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Volume 26, No.3 Pages 268 - 271

3. 研究会等報告/WORKSHOP AND COMMITTEE REPORT

第21回SPring-8夏の学校を終えて
The 21th SPring-8 Summer School

八木 直人 YAGI Naoto

SPring-8夏の学校実行委員会 委員長 SPring-8 Summer School Executive Committee, Chair

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SPring-8

 

夏の学校の概要
 「第21回SPring-8夏の学校」は2021年7月11日(日)~7月14日(水)の4日間の日程で、全国23校から74名の学生の参加を得て、放射光普及棟およびSPring-8蓄積リング棟を会場として開校されました。この夏の学校は、SPring-8サイトに施設を持つ各機関((公財)高輝度光科学研究センター(JASRI)、理化学研究所・放射光科学研究センター、日本原子力研究開発機構・物質科学研究センター、量子科学技術研究開発機構・関西光科学研究所)と、これらの機関と連携大学院協定を持つ大学(兵庫県立大学理学部・大学院理学研究科、関西学院大学理学部・工学部・生命環境学部・大学院理工学研究科、岡山大学、茨城大学大学院理工学研究科)、およびSPring-8サイトにビームラインを持ち、そこで教育を行っている大学(東京大学放射光分野融合国際卓越拠点、大阪大学未来戦略光科学連携センター・蛋白質研究所・核物理研究センター)が主催して、ビームタイムや講師を供出し合って行ったものです。校長は関西学院大学教授の藤原明比古先生にお願いしました。実行委員会は主催団体のスタッフで構成され、事務局はJASRI利用推進部が行いました。なお、主催大学の中には夏の学校への参加を講義として単位認定しているところもあります。

 

図1 講義風景

 

 

カリキュラムについて
 夏の学校では通例として、初日に3講座、2日目に4講座の講義を行い、その後の2日間に2テーマの実習を行っています。また、SACLAとSPring-8実験ホールの見学、さらにはSPring-8蓄積リング(放射光発生装置)の見学が行われました。今年の実施スケジュールは以下の通りでした。

 

第21回SPring-8夏の学校 日程表 − 2021年7月11日(日)~14日(水)

 

 

ビームライン実習について
 実習は23ビームラインで行われました。実習のテーマと使用したビームラインおよび担当者(敬称略)は以下の通りです。

BL01B1 “その場”XAFS計測
(加藤和男・伊奈稔哲(JASRI))
BL02B1 単結晶構造解析の入門
(野上由夫(岡山大学)・杉本邦久・安田伸広・中村唯我(JASRI))
BL04B1 大容量高圧プレスと白色X線を用いたX線回折実験
(肥後祐司(JASRI/茨城大学)・丹下慶範(JASRI))
BL04B2 高エネルギーX線を用いたガラス・液体の構造解析
(尾原幸治・山田大貴・廣井慧(JASRI))
BL07LSU 合金の合成と光電子分光分析
(木村隆志・松田巌・原田慈久(東京大学))
BL10XU ダイヤモンドアンビルセルを用いた高圧X線回折実験
(平尾直久・河口沙織(JASRI))
BL11XU 半導体結晶成長のその場X線回折測定
(佐々木拓生(QST))
BL13XU サブミクロン集光放射光ビームによる局所領域回折実験
(木村滋・隅谷和嗣(JASRI))
BL14B2 XAFS分析の基礎
(大渕博宣・本間徹生(JASRI)・佐藤眞直(JASRI/岡山大学))
BL17SU 光電子顕微鏡~ナノ分解能で見る元素分布と磁気構造~
(大浦正樹(理研/関西学院大学)・濱本諭(理研))
BL19B2 粉末X線回折
(大坂恵一(JASRI)・佐藤眞直(JASRI/岡山大学))
BL22XU X線回折法を利用した金属材料応力・ひずみ評価
(菖蒲敬久・冨永亜希・藤森伸一(JAEA))
BL24XU マイクロビーム小角X線散乱による局所分析
(桑本滋生・漆原良昌・横山和司(ひょうご科学技術協会))
BL25SU 軟X線光電子分光と光電子ホログラフィー
(松下智裕(JASRI/奈良先端科学技術大学院大学)・橋本由介(奈良先端科学技術大学院大学)・室隆桂之・小谷佳範(JASRI))
BL31LEP GeV光ビームの生成と粒子・反粒子対の測定
(與曽井優・堀田智明(大阪大学)・村松憲仁・時安敦史(東北大学))
BL37XU X線分光イメージング計測の基礎
(菅大輝・関澤央輝・新田清文(JASRI))
BL40B2 小角X線散乱法を用いたタンパク質分子の構造解析
(八木直人・関口博史(JASRI))
BL41XU 単結晶回折(タンパク質)
(熊坂崇(JASRI/関西学院大学)・長谷川和也・河村高志・水野伸宏(JASRI)・山口峻英(茨城大学))
BL43IR 赤外顕微分光による組成分布と電子状態の解析
(森脇太郎・池本夕佳(JASRI))
BL43LXU Atomic Vibrations (Phonons) in a Simple Perovskite via Inelastic X-Ray Scattering
(Baron Alfred(JASRI/理研)・筒井智嗣(JASRI/茨城大学)・石川大介(JASRI))
BL44XU 単結晶回折(タンパク質)
(中川敦史・山下栄樹・櫻井啓介(大阪大学)・山口峻英(茨城大学))
BL46XU X線反射率
(小金澤智之・渡辺剛・安野聡(JASRI)・佐藤眞直(JASRI/岡山大学))
BL47XU 放射光X線イメージングと基礎データ解析
(安武正展・上杉健太朗(JASRI))

