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Volume 03, No.5 Page 6

1. ハイライト/HIGHLIGHT

蓄積電流100mAとビームライン運転について
As for the 100mA Storage Ring Current Operation

植木 龍夫 UEKI Tatzuo

(財)高輝度光科学研究センター 利用促進部門長 JASRI Experimental Facilities Promotion Division

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 加速器部門の熊谷部門長による「SPring-8蓄積リングのビーム性能の現状と将来」の記事を引き継ぎ、ビームラインでの100mA運転の問題と今後の運転を簡単に説明する。

 蓄積リング100mA運転にともない、ビームライン/実験ステーションが現在の20mAから100mAに移行して運転されると思われる方が多いであろう。しかしながら、そのためにはビームラインに係わるいくつかの問題を検討し、解決しておかなければならない。現在、
 ・100mA放射光の主に基幹チャネルでの熱負荷
 ・100mA放射光使用時の光学ハッチおよび実験ハッチの放射線遮蔽
について検討が行われている。放射線遮蔽の問題については、6月からビームライン毎にハッチ漏洩検査がおこなわれ、6月下旬までにはBL01B1、BL10XU、BL24XU、BL25SU、BL39XU、BL41XUとBL45XUに対し、自主検査合格が出されている。他のビームラインについても、順次漏洩検査を通して合格証が与えられるであろう。

 基幹チャネルの許容蓄積電流評価の結果、偏向電磁石光源ビームラインについては現状の冷却水量で十分であるが、挿入光源ビームラインでは4本以外は電流を制限する必要がある。今後、ビームラインの増設にともなう冷却水の増強は必須である。この工事は最終的には来年夏期の長期シャットダウンでおこなわれることとなっている。

 このような状況から、9月30日からの第10サイクルからは、蓄積電流60〜70mAで共用をおこなう方向で検討を行っている。なお、21−バンチなど“Several-bunch Mode”運転では、電流の増加にともなうビーム寿命の問題が大きい。利用研究における“使い勝手”も頭に置いて、第10サイクル以降の運転モードの検討が始められている。



Print ISSN 1341-9668
[ - Vol.15 No.4(2010)]
Online ISSN 2187-4794