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Volume 04, No.1 Pages 35 - 38

5. 研究会等報告/WORKSHOP AND COMMITTEE REPORT

SPring-8利用者懇談会より
From the SPring-8 User’s Association

松井 純爾 MATSUI Junji

姫路工業大学 理学部 Faculty of Science, Himeji Institute of Technology

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 SPring-8の供用開始から1年以上が経過し、また最近、蓄積電流値も70mAにアップされて第三世代高輝度光源の恩恵をまさしく享受しようとしているこの時期に、第2回SPring-8シンポジウムが開催されたことは時を得ているといえましょう。思い返して見ると、当利用者懇談会の前身であります「次世代大型X線光源研究会」がスタートして丁度10年経ちました。今日の姿を夢見て紆余曲折の議論が先人により重ねられたことが懐かしく思い出されます。平成8年のいわば第0回シンポジウムではユーザー側からいくつかの先鋭的な研究テーマが提示され、また平成10年3月に開かれた第1回シンポジウムでは高輝度ビームならではの輝かしい成果の一端が披露され将来の明るい見通しを得ました。それ以後まだ1年を経過してはいませんが、放射光関連の合同年会が間近なことや当利用懇のワークショップがこの3月に予定されていることもあって、12月初めに第2回SPring-8シンポジウムを開催する運びとなりました。まずこの間、SPring-8ビームラインの立ち上げが進んで、各ビームラインにおけるSPring-8利用者懇談会サブグループ(SG)の活動も「建設・立上げ」フェーズから「ビーム利用技術の蓄積と高度化および成果確保」のフェーズに移行しつつあります。第1回SPring-8シンポジウムの時点での利用懇会員数は1100名余りでしたが、1年も経過しないうちに1246名(1998年12月16日現在、うち大学関係848名、国公立研究機関203名、企業関係184名、その他11名)にも達する勢いで増加しつつあることは嬉しい限りです。昭和63年以来、高輝度SR光源利用の展望と計画・立案を目的とする「次世代大型X線光源研究会」、さらに建設・準備を目的として平成5年に改組された「SPring-8利用者懇談会」をずっと率いてこられた菊田前会長のあとを受けて、前述の新しいフェーズの中で重職を担うことになりはや1年が経過しようとしております。
 皆さんご承知のように、この間SPring-8側の受け入れ体制や環境も整備、充実されつつあり、当利用懇の体質もその活動もまた若干の変化を余儀なくされつつあります。シンポジウムでは、先日行われた利用懇幹事会、運営委員会でも議論されたことなどの報告と、昨今小職の意識にあることを含んで以下のようなことを纏めて話させていただきました。
 
 
 
松井純爾利用者懇談会会長によるあいさつ 
 
(1)SGの見直しと新SGの発足
 現在ある36のSGは、「計画・立案」フェーズ当初からのものが大半であり、そのうち20程度のSGについては実際に共用ビームラインの建設に関与し、いまその利用実験を遂行中であります。しかし、将来計画中の共用、専用ビームラインを含めると、残るビームラインは20本程度という現状で、現在「相乗り」ビームラインからの分離、独立を目指すものを含めて、その特定目的のために新規にビームラインが割り当てられるとは限らない、という状況です。
一方で施設側としては、その光が持つ特質を前面に押し出したビームラインの建設を意識しており、ここにきて一つのSGが一本のビームラインに特化して利用する図式は薄くなりつつあります。そこで現在のSGを見直して、施設側のビームライン新設構想に沿った新たなSGの組織化が必要と考え、各世話人の先生方から意見聴取をいたしました。しかし、ほとんどのSGがこれから本格的な利用段階に入るこの時点ではドラスチックな変革を望まない意見が大勢を占めることから、今回は一部SGの解散に留めることにしました。新規SGの発足は、既に提案のあったものを含め、新SG提案を一部の先生方に急いでいただき、先般の運営委員会で4つのSG(ランダム系物質高エネルギー散乱、表面電子物性、精密構造物性、X線非線形光学)の新設を審議決定していただきました。
 SPring-8は学術研究はもとより産業応用のための開発研究も大いに期待されております。その場合必ずしもアカデミックな成果でなくとも、製品開発、特性向上、歩留まりアップなど、利用する企業にとって意味のある課題あるいは緊急性の高い課題を速やかに実行できる受け入れ体制が欲しいものです。そのために当懇談会の取るべき方策はなにかを施設側ともまじめに議論したいと思います。それがひいては企業からの会員増につながることにもなりましょう。 
 
