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Volume 03, No.6 Pages 9 - 15

2. SPring-8の現状/PRESENT STATUS OF SPring-8

第3回利用研究課題の審査結果について
The 3rd Proposals Accepted for Beam Time at the Public Beamlines of SPring-8

太田 俊明 OHTA Toshiaki

(財)高輝度光科学研究センター 利用業務部

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1.課題選定の経緯
 第3回共同利用期間の利用研究課題は、本年7月12日に募集が締め切られた。直ちに利用研究課題選定委員会で392件の応募課題について、生命科学、散乱・回折、XAFS、分光、実験技術・方法の5分科会における科学技術的妥当性とSPring-8を利用する必要性の審査と、SPring-8スタッフによる技術的な実施可能性及び安全性の確認が行われ、さらに各ビームラインで利用可能なシフト数に基づき、この期間に実施可能な課題として258件が選定され、シフト数の配分案が作成された。この選定案は9月8日に開催された諮問委員会で承認され、これに基づきJASRIでビームタイムの割り当てが行われ、9月末までに各応募者に通知された。
 選定された利用研究課題についての研究は、SPring-8に設置された10本の共用ビームラインと日本原子力研究所用、理化学研究所用、R&D用の各2本のビームラインの計16本を用いて、本年11月から来年6月までの8ヶ月間の第3回共同利用期間に実施される。


2.今回の課題選定の特色
・前回から年2回の共同利用期間の区切りを年度から暦年に変更したため、移行期間である前回と今回は利用期間が6ヵ月より長くなっている。
・今回配分したシフト数はビームライン16本で合計約2700シフト(前回は15本で約2170シフト)である。なお、募集時点ではR&D用ビームラインはBL47XUの1本のみであったが、利用期間後半に立ち上がる2本目のR&DビームラインBL46XUを利用した方が適当な課題が出てきたため、BL46XUを共同利用に追加した。
・採択率は件数で66%、シフト数で41%、1課題当たり平均シフト数は10.5(前回は各々75%、31%、9.1)となった。
・研究分野では、生命科学分野の増加が大きく、この研究を行うための生体高分子結晶構造解析研究用ビームライン(BL41XU)の需要が大きく伸びた。
・応募者の所属機関別では、大学関係が約7割を占めることに変わりはないが、公益法人の割合が大きく増加している。これはJASRIの研究者の応募が増加したもので、SPring-8の運営を行っているJASRIといえども、第三者の評価を受けて研究を行うことを原則としているためである。また、前回から増加している特殊法人は原研及び理研の研究者である。なお、民間企業及び海外からの課題の採択率はほぼ前回並であった。(海外は、アメリカ、イタリア、インド、スペイン、台湾、ドイツ、ロシアの7カ国)
・採択された258件には、SPring-8において本格的に利用実験を開始する前に、試料の結晶の良否や実験条件をテストするための予備実験や、SPring-8の強力な放射光や先進的な装置の取扱いに習熟してもらうための予備実験が必要と判断され、そのために必要な最小限のシフト数が配分された25件の課題が含まれている。
・全体の応募数の27%を占める継続課題の採択率は新規課題より10ポイント高かった。これは今回配分するビームタイムで課題を終了することが期待されたためである。
・成果専有(有料利用)の利用課題の応募はなかった。








 利用研究課題(第3回共同利用期間:H10.11~H11.6)












Print ISSN 1341-9668
[ - Vol.15 No.4(2010)]
Online ISSN 2187-4794