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Volume 26, No.2 Pages 179 - 180

4. SPring-8/SACLA通信/SPring-8/SACLA COMMUNICATIONS

SPring-8利用研究課題審査委員会を終えて 分科会主査報告8 −長期利用分科会−
Proposal Review Committee (PRC) Report by Subcommittee Chair – Long-term –

野村 昌治 NOMURA Masaharu

SPring-8利用研究課題審査委員会 長期利用分科会主査/高エネルギー加速器研究機構 High Energy Accelerator Research Organization

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SPring-8

 

 2019、2020年度の2年間にわたり、長期利用分科会の主査を担当しました。通常A期に向け課題審査を行いますが、2021A期に向けて予定されていた課題募集はCOVID-19の影響で2021B期に延期され、2020年度に予定されていた事後評価も延期されました。このため実質1回の分科会開催となりました。
 長期利用課題は、4期2年間有効の課題で、課題期間が長いため、一般課題の審査基準に加えて、
①長期の研究目標及び研究計画が明確に定められていること。
②以下のいずれかを達成するためにSPring-8を長期的かつ計画的に利用する必要があること。
 a. 科学技術分野における傑出した成果の創出
 b. 新しい研究領域及び研究手法の開拓
 c. 産業基盤技術の著しい向上
の2点が審査で考慮されます。申請課題の審査は、書類審査と面接審査の2段階で行われ、採択された課題は実施後に事後評価を行っています。
 本分科会は、施設外委員7名と施設内委員6名(人事異動に伴い途中で2名が交代)の13名で構成し、課題選定の書類審査、面接審査と実施課題の事後評価に加え、実施期間中、各期のビームタイム(以下、BT)配分を判断しました。
 長期利用課題は、SPring-8の目玉となる成果の創出を期待し、2年間にわたり一定のBTを配分する課題です。一方、これにより一般課題のBTを過度に圧迫することを避けるため、長期利用課題のシフト配分調整や課題募集制限を適宜判断することとされています。このため、本分科会では、上述した研究の質の高さは当然のこととし、それぞれのビームライン(以下、BL)の状況を踏まえた上で、半年ごとの一般課題の積み重ねでは期待する成果を上げることが容易でなく、2年間にわたり長期利用課題として実施する必然性も重視し、慎重に課題採択について検討しました。議論を経て、2020A期は12件の申請の中から以下の課題を採択しました。研究内容等についてはSPring-8/SACLA利用者情報Vol.25 No.2を参照してください。

 

[2020A期採択課題]
藤田 誠 課題 BL26B1、BL41XU
豊島 近 課題 BL41XU
中村 孝 課題 BL20XU
高橋 嘉夫 課題 BL01B1、BL37XU
矢代 航 課題 BL28B2

 

 採択された課題は長期的、計画的に実施することが重要であるため、申請時に描いた各期の計画に照らして進捗状況を把握することが重要と考えました。研究の進捗状況に応じて計画を修正することは希ではないので、修正点も含めて把握出来ることが重要と考えました。この点についてJASRIには、課題責任者の負担が過度にならずに、委員会として的確な判断を行えるように工夫をお願いし、進捗状況を把握し易くなりました。各期のBTは、申請者の要求シフト数及びBL担当者による推奨シフト数を尊重して配分しました。各期に1課題に割り当てられるBTは16%を上限とされており、それに従いましたが、社会的関心の高い課題等で、この枠により成果が制限されないようにすべきか、SPring-8としての戦略とも絡めて検討することを依頼しました。
 課題実施後の研究成果は課題責任者による報告がSPring-8/SACLA利用者情報に掲載されている/される予定ですので、詳細はそれらを参照してください。全般的には、長期的、計画的にBTを活用することによって初めて得られる研究がなされ、インパクトの高い論文誌に論文が出版されていました。
 今後、長期利用課題を申請される方には、一般課題の積み上げでなく長期利用課題とし、2年間にわたってどのようなステップを経て研究を進めることで、SPring-8の利用成果がどのように高まるかという点を意識して申請書を書いていただきたいと思います。
 COVID-19流行のために、かなりの変更を余儀なくされましたが、申請課題に対する書類審査と面接審査、BT配分から事後評価まで、長期利用課題のあるべき姿とSPring-8におけるBT配分について慎重に議論していただいた委員の皆様に感謝いたします。また、長期利用課題の進捗状況把握や委員会に向け、万全の事前準備をしていただいた事務局に感謝いたします。

 

 

 

野村 昌治 NOMURA Masaharu
高エネルギー加速器研究機構
〒305-0801 つくば市大穂1-1
TEL : 029-879-6293
e-mail : masaharu.nomura@kek.jp

 

 

Print ISSN 1341-9668
[ - Vol.15 No.4(2010)]
Online ISSN 2187-4794