Volume 01, No.1 Pages 22 - 23
6. 共同利用ビームライン/PUBLIC BEAMLINE
共用施設の利用研究課題選定に関する基本的考え方
諮問委員会では、かねてより財団法人高輝度光科学研究センター会長からの諮問を受けて「共用施設の利用研究課題選定に関する基本的考え方」について、専門委員会である利用研究課題選定委員会を設置し、検討、審議を重ねてきました。この委員会における検討結果がまとまり、第4回諮問委員会(平成7年12月1日)においてその内容を審議し、結論を得るに至ったので、以下に紹介します。
共用施設の利用研究課題選定に関する基本的考え方について
「特定放射光施設の共用の促進に関する法律(平成6年法律第78号)」、及び、同法第4条第1項の規定に基づく「特定放射光施設の共用の促進に関する基本的な方針」に基づき、放射光利用研究促進機構(以下「機構」という)は、利用研究課題の募集、選定を、国内外のあらゆる利用者、全ての研究分野に対して、透明な手続きにより公平な機会が提供されるように配慮して実施する。
また、応募のあった提案については総合的、専門的に検討評価して選定を行う。
1.公平な提案機会の確保
(1) | 利用研究課題の提案は公募する。そのため、公募案内の記事を関連する学会誌、科学技術雑誌などへ定期的に掲載し、広く国内外に周知させる。 |
(2) | 共用施設の仕様、性能、運転スケジュール等の技術情報、更に、利用研究課題の募集、採択、利用状況等に関する情報は、機構の発行する技術情報誌等により周知させる。 |
(3) | 必要に応じて、利用希望者に対し、最新の運転の状況、利用状況、技術的な情報の提供や技術的な相談への対応を、インターネット等の適切な手段を用いて行う。 |
2.利用研究課題選定の基準
広範な分野からの提案課題を、次の基準に沿って総合的、専門的に検討評価して、課題の選定を実施する。
(1) | 科学技術的妥当性 |
① 研究課題の先端性及び当該研究課題を含む科学技術分野の発展性 | |
② 期待される研究成果の基礎的研究分野、基盤的技術開発分野への貢献度 | |
③ 期待される研究成果の産業基盤技術としての重要性及び発展性 | |
④ 研究課題の社会的意義、社会経済への寄与度 | |
(2) | 研究手段としてのSPring-8の必要性 |
(3) | 実験内容の技術的な実施可能性 |
(4) | 実験内容の安全性 |
3.課題申請手続きの簡素化、迅速化
(1) | 利用研究課題の申請は随時受け付けるが、その選定は当面年2回行う。なお、採択の時期等については別途定める。課題の有効期限は採択後6ヶ月とし、それ以上の実験期間が必要な場合は、継続提案として簡素化した様式で取り扱う。 |
(2) | 課題申請後の利用実験開始を早期に実現するため、申請、採択、利用実験までに要する手続きの簡素化及び迅速化の方策を講ずる。 |
4.課題の選定等
(1) | 利用研究課題は、利用研究課題選定委員会によって選定される。 |
(2) | 利用研究課題選定委員会の下には、利用研究分野に応じて、複数の分科会を設置することができる。 |
(3) | 分科会は、利用研究課題選定委員会の構成員または学識経験者の中から、理事長が委嘱又は指名する専門委員から構成し、その主査は諮問委員会委員長の指名による。 |
(4) | 分科会は、利用研究課題選定委員会の指示により、課題の審査ならびにビームタイムの配分等を行い、その結果を同委員会に報告する。 |
(5) | 利用研究課題の選定にあたり分科会は、必要に応じて利用研究課題選定委員会の主査を通じて、国外を含む外部専門家の意見を聴取することが出来ることとする。分科会の設置等については別途定める。 |
(6) | 利用研究課題選定委員会は、分科会の審査結果等を審議し、結果を機構及び諮問委員会に報告する。 |
5.緊急課題への対応
(1) | 利用研究課題のうち、緊急でかつ極めて重要と思われる利用提案を緊急課題とし随時受け付ける。 |
(2) | 緊急課題は分科会において随時迅速に審査され、その結果は利用研究課題選定委員会主査の了承を得て機構に報告する。 |
(3) | 緊急課題の審査結果については、分科会から利用研究課題選定委員会を通じて諮問委員会に報告する。 |
6.機構によるビームタイムの確保
機構による加速器、ビームラインの性能向上及び施設利用研究促進に資する研究、ならびに、緊急課題に対応するため、一定割合のビームタイムを機構が留保するものとする。なお、機構が留保することができるビームタイムは別途定める。
7.その他の留意事項
利用料に関する考え方等については、今後別途定めることとする。
SPring-8のビームライン
SPring-8に設置される61本のビームラインは、利用研究の形態により、次の4つに区分されます。
(1) | 共同利用ビームライン | |
広く内外の研究者に開放する共用施設 | ||
(本誌「共同利用ビームライン」コーナーを参照) | ||
(2) | 専用ビームライン | |
特定機関が自ら設置し、一定期間占有する専用施設 | ||
(本誌「専用ビームライン」コーナーを参照) | ||
(3) | 原研/理研ビームライン | |
原研及び理研の独自の研究に使用する施設 | ||
原研ビームライン | ||
重元素科学BL、X線・γ線科学BL、光学材料開発BL | ||
理研ビームライン | ||
構造生物学1BL、構造生物学2BL、X線干渉光学BL | ||
(4) | R&D用ビームライン等 | |
電子ビームの診断、光学素子の耐熱試験及び照射試験等に用いるビームライン | ||
高フラックス(光学素子、基幹チャンネル機器試験)、マイクロビームイメージング機器開発等 |