ページトップへ戻る

Volume 03, No.3 Page 47

7. ユーザー便り/A LETTER FROM SPring-8 USERS

ユーザーの声−BL02B1を使用して思った事は−
Short Note on Starting of BL02B1 Experimental Station

山本 一樹 YAMAMOTO Kazuki

奈良女子大学 理学部物理科学科 Nara Women's University, Faculty of Science

pdfDownload PDF (12 KB)


 初めて、SPring-8を見ましたのは、一昨年の2月でした。まだ、BL02B1には何も無かったと記憶しています。昨年の3月には、ハッチとその中にはHUBER 7軸回折計が設置されていました。7月には、実際に立ち上げ作業に少々従事し、回折計の動作チェック等を行いました。10月にはサブグループメンバーの教育と装置の運用テストをかねた各SGの実験で、「散漫散乱」SGの課題の分担として、Al-Ni-Co D相準結晶のフェイゾン歪みによるBragg反射の半値幅変化の測定を行いました。そこで、いくつか気になった事を書きたいと思います。
 10月の実験に行く前には、時間があったら、組成の違うサンプルや散漫散乱の測定も行いたいなどと、欲張っていました。しかし、現状(当時)では、リングカレントが低く、反射強度が弱いため、高分解能を出すために細いスリットやアナライザーを使うと、S/N比の良いデータを出すには、かなりの測定時間が必要でした。また、思った以上に回折計のスピードが遅く、測定時以外にも時間がかかりました。それでも、半日くらいで、1試料の準周期面内の1方向に沿ったBragg反射30点ほどのピークプロファイルを、スリット系、又は、アナライザー系で、波長0.7Åにて測定できました。準結晶はフェイゾン歪みにより、Bragg反射の半値幅やピークシフト量などがQ⊥依存性を示します。実験室では半値幅がQ⊥に対して何かしら増加の傾向があることは分かっていたのですが、その関数形や絶対量が、分解能の不足から明らかではありませんでした。そこで、実験目的はSPring-8の高分解能性を生かして、この点を明らかにしたいということです。結果は満足のいくものであり、ランダムフェイゾン歪みによる、線形依存性が明確になりました。分解能はアナライザーを使って、半値幅0.01°以下が達成されますが、強度は実験室程度でした。また、散漫散乱の測定も行ったのですが、運悪く、ビームダンプによりほとんど測定できませんでした。それでも、多少測定できたところからは、現状の強度では、高分解能を生かしての、有為な散漫散乱の測定は時間的に難しいということです。従って、今後の輝度の増加に期待というところです。
 さて、特段難しい実験ではありませんので、実験上の問題は特にありませんでた。しかし、長い2θアームにアナライザーを装着するという形式では、カウンター、アナライザー、イオンチェンバー等から出ているコード類をうまく捌く必要があます。下手をすると、短い2θアームや回折計のどこかの出っ張りに引っかけて、コードの断裂を招く危険が多々ありそうです。SPring-8を使っての実験であるなら、誰もがすばらしいデータを期待されることでしょう。現在も、立ち上げ途上であり、今後も当分、いろいろ実験上制約が残ることと思います。いつかは、高輝度、高分解能、高エネルギーなX線で思いのままに実験ができることを期待しています。



Print ISSN 1341-9668
[ - Vol.15 No.4(2010)]
Online ISSN 2187-4794