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Volume 03, No.2 Pages 43 - 45

5. 研究会等報告/WORKSHOP AND COMMITTEE REPORT

第11回日本放射光学会年会・第4回放射光科学合同シンポジウム
Joint Symposium on the 11th Annual Meeting of Japan Synchrotron Radiation Society and the 4th Meeting of Synchrotron Radiation Science

原見 太幹 HARAMI Taikan

日本原子力研究所・理化学研究所 大型放射光施設計画推進共同チーム 利用系グループ JAERI-RIKEN SPring-8 Project Team Experimental Group

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 第11回日本放射光学会年会、4回目の放射光施設の合同シンポジウムが1月9日から11日までの3日間、兵庫県播磨科学公園都市にある兵庫県立先端科学技術支援センター(CAST)と姫路工業大学理学部で開かれた。過去3年、高エネ研、分子研、物性研が学会・合同シンポジウムを実行開催し、SPring-8が今回の当番であった。昨夏放射光装置に関する国際学会SRI’97が姫路で開かれたばかりで同じ年度内に放射光学会を引き受けるのはどうか、という意見もあったが、4放射光施設の順番で最後となっていること、SPring-8の供用開始式典が10月6日に行われ放射光利用実験が始まる予定であったこともあり開催を引き受けることになった。
 シンポジウムは、例年にならって3委員会(組織委員会、プログラム委員会、実行委員会)で準備を行った。今回、組織委員長は学会の行事幹事でもある水木純一郎さん(SPring-8)が、プログラム委員長は八木直人さん(SPring-8)がその役を引き受けられた。組織委員会には、共催団体である4放射光施設の代表と各施設の利用者懇談会の代表が参加した。プログラム委員会は放射光学会の成果発表分野別の専門委員で構成した。実行委員会は、SPring-8を組織している原研、理研、JASRIのスタッフ、姫路工業大学理学部の先生方で進めた。また、3委員会の長は連絡を密にした方がいいとの西野三和子さん(放射光学会事務局長)の御意見を生かして各委員長は他の委員を併任した。
 1年ほど前に学会会場の検討を行い、宿泊施設、交通・食事の便を考えると播磨科学公園都市よりも姫路で開催した方が良いという意見があったが、平成8年に日本結晶学会、9年に加速器科学研究会が播磨で開かれたり、開かれる予定であったこと、今後もSPring-8関連の学会やシンポジウムが開かれる機会があることを考えると播磨で開いてみることの方が重要との結論となった。会場について支援センターで大ホールとポスター会場を確保できたが、口頭発表は姫路工業大学の講義室を使用することになり学会開催日を大学の授業が休みとなる土・日にあてた。シンポジウムの開催日程について例年4日間かけて開かれていたが、組織委員会の議論で各種委員会等のプログラムを詰めれば3日間の枠組みでこなすことができるとの意見が多くを占め、今回は3日間で開くこととした。  
 

 
受 付 風 景  
 
 
 
口頭発表会場 
 
 宿泊施設についてはSPring-8研究交流施設に100 名、支援センターに40名弱を確保し、実行委員の塩飽さんにSPring-8ホームページを作ってもらい、宿泊状況等を参加者にお知らせする仕組みをとった。交通の便を図るため地元の神姫バスに頼んで相生から会場へとSPring-8から会場への臨時便を出してもらうことにした(西畑さん)。支援センターの会場の準備は三井さん、舟越さんが担当、受付、お茶係、講演会での時間係、照明係、マイク係はSPring-8の女性スタッフと姫路工業大の学生が手伝ってくれた。企業展示は大石さん、高橋さんが担当し、過去最高の44社の多くの企業展示への参加があり、ロビーの展示用の電気容量が足りなかったので地下電気室から増設配線を行うほどであった。講義室と食堂の利用にあたっては安岡さん、坂井さん、小泉さん、柴田さんの姫工大の先生方に準備を進めてもらい、土・日の食堂営業をお願いした。1年間の準備を含め、シンポジウム開催に御協力いただいた方々にお礼申し上げます。  
 

