容の詳細には触れないが、著名度だけでなくそれぞれの分野の第一線で活躍している現役の研究者が招待講演を受けてくれたおかげで、予想以上の参加者が集まり、また一般講演についても招待講演者に負けない発表が多くあったように思われる。
 先にも述べたように、この種の国際会議はあまりにも分野が広がりすぎるので、それぞれの材料分野に特化した研究会や会議が多い中、これらと比較して内容が散漫になり実りが少ないことを懸念したが、会議の期間を通してあちこちで深い議論がなされていたようである。招待講演者の幾人かは私に、彼らがいつも付き合っているコミュニティと少し異なるので講演する立場としても、また聞く立場としても新鮮で楽しいと語っていた。
 ただ、実行委員の立場から反省点もある。第一に、せっかく企業の方々に努力していただいて企業展示を行ったが、そこを訪れる人数が非常に少なかったようである。場所は、メイン会場の向かいであったが、気にはなって時々覗いてみたら本当に閑散としていた。通路、コーヒーブレイク会場等に企業展示場所を設定すべきであったと反省している。第二にバンケット会場が狭かったことと、それに関係することではあるが、料理が少なかったことである。ひとえに参加者の見積もりが甘かったのである。 
 
 
 
バンケットのオープニング
 
 次回の会議、すなわちSRMS-3は、会議期間中に開かれた国際アドバイザリー会議で、2000年にドイツで開催されることが決定された。
 最後になったが以下のことを記して報告を終わる。この会議の収入源は、放射光学会を除く主催者と兵庫県、神戸市、残りは参加費である。企業からの寄付は一切必要としなかったのでお金の心配がなく非常に助かった。それだけでなく、会議に関わる事務的なことすべてを、SPring-8の多くの方々が事務局となって処理してくれ、彼らの働きが計り知れなく大きかったことを述べておきたい。気を使ってお世辞を言ってくれたのであろうが多くの参加者が会議がよくオーガナイズされていたとねぎらってくれた。これは、本当に(お世辞ではなく)SPring-8の事務の方々が準備から終わった後の処理まで献身的に働いてくれたおかげである。多分、彼らは国際会議開催のプロとしてやっていけるであろう。 
 
[1]SPring-8利用者情報Vol.1,No.4(1996)pp.47
 
水木 純一郎 MIZUKI  Jun'ichiro
日本原子力研究所 関西研究所 放射光利用研究部
〒679-5143 兵庫県佐用郡三日月町三原323-3
TEL:07915-8-2713 FAX:07915-8-0830
e-mail:mizuki@spring8.or.jp



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[ - Vol.15 No.4(2010)]
Online ISSN 2187-4794