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Volume 26, No.2 Page 91

理事長室から -JASRI創立30周年を迎えて-
Message from President – Message Celebrating the 30th Anniversary of JASRI –

雨宮 慶幸 AMEMIYA Yoshiyuki

(公財)高輝度光科学研究センター 理事長 President of JASRI

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 公益財団法人高輝度光科学研究センター(JASRI)は、2020年12月で創立30周年を迎えました。
 JASRIの使命は、特定先端大型研究施設であるSPring-8/SACLAに関わる、①利用に対する支援、②利用者の選定、③施設の運転・保守、④技術開発です。

 SPring-8/SACLAから発生される目に見えない光(放射光)と目に見えないナノ物質世界が出会うことによって、ナノ物質世界の形や状態が可視化できるようになります。その可視化を通して、人類は自然界に対する理解を飛躍的に深めることができ、産業応用を通してより豊かな社会を実現することができます。ナノ物質世界を正しく見ることは、約2,500年前に釈尊が説いた八正道の第1番目の実践項目である正見(しょうけん)に相通じます。釈尊は、自分の心を正しく見つめること、すなわち、正見の重要性を説きました。現代科学は、放射光を通して自然界を構成しているナノ物質世界を正しく見つめることの重要性を説いています。COVID-19への対応も同様で、ナノ物質世界を正しく見つめることが重要です。心身共に豊かな社会を築く上で、賢人の教えと放射光科学の役割は車の両輪のような関係にあり、SPring-8/SACLAの存在意義は、益々大きくなっています。

 それに比例して、JASRIの使命も益々大きくなっています。SPring-8/SACLAの威力を最大限に発揮するには、設備・装置群への投資が必要なことは云うまでもありませんが、それを有効に利活用するための研究者・技術者・事務職員(以後、研究者)が重要な役割を担っています。JASRIの誇りは、その役割を担う、高い志を持った優秀な研究者を擁していること、すなわち、人材の宝庫であるということです。今後もそのような誇りを持って、JASRIは、設置者である理化学研究所、及び利用者コミュニティであるSPRUCと情報を密に共有して、ナノ物質世界を正しく見つめることを通して豊かな社会の構築に貢献していきたいと、その意を新たにしています。近い将来、SPring-8が高輝度化されSPring-8-IIが実現する予定です。光源だけでなく、研究者自身も高輝度に輝く高輝度研究者センターを目指したいと思っています。

 地球レベルの環境破壊が進む中、global commonsという視点が重要になってきました。自然は、地球規模で人類が共有している資産という意味です。と同時に、責任あるstewardship(管理・運営)が問われています。海外からを含む数多くの研究者が共用するSPring-8/SACLAはglobal commonsであると云ってもよく、そのstewardshipを担うJASRIには、大きな責任があると考えています。

 人類社会の持続的発展のために、そして、我が国が今後も科学技術分野で世界のトップランナーであり続けるために、SPring-8/SACLAにおける「場」の構築、「人」の育成、研究成果を通した「知」の創出に、JASRIは今後も貢献していく所存です。
 皆様、今後とも、よろしくお願い致します。

 

 

Print ISSN 1341-9668
[ - Vol.15 No.4(2010)]
Online ISSN 2187-4794