(2)幹事の増員
 先述のように、利用懇会員数の増加は依然として続いていることと、本格的利用フェーズへの突入に即して、利用幹事および行事幹事の増員を提案させていただきました。特にこのシンポジウムは、本来行事幹事の主導のもとに立案運営されなければならないことが利用懇規約にもうたってあるのですが、合同年会、ワークショップ等を合わせてすべての行事を行事幹事1名で処理するのは困難と判断されますので、行事幹事を1名から2名に、そして併せて、利用幹事を2名から3名に居住地区を考慮して増員させていただくことを前回運営委員会でお認めいただきました。 
 
(3)主要専門委員会の委員候補者を利用懇から推薦
 次期マシンタイム配分をターゲットにした実験課題の採択は、施設側の専門委員会である「利用研究課題選定委員会」で行われ、その委員選任は施設側の専権事項であります。各ビームライン毎に専門の先生方が担当されておりますが、この委員会をはじめ、「専用施設検討委員会」など施設側の重要な委員会に当懇談会からも候補者を推薦させていただいた経緯がありますが、今回、JASRIから来年度の「利用研究課題選定委員会」委員候補者15名、および「専用施設検討委員会」委員候補者12名の推薦を正式に依頼されましたのでその人選について運営委員の方々に依頼しました。その結果を植木利用促進部門長に提出させていただき、当利用懇の意見が反映されるべく委員選任にご配慮いただくことになりました。また同時に「技術支援方策検討委員会」委員の選出にも当方からの推薦依頼をいただき複数名を推薦いたしました。
 
(4)世話人の役割見直し
 SG世話人は、文字通り各SGの代表として、SG会員諸氏の意見の集約とビームライン建設の責任者的任務を負っておられ、その努力には敬意を表します。建設フェーズから利用フェーズに移行した共用ビームラインでは、その利用進捗をウォッチしつつ、機器部品の改良とビーム特性の高度化を目指しておられる訳ですが、ここにきて、いくつかの問題点が顕在化しつつあります。一つは、世話人の方々が提出する課題申請書における「ビームの評価、改良と高度化」の趣旨と、本人の採択結果(ビームタイム配分)とが少なくとも申請者側から見てマッチングしないことが、世話人のフラストレーションを高める危険性についてであります。施設側からは、これらの世話人の先生方は「代表者」としての顔が見え易いことから、アニュアルレポートの原稿提供や「成果のピックアップ」の場面でも施設側ビームライン担当者からの相談相手にならざるを得ないこと、その一方で、課題採択は「代表者」を意識されてはいないことの現実を認めた上で、世話人のありかたを今一度検討しなければならない時期に来ているようです。「世話人制度なんかやめてしまえ」というのは簡単なことですが、世話人の責任や権限と施設側への協力を両立させる方策について、公式非公式なものを含めて利用懇側とのさらなる議論を期待します。SPring-8側でも、課題内でのSPring-8担当者の育成を積極的に行い、ユーザーグループを一刻も早く自立する目標を立てている中で、当利用懇と施設側との緊密な協議が必要と考えます。 
 

