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Volume 02, No.1 Page 1

1. ハイライト/HIGHLIGHT

新年ご挨拶
New Year’s Greeting

伊原 義徳 IHARA Yoshinori

(財)高輝度光科学研究センター 理事長 Japan Synchrotron Radiation Research Institute (JASRI) President

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 あけましておめでとうございます。

 平素より当財団の運営につきましては、科学技術庁、日本原子力研究所、理化学研究所、兵庫県をはじめ地元市町、学界、産業界など関係各位には、格別のご支援、ご協力を賜り、ここに厚く御礼申し上げます。

 当財団は、平成6年10月の「特定放射光施設の共用の促進に関する法律」施行に伴い、SPring-8における放射光利用研究を促進するための機構として指定され3年目に入りました。昨年を振り返りますと、SPring-8の運営に関する重要事項を審議する諮問委員会においては、共用ビームライン利用研究課題の募集・選定や専用ビームラインの設置計画などについて審議して参りました。なかでも、専用ビームラインの設置計画については、大学・国公立研究機関が設置する5件と産業界13社が共同で設置する2件の設置計画趣意書を採択し、そのうち兵庫県が計画する1件については設置の受け入れを決定いたしました。また、利用業務部を新設し、その主たる業務である利用研究課題の募集・選定などの供用業務や利用研究者への情報提供などの支援業務を着実に実施するとともに、財団の研究組織や研究員の充実を図り、平成9年10月の供用開始に向けた体制の整備に努めてまいりました。

 さて、SPring-8の建設状況につきましては、入射用加速器の試験調整運転が昨年8月から開始され、今年は蓄積リングやビームラインの試験調整運転が予定されており、10月からの供用開始に向けて諸施設の整備が最終段階に入ります。また、中央管理棟、組立調整実験棟、医学利用実験施設の建設などもそれぞれ順調に進められており、利用者の仮眠・待機施設である研究交流施設の一部の運用が開始されるなど、周辺の環境も逐次整備されつつあり、皆様方には当地を訪れる度に、その風景の変貌ぶりに驚かれることと存じます。建設に携わっておられます原研・理研共同チームの皆様のご努力に敬意を表します。

 一方、8月には国際会議「第6回SRI’97」が播磨で開催されることになっており、内外の第一線で活躍されている多くの研究者が参集し、放射光科学に関する活発な議論が展開されることでしょう。この機会に、SPring-8の特徴、性能などを十分理解して頂き、多くの研究者がSPring-8に興味を持って頂けることを期待しています。

 このような状況の中で当財団と致しましては、SPring-8を利用しやすく、かつ世界に開かれた施設とするため、今年も組織・体制の充実、業務の拡充などを更に積極的に進めて参りたいと存じております。また、SPring-8利用の一層の推進・拡大を図るために、利用研究者の皆様で組織する「SPring-8利用者懇談会」の活動なども円滑に遂行できるように、今後とも積極的に支援して参りたいと存じております。近い将来、SPring-8が世界における放射光科学の中核的研究拠点の一つとして、先端科学技術研究を先導し、社会の発展に貢献することを心から願っております。

 皆さまにおかれましても、これまでにも増してご支援、ご協力を賜りますよう切にお願い申し上げ、新年のご挨拶とさせて頂きます。



Print ISSN 1341-9668
[ - Vol.15 No.4(2010)]
Online ISSN 2187-4794