 

図2 実習風景

 

 

 昨年は新型コロナウイルス流行のため大きく参加者が減りましたが、今年はほぼ例年のレベルに戻りました。しかし、例年行っている懇親会やバーベキューは感染防止のため実施しておらず、夏の学校の重要な目的の一つである参加者間の交流は大きく制限されています。とはいえ、感染防止のためマスクを着用し、距離をあけての夏の学校であっても、終了後のアンケートの回答を見ると参加者同士でコミュニケーションをとる機会はあったようです。幸い期間中や帰宅後に新型コロナウイルス感染症にかかわる体調不良を訴える参加者はおらず、無事に終了することができました。
 今年からの新しい取り組みとして、5月から6月にかけてSPring-8/SACLA先端利用セミナー基礎編として、毎週1時間のX線に関するオンラインセミナーを8回行い、参加者に聴講するよう勧めました。多くの参加者にとって、基礎物理学を完全に理解するのは難しかったようですが、夏の学校の講義や実習を理解するための手助けになったようです。

 

 

謝辞
 新型コロナウイルスの感染が収まらない中で、熱意のこもった講義をしていただいた講師の先生方、2日間にわたる実習を熱心に指導していただいた実習担当の皆様、分かりやすい説明で参加者の興味を引きつけてくださった見学引率者の皆様、SPring-8蓄積リング放射光発生装置の見学を可能にして頂いたJASRI光源基盤部門の方々、SACLAの見学にご尽力いただいた理研およびJASRI関係者の方々に感謝いたします。また、事務局としてご努力いただいたJASRI事務局担当者の方々にも感謝したいと思います。

 

 

八木 直人 YAGI Naoto
(公財)高輝度光科学研究センター
〒679-5198 兵庫県佐用郡佐用町光都1-1-1
TEL : 0791-58-2750
e-mail : yagi@spring8.or.jp

 

 

 

 

第21回SPring-8夏の学校に参加して

 

 

近畿大学 農学研究科
米田 菜織

 

 

 私は、数回SPring-8で実験を行った経験があります。しかし、放射光に関して漠然とした知識しかなく、あまり原理を理解していませんでした。そこで、私自身の研究への理解を深めるため第21回SPring-8夏の学校に参加しました。
 夏の学校では全4日間の日程で講義、実習、実験施設の見学の日程が組まれています。講義では放射光の基礎から、X線のイメージングやXAFSの原理など応用的な講義まで幅広く学ぶことができました。今年は事前に放射光実験の基礎編としてオンラインセミナーが用意されており、それを視聴することで初心者の私でも基礎から学ぶことができたのでより理解を深めることができました。また、その分野の専門家の方から直接講義を聞き、質問をすることができるという機会は本当に貴重であり、とても素晴らしい経験をすることができたと感じています。
 実習では実際にビームラインを使った実習を体験することができます。私はBL40B2(小角X線散乱法を用いたタンパク質分子の構造解析)とBL41XU(単結晶解析(タンパク質))を選択しました。私自身はタンパク質の構造機能相関に関する研究を行っており、現在、結晶構造解析に取り組んでいます。自分の研究分野の知識をより深めるためこの2つを選択しました。BL40B2の小角X線散乱法を用いたタンパク質分子の構造解析では原理の説明、散乱データの収集から分子構造の予測まで行いました。丁寧に原理や方法の説明をしていただいたことで初めての実験でも考察をしながら進めることができました。BL41XUの単結晶解析(タンパク質)は、結晶のピックアップから、回折データの解析まで教えていただきました。担当の方に結晶化条件や抗凍結材の検討、結晶のピックアップのコツ、データの解析のアドバイスなど些細な質問にも丁寧に答えていただき、自分自身のスキルアップを実感することができました。私は自分の研究に近い実習を選択しましたが、普段の研究とは異なる分野の実習を選択しても基礎から教えていただき実際に実験ができるというのは夏の学校の非常に良い部分だと思います。
 実験施設の見学では、SACLAやSPring-8実験ホールに加えて、普段は見ることのできない蓄積リング(放射光発生装置)を見学しました。装置に関する説明を引率の方がしてくださり、講義の内容と照らし合わせてより理解を深めることができました。特に印象に残っているのは蓄積リング(放射光発生装置)の見学です。講義でも写真は出てきていたのですが、実際に見ることで大きな機械が精密に配置されていることをより実感することができました。普段は絶対に入ることのできない実験の舞台裏の見学という非常に得難い経験をさせていただきました。

 

図3 見学風景

 

 

 夏の学校は同年代の異なる分野の方々との交流をする機会になりました。学校や学年、研究分野が異なれば視点が大きく変わります。研究内容だけでなく、世間話でも情報交換をしていく中で新しい発想や視点に触れることはとても刺激になりました。コロナという状況で直接交流できる機会が減ってしまった中で同年代の学生と親睦を深めることができたこの4日間は本当に楽しく、さらに頑張ろうと研究へのモチベーションに繋がったと感じています。夏の学校に参加を考えている学生さんは、是非、参加してください。
 最後に、コロナという難しい状況の中で第21回SPring-8夏の学校を開催してくださった運営の皆様、講師の先生方、そして、ビームライン担当者の皆様に深く御礼申し上げます。閉じこもりがちになっていた中、このように交流の機会を与えていただいたことに心から感謝いたします。

 

図4 記念写真

 

 

Print ISSN 1341-9668
[ - Vol.15 No.4(2010)]
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