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Volume 03, No.2 Pages 56 - 57

7. ユーザー便り/A LETTER FROM SPring-8 USERS

放射光施設雑感(PF. UVSOR そしてSPring-8)
Miscellaneous impressions on synchrotron radiation facilities (PF. UVSOR and SPring-8)

高橋 昌男 TAKAHASHI Masao

大阪大学 産業科学研究所 The Institute of Scientific Industrial Research, Osaka University

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 SPring-8で初めて電子が周回軌道を回った、1997年3月14日から、約1年。当日、とあるサブグループの研究会があり、SPring-8の食堂で催された懇親会の席上でその話を聞いて、「いよいよだな」と感じ入ったものです。それ以降、度々SPring-8を訪れるようになり、上郡町金出地の風景がなじみのものになってきました。放射光利用によるXAFS法を材料評価法の手段の一つにしている、関西在住の人間として、SPring-8という施設は、高輝度・低エミッタンス光源であること以上に、本務地の近くで放射光が利用できるありがたさがあります。もっとも、SPring-8という施設をどのように位置づけるかを考えるとき、「関西の研究者にとって近場にあるというメリット」は単に近いことだけを強調しすぎるきらいがあるのでしょうが。ともかく、車を使えば大阪からだと2時間足らずの距離です。 
 さて、筆者にとってSPring-8は、高エネルギー加速器研究機構物質構造科学研究所放射光研究施設(PF)、分子科学研究所極端紫外光実験施設(UVSOR)に次いで、3番目の放射光実験施設です。そこで、利用者の目から見た、これら3つの施設について、数点述べてみたいと思います。
 SPring-8とPFでは、ビームは終夜連続で利用できますが、UVSORでは、9時から18時まで(木曜日は 21時まで)の昼間のみ、ビームが利用できます。一般的なXAFS測定で、試料を取り替えてはひたすら人海戦術で測定を行う場合には、24時間態勢でビームが利用できると、マンパワーさえあれば、効率の良い実験ができます。ところが、一工夫が必要になったり、じっくり考え直してから実験を再開せねばならなくなったときには、ビームの出ていない時間が欲しくなるでしょう。実際に、後者のような場面に出くわすと、“ビームが出ている!”しかも、“ビームタイムが刻々減ってくる!”でも、“頭を冷やして考え直さないといけない!”と、光のたれ流し状態にする罪悪感にさいなまれることになってしまいます。「あらゆる状態を想定して実験に臨み、年に何回かのビームタイムを上手に使いこなすべきだ」と言われると、それまでですが…。
 放射光施設に限らず、本務地以外の研究機関へ実験等で出張すると、生活面での変化を余儀なくされます。ことに、終夜実験になると補食を求めたくなります。このような食事(おやつでしょうか)や日用品の調達に関しては、SPring-8は最も過酷な状況にあると言えます。車でもなければ、24時間営業のコンビニには行く気にもなりません。まさに、陸の孤島です。PFのように、外出可能な自転車があればまだいいのですが…(そのうちに、貸し出しがされるようになることを願っています)。PFでは、以前は似たような状況でしたが、面白いことに、年々、コンビニがPFの方へ近づいて来てくれました。最近では、歩いて買いに行くことも可能な距離にコンビニができています。一方、UVSORはこの点では最も気楽で、15分も歩けば名鉄東岡崎駅に出ますから、スーパーやコンビニで買い物ができます。
 食事の話が続きますが、SPring-8で感心したことの一つに、食堂の料理があります。PFの悪口を言うつもりではないのですが、「(食事に関して)PF に行った後でSPring-8に実験に来ると、天と地の違いを感ずるね。逆だと悲惨。」などと仲間内でささやくことしきりです。終夜実験になって不規則な生活を強いられるときに、しっかりと食事がとれるのは健康面で非常に助かるものです。ただ、終了時刻近くに行くと、食べるものが無くなるのはどの放射光施設(研究所)の食堂でも同じです。さらに、日用品・文具類を調達できる売店がSPring-8にあればいいのにと感じています。
 もう一点比べるならば、交通の便でしょうか。この点からもUVSORは最もアクセスしやすく、次いで、PF、SPring-8の順でしょう。SPring-8へ18時過ぎに着くバスを逃すと、約30分の道のりを歩かないといけません。重い荷物を持っていたり、夏の暑い日でなければ、通用門側から登っていくと、神姫バスの公園都市バス停から中央管理棟まで30分そこそこで着くとはいうものの…。ただ、PFへ行くときに、つくばセンターまでしかたどり着けなかった場合よりは、歩く距離は少なくて済みます。(つくばセンターからならタクシーを使う方が普通でしょう。)



Print ISSN 1341-9668
[ - Vol.15 No.4(2010)]
Online ISSN 2187-4794