(5)利用懇会員交流のための利用者情報誌の活用促進
 SPring-8利用者情報誌は、各ビームラインの進捗と施設側の意向が読めて、利用者にとっても良い情報源となっていることは確かです。しかし、かつて利用懇の機関誌であった「光彩」が情報誌にマージされて以来、会員相互の意見交換や施設への忌憚のない要望提示の機会が少なくなってしまったのも事実です。「最近の研究から」や「ユーザーだより」が付け加えられたのはよかったのですが、できることならば、利用懇運営委員会議事録などかつて「光彩」が担っていた懇談会の記録などの情報提供の場所も情報誌の中で確保できないかどうかについて、編集幹事を中心に施設側とさらに交渉して行きたいと思います。幸いにも最近になって、SPring-8のホームページからアクセスできる形で利用者のためのページを確保して利用者の意見などを吸収できるコーナーを設置していただけることが判明いたしました。大いに活用していただくことを期待いたします。

 以上、希望的観測を含めて利用者懇談会の現状ならびに問題点への取り組みについてシンポジウムで話させていただきました。これから、共用ビームライン10本の本格化運用とともに、11本以降のビームラインの建設バックアップと早期稼動、さらには20本にいたる新ビームラインの内容ブラッシュアップに当利用者懇談会も大いに協力するとともに、周辺ユーティリティの充実を目指して要請して行きたいと考えます。会員の皆様の絶大なるご支援とご協力をお願いする次第です。おかげさまでSPring-8利用者懇談会の会員数は増加の一途をたどりつつあり、また4つの新しいサブグループが認められ発足いたしました。しかし先に書きましたように、施設の運用が利用フェーズに移行するとともに、いわゆる立ち上げ期間におけるそれの延長では対処できない問題が発生する可能性があり、今後、施設側との議論や交渉を重ねる必要がありましょう。本シンポジウムは、基本的にはビームラインの建設や運用に関わる経過を報告したり議論する場ではありますが、利用者側の組織体制や活動のあり方にも若干の変化が求められている中で、高輝度ビームをいかに効果的に活用して新しいサイエンスや応用技術を生んで行くかについての意識がバックグランドになくてはなりません。その意味で、利用者としての感覚だけでなく利用研究推進者としての感覚を全員があわせ持たなくてはならないと信じています。
 このシンポジウムは、高輝度光科学研究センター(JASRI)と利用懇との共同開催で行われておりますが、それには利用幹事の渡辺巌先生(阪大)とJASRIの櫻井吉晴さんをはじめ企画調査部、利用業務部の方々に大変お世話になりました。今回もそうでしたが、受入体制、会場手配、ポスター用掲示板の確保、バス運行等々、細かいお仕事の手配にご尽力いただいたJASRIの方々に本欄を借りて厚く御礼申し上げます。

 
SPring-8研究交流施設管理棟ロビーにLogin Terminalを3台設置
利用方法
 PCの横にある利用記録名簿に氏名、所属、利用時刻、メモを記入してご利用下さい。WWWブラウザーやtelnet等がご利用頂けます。利用希望者が他にもお待ちの時は、なるべく、速やかにご利用下さいますようお願い致します。利用終了後はLOGTOUT等お忘れなく。
備考:管理人のカウンター横のSR運転情報表示端末は、Login Terminalとしての利用はできません。

研究交流施設の各部屋でのInternet利用
利用方法
 各ユーザーが持ち込まれたパソコンを情報コンセントに接続し、研究交流施設各部屋の内線番号に対応した以下のIP Addressを設定する。

IP address    172.17.内線番号の上2桁.内線番号の下2桁
subnet mask    255.255.0.0
gateway          172.17.1.1
DNS server      172.17.1.1
(IP addressの例)
 内線8101の場合 172.17.81.01(但し入力すると172.17.81.1となる) 
 内線8360の場合 172.17.83.60

お願い:研究交流施設全体でNAT(Network Address Transfer)を通過していますので、同時に大勢の方が利用すると過負荷になります。大きなFile転送は行わないでください。 
 
 
松井 純爾 MATSUI  Junji
姫路工業大学 理学部物質科学科
〒678-1297 兵庫県赤穂郡上郡町金出地1475-2
TEL:07915-8-0233 FAX:07915-8-0236
e-mail:matsui@sci.himeji-tech.ac.jp 
 



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[ - Vol.15 No.4(2010)]
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