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Volume 03, No.4 Pages 39 - 40

7. ユーザー便り/A LETTER FROM SPring-8 USERS

利用者懇談会新発足「理論サブグループ」の紹介
Introduction of SPring-8 Users Society “Theory Subgroup”

小谷 章雄 KOTANI Akio

東京大学 物性研究所 Institute for Solid State Physics, University of Tokyo

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 SPring-8の供用が昨秋から始まり、いよいよ独自の研究成果が問われる段階に入った今、実験と理論の協力態勢を作っていくことは極めて重要な課題であります。このたび、光物性理論研究者(および計算物理研究者)が集まり、SPring-8における実験研究を支援することを目的として、理論サブグループが結成されました。以下にその経緯と今後の活動の指針について記します。
 理論サブグループの呼びかけ人は菅野暁先生です。菅野先生は理研顧問としてSPring-8のスタートに尽力してこられましたが、また一方で、岡山理科大学の吉森昭夫先生とともに、理論家がSPring-8に関心をもち、実験を支援する態勢を作るための準備をしてこられました。1996年6月には、播磨科学公園都市に60名余の光物性理論研究者を集めて「Spring-8利用に関する理論ワークショップ」を開催され、SPring-8の利用について自由に語り合う機会を作られました。その後も、上坪宏道氏、吉森氏とともに、理論の支援態勢についての懇談会をもたれたり、大西楢平氏(NEC)、A. Freeman氏を通じてESRFやAPSでの計算科学システムの調査をされました。これらの背景の上に立って、1997年7月、日本原子力研究所と理化学研究所に設置されている「大型放射光施設計画検討委員会(高良委員長)」で、SPring-8の整備に関して“実験研究者と理論研究者の協力関係を構築する制度の検討”(平成9年度第1回大型放射光施設計画検討委員会議事録概要)が提案されました。
 本年3月13日には菅野先生の呼びかけ(世話人は富士総研の大谷泰昭氏)により、SPring-8利用者懇談会の援助のもとに、少人数のワークショップ「SPring-8を理論から支援する会」が開かれました。そこでは、計算物理と物性理論のセッションの各々において数名の話題提供者が講演し、終日熱心な討論が行われました。また、水木純一郎氏を招待してSPring-8の現状について紹介を受けました。参考のため、ワークショップのプログラムを以下に掲載します。

 (1)挨拶:  菅野 暁
 (2)SPring-8の現状:  水木 純一郎
 (3)計算物理セッション
  里子允敏: 第一原理計算の将来;分子系を中心として
  藤原毅夫: 第一原理計算の将来;固体系を中心として
  大西楢平: 巨大研究施設における計算システム
 (4)物性理論セッション
  吉森昭夫: 巨大実験研究所の理論部門
  小谷章雄: 高輝度放射光の利用に関する理論の展望;固体系を中心として
  十河 清: 高輝度放射光の利用に関する理論の展望;生体系を中心として
  張紀久夫: 物質の量子光学効果に関する理論の展望
  星野公三: 高輝度放射光の利用に関する理論の展望;複雑系を中心として
  馬越健次: 連携大学院方式による若手理論研究者の参加
 (5)今後のための討論

 このワークショップの折、理論も(36番目の)利用者懇談会のサブグループに登録しようということになりました。代表者には小谷章雄(東大・物性研)が、また、実務担当者には馬越健次氏(姫工大・理)が選ばれました。その時の出席者(都合で欠席した2名を含む)13名を最初のメンバーとして利用者懇談会サブグループが発足しました。更にその後、メンバーを増員するため、関係の理論研究者へのはたらきかけをしています。また、ワークショップの直後に、水木氏が上坪氏に話をして下さり、かねてからの「理論家の応援は必要」との意識もあって、理論の客員部門がJASRIに作られる方向で動き出したと聞いています。
 理論サブグループでは、当面、次のような活動を考えています。
(1)定期的に研究会やワークショップをひらき、実験家を招いてSPring-8での実験の話を聞き、理論面からの支援をする。実験結果の理論的解析を行うと同時に、理論からの予測を実験で検証することを実験家に提案する。
(2)実験サブグループの中に適宜理論家を配置することを提案し、共同研究を奨励する。
(3)SPring-8の組織の中に、将来、理論部門が作られるようはたらきかける。

 今後、理論サブグループが有効に機能できますように、関係各位のご協力をよろしくお願いいたします。


小谷 章雄 KOTANI  Akio
(Vol.3, No.1, P24)



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[ - Vol.15 No.4(2010)]
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