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Volume 02, No.5 Pages 7 - 12

2. SPring-8の現状/PRESENT STATUS OF SPring-8

中央管理棟について
Main Building Completed

北見 俊幸 KITAMI Takayuki

日本原子力研究所・理化学研究所 大型放射光施設計画推進共同チーム 建設グループ JAERI-RIKEN SPring-8 Project Team Facility Construction Group

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 大型放射光施設の当初の建設計画(一期計画)においては平成10年10月を完成予定としていましたが、平成6、7年度の補正予算により約1年前倒しになるだけでなく、二期計画の施設にも着手するなど当初予想を超えて速やかに整備されてきています。平成9年9月現在において一期計画分は全て竣工し、二期計画として着工した組立調整実験棟、医学利用実験施設も竣工となり研究交流施設の一部だけが工事中です。

 本利用者情報誌平成8年11月号に中央管理棟の概要を紹介させて頂いておりますが、中央管理棟はSPring-8の運営及び利用支援の中核的な施設であるため平面プランを掲載して改めて紹介させて頂きます。

 施設運営及び放射光利用支援の機能を中央管理棟及び渡り廊下で接続されている蓄積リング棟の一部(蓄積リング棟A棟)に集約し、日本原子力研究所、理化学研究所及び7高輝度光科学研究センター3者の協調に配慮して職員等を配置しています。中央管理棟には事務管理・放射光利用支援・研究者居室等、蓄積リング棟A棟には運転管理・安全管理・施設管理等の機能を割り当てています。収容人員は事務・技術・支援部門約150名、加速器・利用研究部門約150名の計300名程度になります。

 中央管理棟は施設運営の中核的な施設であり、また正門通りから中央管理棟正面に至るように配置しているシンボル的な構造物でもあります。延べ床面積6,500 m2の鉄筋コンクリート・プレストレストコンクート・鉄骨造地上5階建の建物で、敷地は蓄積リング棟の宅盤よりも一段低いレベルにあります。

 このため敷地レベルの1階、蓄積リング棟レベルの2階、同中央制御室レベルの3階からのアクセスを考慮して設計しています。また、両ウィングに駐車場を設け、前面にオープンスペースを確保しその中央に噴水(シンボルタワー)を配置しています。

 以下、フロアー毎の平面プランについて説明させていただきます。

 

(1階)

 中央北側に正面玄関があり、講堂横及び建物両端の計4カ所に通用口を設けています。賓客等はモニュメントを中心とするロータリーから正面玄関へ、一般職員等は両ウィングに併設した駐車場側から講堂横の通用口へアクセスすることになります。また、建物両端の通用口は出口専用になります。

 この階は大部屋の事務室と役員室等からなる中央ホールを核にしたフロアーです。クロークを併設した百人規模の講堂には大型のビデオウォールを設置しており、プレゼンテーション、テレビ会議等に活用できます。このほか、特別会議室(20人規模)、会議室(20人規模)、打合せコーナー(数人×数グループ程度)等の会議・打合せスペースがあります。講堂利用時に洗面室が混雑した場合を想定して職員専用洗面室を設けています。また、この階のみに自販機コーナーと身障者用トイレがあります。

 中央ホールには「SPring-8遠望 21世紀へ」というタイトルの5.4 m幅 × 1.8 m高のタペストリー(綴織り)を壁面に設置しています。なお、この原画は小原健治郎氏(原研核融合工学部)に製作依頼したもので、同氏は冊子「原研」の表紙を四半世紀程飾っている画家でもあります。

 

(2階)

 蓄積リング棟と同レベルの中央南側玄関は、外部放射光利用者等の玄関であるばかりでなく勝手口の性格を有しており一般外来及び物資等の主たる出入口になります。この階は大部屋の事務室2室からなり利用支援を主目的としています。また、会議室(二十人程度)及び応接室のほか、メイルボックス室、監視盤室が有ります。外部に面する扉は電気錠になっており原則時間外は退出のみ可能で、時間外の入室は3階の蓄積リング棟と接続する渡り廊下からと、2階玄関のカードリーダー管理する自動扉からに限られることになります。

 

(3階)

 蓄積リング棟2階中央制御室及び実験ホール見学室と渡り廊下で繋がるフロアーで、研究者の主たる居室となるほか放射光研究所長室、副所長室を配置しています。この階は22 m2の研究室を28室、44 m2の研究室を4室、30 m2のセミナー室2室及びプリンター室2室からなります。また、研究室扉の施開錠はテンキー方式としていますので同居者と相談して暗証番号を決めて頂くことになります。

 

(4階)

 3階と概ね同じプランで研究者の主たる居室を配置しています。22 m2の研究室36室(内8室は間仕切りを撤去し4室にして供用)からなるほか、3階と同様に計画されています。

 

(5階)

 最上階であるこの階には20 m2と40 m2のリフレッシュコーナー、シャワー・洗面室を男女各1室、電気室で構成されています。リフレッシュコーナーは建築基準法による防火区画のためにできてしまった部屋を遮音構造にして運動器具などもおける電源計画としたものですが、より有効に利用していただきたいと思います。この階から屋上に出ると、眺望を楽しみながら夏には夕涼みがとれるガーデンになるはずですのでパントリーとしての活用等を個人的には指向したいものです。

 2階から4階の吹き抜けになっているホールは研究者の方が出会い語り合ったり、研究成果の展示などに程よいスペースがありますので共用空間として活用して頂きたいと思います。また、建物の両端に喫煙(できる)コーナーが有り、数人の打合せができるスペースです。どちらのスペースでより良い研究成果がでるか喫煙コーナーの利用者の一人として見守りたいと思います。

 最後に。中央管理棟の正面には噴水(シンボルタワー)があり、このデザインの意味などについて聞かれることが度々有ります。これについては皆さんが感じたままがよいので説明はしないことにしていますが、公式的には「原研・理研の2本のメインフレームと、財団の回転体」と説明しています。すると、何となく仕掛けの辻褄が合うのを面白く感じています。(財)高輝度光科学研究センターが本当に素晴らしい回転体=運営主体になり、SPring-8から数多くの成果が出ることを楽しみにしています。

 

中央管理棟全景(外構は工事中)

 

シンボルタワー

 

中央ホール

 

 中央管理棟1階平面図

 

 中央管理棟2階平面図

 

 中央管理棟3階平面図

 

 中央管理棟4階平面図

 

 中央管理棟5階平面図

 

 

 

北見 俊幸 KITAMI Takayuki

(Vol.2, No.2, P26)

 

 

Print ISSN 1341-9668
[ - Vol.15 No.4(2010)]
Online ISSN 2187-4794