 
企 業 展 示 
 
 播磨地方では学会開催の前日雪が降り、例年の雪による交通遮断を考えると開催が危ぶまれたが、幸いにも雪が東の方に逸れて降ってくれたので無事時間通りに開催できた。ただ東名道路が麻痺したため、学会の小道具の宅急便が開催前日の準備作業中に届かず、あきらめて帰った後夜8時頃やっと荷物が届いたとのことで学会開催に間に合いほっとした。
 1月9日の午後からシンポジウムが開催され、 SPring-8利用者懇談会が開かれた。菊田利用者懇談会会長、上坪JASRI副所長、寺岡大型放射光利用推進室長の挨拶があり、各幹事からの活動報告の後恒例の顧問の先生方から挨拶があった。2日目から研究発表等の学会が開かれた。今回は放射光学会初めての播磨開催ということで参加者の数を心配したが 384名の参加があり、研究発表件数が例年より少なかったにもかかわらず盛況であった。午前中に大ホールで企画①「放射光加速器の進歩」のテーマで最近新たに建設・改造のあった吉田先生のHi-SORの建設と立ち上げ、加藤先生のPFの高輝度化、熊谷先生のSPring-8の蓄積リングの建設と立ち上げ、横溝先生の同施設入射器の建設と立ち上げを話題に講演があった。午後特別講演2件があった。最初は現在分子研に滞在されているマンチェスター大I. Munro博士に「西暦2000年を迎えるに当たって、放射光を利用した研究の可能性とチャレンジ」のお話を、東大工学部の菊田先生に「X線ビーム特性の高度化と干渉実験」のお話をしていただいた。夜は放射光学会総会に引き続き交流サロンで津坂さんの司会で親睦会が開かれた。乾杯に先だって坂井庶務幹事から第2回目の若手奨励賞の受賞者(杉山宗弘、平野馨一さん)の紹介があり、上坪会長から賞状と金一封が手渡された。2人の受賞者の慶びの挨拶の後、上坪会長の乾杯の音頭で宴が始まった。交流サロンの定員いっぱいの参加があり料理が参加者に行き届くかどうか心配するほどであったが、料理をやっていただいたレストランはりまの支配人の心配りがあり、充分楽しんでいただけたことと思う。  
 
 
 
菊 田 さん 
 
 
 
  3日目の企画②「放射光からの磁性研究」では、小谷先生のクラスター型理論、柿崎先生のスピン偏極光電子実験、五十嵐先生の局所電子相関を考慮したバンド理論、菅先生の円偏光磁気二色性実験を話題に理論と実験の両方の先生方の講演があった。午後の企画③「SPring-8の利用研究」では、この秋に実験が開始したSPring-8での成果発表があった。入船先生(愛媛大)は、1500トンプレスの高温高圧装置を使って地球マントル層の岩石(かんらん石)の構造相転移を明かにした。瀬戸先生(京大)は、加速器チームの協力で純度のいい21バンチ運転ができX線の核共鳴散乱を利用したナフイオン等の非弾性散乱スペクトルの測定が比較的短時間にできたことを発表した。ポスター、口頭発表でもSPring-8の最初の成果が発表された。平成10年度の利用課題が1 月6日に締め切られたが昨年より多く申し込まれているそうで今後の成果が期待できる。  
 
 
 
懇 親 会 風 景 
 
 口頭発表、ポスター発表は加速器・装置、X線回折・散乱、VUV・SX、XAFS、生物関連のセッションに分かれて開かれ活発な議論が交わされた。ポスター発表では実験が行われた施設を表題横に明示することとした。
 玄関ではわが国の放射光施設の建設、改造、稼動状況を発表する常設展示ポスターを行い、14施設の多くの申し込みがあった。都合で発表に来れなかった施設があったが、新たな計画等施設の活動を知る良い機会であった。  
 
 
 
ポスター発表会場 
 
 次回はつくばのKEK物質構造科学研究所で開かれる。PFリングの高輝度化が進み、利用研究の成果が期待される。また、日本の放射光施設における計画も順調に進み日本放射光学会・合同シンポジウムが研究成果の発表で活発な盛り上がりを示すことを祈る。 
 
 
原見 太幹 HARAMI Taikan
昭和23年1月20日生
日本原子力研究所・関西研究所
大型放射光開発利用研究部
利用系開発グループリーダー
〒678-1298
兵庫県赤穂郡上郡町金出地
SPring-8 リング棟
TEL:07915-8-0834 FAX:07915-8-0830
略歴:昭和54年京都大学大学院理学研究科物理専攻博士課程修了、独マックスプランク生化学研究所研究員。原研就職後、原子炉安全工学部、研究炉管理部、大型放射光開発室加速器系開発グループを経て、現職。理学博士、日本物理学会、日本放射光学会会員。放射光の核散乱を通して見た生体物性研究を推進したい。



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[ - Vol.15 No.4(2010)]
Online ISSN 2187-4794