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Volume 01, No.1 Pages 46 - 56

8. JASRI委員会報告/JASRI COMMITTEE REPORT

SPring-8施設の技術支援に関するアンケート調査結果について

坂井 信彦

(財)高輝度光科学研究センター 技術支援方策検討委員会委員長 姫路工業大学 理学部

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はじめに

 (財)高輝度光科学研究センターに設置されている「技術支援方策検討委員会」では、SPring-8の利用者に快適な研究環境を提供するにはどのような支援が望ましいかを検討しています。この委員会での検討結果は、財団理事長に報告されます。委員会では、まず、SPring-8を利用する際に利用者が施設に期待する支援項目を把握するため、平成7年2月にアンケート調査を行いました。その結果が集計され委員会で検討を始めましたので、集計の結果などを以下にご紹介致します。

 

 

1.技術支援方策検討委員会設置の背景

 (財)高輝度光科学研究センタ-(JASRI)は、平成6年10月に「特定放射光施設の共用の促進に関する法律」の施行を受け、政府が指定する全国で唯一の放射光利用研究促進機構と位置づけられて、原研・理研SPring-8共同チ-ムの協力のもとに、 SPring-8を国内外の利用者に広く開かれた共同利用の研究施設とすべく、その運営と円滑な利用研究を促進する任を負うことになりました。

 SPring-8の利用者への支援は、今後様々な方策を必要としますが、殊に利用に際しての技術的支援は、利用者の研究成果に直接関わる重要なものであります。そこで、JASRIは、平成7年1月20日に技術支援方策検討委員会(利用者側委員10名、施設者側委員7名)を設置いたしました。この委員会では、利用者が必要とするであろう様々な技術支援やそのための体制、具体的な方策などを検討して、JASRIに報告する役割があります。また、委員会は、技術支援に密接に関連する利用支援と呼ぶべき項目についても適宜検討を加え、利用者にとって快適な研究環境は何か、を具体的に提言します。

 

 

2.アンケ-トの目的と構成

 今回のアンケ-トは、当委員会の最初の調査として、技術支援とその周辺を包括的に対象として、 SPring-8 に期待する技術支援項目(内容)の概括的な把握を目的としました。そのため、質問項目を、 SPring-8 の利用開始予定の情報入手から終了の報告書作成に至るまでの、およその時系列に沿って展開する 47 項目から構成しました。アンケ-トは下記(1)、(2)、(3)の条件で回答していただく形式としました。また、利用者の意見を充分に採取するため、文章による記載回答形式も随所に取り入れました。

(1) このアンケートは、「共同利用ビームライン」を平成10年度以降に利用する場合を想定し、その時点での技術支援を中心にする。「専用ビームライン」の利用や「分析・解析サービス」などについては除外する。
(2) 設問の順序は、施設を利用するために情報を入手し、実験を実施した後、研究報告書を書くという流れに従う。
(3) 設問は、【a. きわめて高い、b. 高い、c. 普通、d. 低い、e. きわめて低い】 で答えれられる形式にしてあり、回答欄のa〜eの記号に○印を付ける。「その他」と「ご意見」については適宜記入する。

 

 

3.アンケート集計結果

 アンケ-トは、将来の利用者と想定される SPring-8利用者懇談会会員およびJASRIの産業利用共同研究委員会委員(合計934人)に平成7年2月20日付けで郵便発送され、回答は約30%の回収率を得ました。これによって、SPring-8施設者側に要求される技術支援の具体的項目と、その重要度を判断する基礎資料を得ることが出来ました。

 アンケ-トの設問と回答を集計した結果を(表1)に示します。各設問の下にa〜eの分布を帯グラフで示しました。図中の数字は、a〜eの回答件数です。また、その他や意見等の書き込みについても要約して示しました。

 

 

4.アンケ-ト結果の検討

 とくに、利用者が重要と考えている技術支援項目を明確にするため、重要度が高いと判断する評価aと評価bに着目し、その合計の回答者比率が全体の60%以上になっている項目を(表2)に抽出しました。また、評価cを含めた回答者比率を見ますと、「実験終了報告書の入手希望」を除きすべての項目で60%を越えます。このことから、アンケ-トのどの項目も技術支援に必要とみなされていることがわかります。(表2)で必要度が高いと判断された項目は、ビ-ムラインの技術情報や利用環境情報などの「情報・連絡」に関する支援、利用開始以前を含む「技術相談」に関する支援に集中しています。これらの項目については、SPring-8および財団の現時点における対処を回答していただきました。回答でかなりの項目がこれからの検討事項となっており、当委員会は、SPring-8と財団が要望の実現へよりいっそう努力されることを期待します。当委員会でも引き続きこれら項目を検討していきます。

 放射光の利用が多岐にわたることを反映して、記載式回答文、書き入れ項目には極めて多数の意見が回答されました。一応今回の報告では共通の意見は要約し、それ以外も可能な限り列記しましたが、詳細を充分に報告しきれていません。それぞれが貴重な内容であり、多数意見をもって軽重は判断できません。これらの意見は、今後の委員会の検討に反映させていきます。

 今回のアンケ-トは、SPring-8の施設が完成前で、回答者にSPring-8の情報が必ずしも充分に与えられていない状況下で実施されました。その結果、「情報・連絡」への要望が高い回答率になった可能性があります。委員会としましては、随時アンケ-ト調査を行い利用者の立場から技術支援を充実させる努力をいたします。

 なお、このアンケート調査は、本誌45頁記載の委員の協力のもとに実施されたものです。

 

 

(表1)アンケートの設問および回答集計

          

 

 

          

 

 

          

 

 

(表2)重要と考えている割合が高い項目について

 

 

 

坂井 信彦 SAKAI Nobuhiko

昭和16年10月23日生

姫路工業大学 理学部 物質科学科教授

〒678-12 兵庫県赤穂郡上郡町金出地1479-1

TEL 07915-8-0144

FAX 07915-8-0146

昭和42年東京教育大学大学院修士課程修了、同年東京大学物性研究所放射線物性部門助手、52年理化学研究所入所、研究員、副主任研究員を経て、平成4年より現職。理学博士。磁気コンプトン散乱による金属合金の研究に従事。最近は、大学教育と共同利用ビームライン建設に邁進。日本物理学会、日本化学会、日本放射光学会会員。趣味は、テニスと絵画鑑賞

 

 

Print ISSN 1341-9668
[ - Vol.15 No.4(2010)]
Online ISSN 2187-4794