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Volume 03, No.5 Pages 44 - 45

7. 談話室/OPEN HOUSE

恒例・相生ペーロン祭
Annual Event “Aioi Peyron Festival”

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 君は「相生ペ-ロン祭」を知っているかな?なに、知らない!それはいかん。SPring-8に少しでも係わる者であれば、毎年5月の最終日曜日に相生湾で開催されるこの祭り、知らないでは済まされないのだ。では知らない君のために、私がいろいろ教えてあげよう…。


<ペーロンの発祥>

 さて、そもそも「ペ-ロン」とは、「白龍」と書き、その中国音「パイロン」が、なまったものと言われているが、定かなところは解らない。ただ、中国南部から東南アジアまで広がる竜舟祭の流れをくむアジアの代表的な民族行事で、龍船(白龍)を造って競漕し、賢人の霊を慰めたのが始まりだ。日本でも長崎や沖縄で行われていて、海辺の街ではポピュラーな祭りだ。

 相生では1922(大正11)年、長崎県出身の播磨造船所(現IHI)従業員が、故郷のペーロン競漕を偲んで行った事に遡り、昭和62年に市と商工会議所、石川島播磨重工業の三者で協賛会を結成。翌年から現在の相生ペ-ロン祭となった。祭りは新しいが発祥は約60年の歴史を有する、伝統あるものなのだ。


<相生ペーロン祭り>

 さて、相生のペ-ロン祭は前夜祭(今年は5月30日)の海上花火大会と、翌日のメインイベントであるペーロン競漕、そして陸で開催されるパレードやカーニバルから成る、相生の街挙げての一大イベントだ。花火大会は約4300発の花火が相生湾に光の大輪を咲かせ約10万人の見物客を楽しませる。また今年は花火に先立ち、昨年度の水上スキー全日本チャンピオンらによる華麗な演技も見ることができた。祭りが年々充実してくるのは良いことであ~る。


<ペーロン競漕>

 さて、いよいよ翌5月31日、この日も好天に恵まれ、メインイベントペーロン競漕の開始だ。まず、ルールを説明しよう。船の両側に14名ずつ、計28名の漕ぎ手と、指揮をする挺長、漕ぎ手のリズムとタイミングを取る太鼓と銅鑼、そして舵取りの合計32名が1チームだ。1回に4挺が片道300mのコースを往復、600mで順位を競う単純な競争だが、奥は深い。途中のターンでは舵取りの技量が問われるし、漕ぎ手全員のリズムが合わないと、いくら漕いでも船はさっぱり進まない。

 さて、スタートの合図とともに、漕ぎ手は太鼓と銅鑼のリズムに合わせてひたすら櫂(オール)を漕ぐ。かけ声と共にただひたすら漕ぐ!君は「ベンハー」という映画を知っているか?あの映画で主演のチャールトン・ヘストンが奴隷の身になって漕がされていたガレー船を思い浮かべて欲しい。あの世界だ…。

 スタートして漕ぎだし、疲れがたまってきた頃に来るのが、300mのターンだ。これが難関だ。素人は「内側はゆっくり漕いで、外側が早く漕げばスムーズにターンできる」などと考えるが、必死に漕ぐ我々にはそんな余裕はない。舵取りに全てを任せ、ターンだろうと直線だろうと、ひたすら太鼓のリズムに合わせて漕ぐのだ! ただ漕ぐのだ!!

 そしてゴール。ゴール後の爽快感はひとしおだ、なんてことはない!疲労困憊、脱力、帰りの車のハンドルも握れないほどの筋肉痛、それだけが待っている。しかし、もし1位になれば、その疲れなどはどこかへ飛んでいってしまうから不思議だ。祭りとはそのようなものかもしれない…。


<今年のSPring-8チーム>

 今年は、兵庫県内外から過去最高の72チ-ムが参加、また、2年ぶりに本場長崎のチ-ムも出場し、相生湾に鳴り響く「ドン・デン・ジャン」のドラと太鼓の音が約6万5千人の観客を沸かせた。その中にあってSPring-8では「SPring-8」・「ジャスリひかり」の2チ-ムがペ-ロン競漕に参加した。

 「SPring-8」チ-ムは、レ-スの勝利を目指し過去の経験者を中心に編成。一方「ジャスリひかり」チ-ムは、レ-スを楽しむという目的で初出場の選手を中心に編成した。

 両チームは陸上でのペーロン練習(これを通称陸(おか)ぺーと言う)に汗を流し、練習には地元新聞社も取材に来るという中、必勝を期して当日に望んだ。

 まず、先陣を切って「ジャスリひかり」チ-ムが出艇。“参加することに意義”を持つチ-ムではあるが天野艇長(前播磨理研研究推進部長・現航空宇宙技術研究所管理部長)のかけ声だけは威勢よくスタ-ト。いきなりスタートから他艇に離され、結果は4分12秒08という惨敗であった。

 続いて、本命「SPring-8」チ-ムが出艇。このチ-ムは多い者で過去4回の出場経験を持つようなベテランで構成したが、1昨年の優勝以来、ランクがやや上のチ-ムとの競漕となっており、今年も厳しい戦いが予想された。

 上坪艇長(JASRI研究所長)の合図でスタ-ト。だが今ひとつ水に乗り切れない。それでも必死に漕ぐ!最大のポイントであるターンに来た。ここで上手く回れれば他艇との差を一気に縮められる。それ行け、やれ行け、漕ぎ手のかけ声が一段と高くなる。太鼓を打つ手にも力が入る。そしてターン。しかし、やや大回りになっていまい、後半の追い上げ虚しく第4位、タイムは3分45秒01という結果であった。




 「ジャスリひかり」チーム




 「SPring-8」チーム



<そして来年に向けて>

 今年は残念な結果ではあったが、日頃同じ職場で働く者が、力を合わせて1つの目標に向かうというのは、『ペ-ロン競漕』に参加するからこそ体験できる事で有り、非常に有意義な経験である。

 読者諸君の中で、「我こそは体力に自信有り」「腕力だけなら博士号を取れる」「SPring-8に何か貢献したい」と思っている方は、来年のため今からペーロン競漕への参加を申し込んで欲しい。大リーグボール養成ギブスならぬ、鉄のオールで1年間、いや半年でいいから鍛えれば、今年の雪辱を果たし、大いにSPring-8の名を相生の街中に知らしめることになること請け合いである。そして、来年こそは1位になって、みんなで勝利の美酒を酌み交わそうではないか!




 みんなで記念撮影



Print ISSN 1341-9668
[ - Vol.15 No.4(2010)]
Online ISSN 2187-4794