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Volume 02, No.2 Page 36

6. 談話室/OPEN HOUSE

海外の状況(インド)
From the World − India −

原見 太幹 HARAMI Taikan

日本原子力研究所・理化学研究所 大型放射光施設計画推進共同チーム 利用系グループ JAERI-RIKEN SPring-8 Project Team Experimental Group

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 本誌1996.9(Vol.1、No.4)号の談話室で「インドによるSPring-8利用と専用ビームライン建設」について植木リーダーから報告されているが、そのなかで予定されていたインドとの交流会に参加したので報告する。

 11月25日から27日にかけてインド・インドール(Indore)のInter Universiy Consortium for DAE Facilities(IUC-DAEF)で「Indo-Japanese Meeting on SPring-8 Utilization」と題する会合が開かれた。この会合は、IUC-DAEF所長のB. A. Dasannacharya博士と大野リーダーの間で企画されたもので、放射光利用研究に関するスクールプログラムの一環として開かれた。約50名の参加者がいた。参加者は、放射光利用研究に興味を持ち、何人かの研究者はアメリカで放射光利用実験の経験があった。IUCは、インドの全国共同利用施設である。

 会合は1時間に渡る開会式(IUC-DAEFのA. Gupta博士、IUC-DAEF所長B. A. Dasannacharya博士、CAT(Center for Advanced Technology)所長D. D. Bhawalkar博士、IUC-DAEFのA. V. Pimpale博士、報告者の各あいさつ)で始まった。昼食後、報告者がSPring-8施設の現状を紹介した後、以下の各利用研究テーマについて各研究者から発表があった。

 

 SPring-8側からは、

Nuclear Resonant Scattering T. Harami(原見)
Crystal Structure,Diffraction M. Sakata(坂田:名大)
Soft X-ray Spectroscopy S. Suga(菅:阪大)
Inelastic Scattering Y. Sakurai(櫻井)
Protein Crystallography T. Ueki(植木)
High Pressure Studies O. Shimomura(下村:KEK)

 インド側からは、

Diffuse Scattering D. Pandey
Phase Transition in Titanates B. A. Dasannacharya
Nuclear Resonan Scattering A. Gupta
Nuclear Resonant Scattering V. G. Bhide
Reflectivity studies M. K. Sanyal
PES and X-ray Spectroscopy K. B. Garg
X-ray Spectroscopy C. Mande
Protein Crystallography S. Hosur
Structural Studies on Viruses M. R. N. Murthy
High Pressure Studies S. V. Subramanyam
High Pressure Studies M. S. Somayazulu
Inelastic Scattering B. K. Sharma
Macromolecular Crystallography V. Pattabhi
Structures of Multifunctional Mare and Buffalo Lactoferrin Proteins
  T. P. Singh

 

 いくつかの分野でSPring-8共用ビームラインを使用しての共同利用実験に参加したいとの希望があり、今回のSPring-8利用課題申請に応募している研究者がいる。

 2日目にCATの見学会があった。CATではインドの放射光施設INDUS I(450 MeV)を建設しているが加速器のトラブルのため、まだビームラインでの成果がでない状態である。入射器は、マイクロトロンとシンクロトロンからなっている。入射器をINDUS Iと共用してINDUS II(2 GeV)を計画している。その他CATではレーザーの開発研究をしている。医学治療への応用、元素分析、レーザー加工等の研究を進めている。なお会合中停電がしばしばあった。20秒ほど待つと非常用発電機から電気が来る。

 今回の日本側からの参加者は、SPring-8に建設中の10本の共用ビームラインの研究テーマに関係しているので、SPring-8共用ビームラインを使用する上でインド側の研究者との交流の機会が図られたことは意義があった。SPring-8側でいつから外国の研究者の実験参加を受け付けるかの判断は、ビームライン立ち上げ状況を見ながらとなるだろうから、日本側との情報交換をしながら進めることになりそうである。

 

会合が開かれたBhide Hall(菅教授撮影)

 

 

Print ISSN 1341-9668
[ - Vol.15 No.4(2010)]
Online ISSN 2187-4794