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Volume 26, No.2 Page 178

4. SPring-8/SACLA通信/SPring-8/SACLA COMMUNICATIONS

SPring-8利用研究課題審査委員会を終えて 分科会主査報告7 −先進技術産業応用分科会−
Proposal Review Committee (PRC) Report by Subcommittee Chair – Industrial Application using Advanced Technology –

野村 昌治 NOMURA Masaharu

SPring-8利用研究課題審査委員会 先進技術産業応用分科会主査/高エネルギー加速器研究機構 High Energy Accelerator Research Organization

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SPring-8

 

 2019A期から2020B期までの2年間の指定で、重点研究課題領域指定型「先進技術活用による産業応用課題」(以下、本課題種)が設けられ、施設外委員4名と施設内委員1名の計5名の委員で構成する先進技術産業応用分科会が申請課題の審査にあたりました。COVID-19のために2020B期の課題募集がなくなり、2020Aの追加申請課題の審査が行われました。以下に、当分科会の活動経過等を記します。
 先進技術活用による産業応用課題は、「産業応用を志向する実験責任者が、今までに利用経験がないSPring-8の測定技術を新たに利活用することによって、高度な課題解決および新たな利用ニーズの発掘を推進することを目的とした産業利用分野の課題」とされていました[1][1] SPring-8/SACLA利用者情報 23 (2018) 376.。「XAFS測定をしていた方が、初めてHAXPES測定を行う場合」等複数の事例が示され、課題申請者にとって初めての手法を使い、成果に結びつけるため、申請に先立ってビームライン担当者と相談することとされ、他分科に先行して、優先的に課題を採択し、シフト配分を行いました。
 他の分科同様にレフェリーによる検討を参考にして審査を行いました。期間中に30課題の申請があり、その内17課題を採択しました。コンプトン散乱イメージング実験の提案が多数ありましたが、一般課題を過度に圧迫しないよう定められた配分シフト数の制約を受けたり、募集要項で求めている条件を満たしていないため、当分科としては採択出来なかった課題もありました。採択出来なかった課題は一般課題として審査され、一部は採択されました。
 申請書に、申請に至るまでの研究概要(何が分かっていて、何が未解明か)や期待するアウトプットだけでなく申請課題の実施により得られると考えるアウトカムに関する記述の充実を分科会から求めました。
 分科会は申請された課題の審査が主務ですが、より多くの方々に活用していただくための方策等に関する議論にも時間を割きました。その中で、本課題種の趣旨を活かすために募集要項に記す事例の充実を行うとともに、広報活動や日常的にユーザーに接し、ユーザーニーズを理解しているビームライン担当者からユーザーへ働きかけることをお願いしました。SPring-8シンポジウム、産業利用報告会、研修会等での広報活動の他、ビームライン担当者やユーザーからの勧誘活動が行われ、これらは申請数の増に結びつき、有効に機能したと判断されます。また、事前相談の成果か、申請書の内容も回を追う毎に充実してきました。利用経験のない手法への挑戦を促すという性格より、同一測定技術を利活用する申請は2回までとされましたが、課題終了後に一般課題や成果専有課題を利用して研究を継続・発展させている例もあり、本課題種が有効に機能したものと判断出来ます。放射光は重要な研究ツールの1つとして定着してきましたが、産業利用に限らず、物質・生命科学等の研究者に対する同様な活動も日本の研究力強化に有効と考えられます。
 課題審査にご尽力いただいた委員、制度活用にご尽力いただき、委員会に向け万全の準備や解析をしていただいたJASRIスタッフの皆様に感謝いたします。

 

 

[1] SPring-8/SACLA利用者情報 23 (2018) 376.

 

 

 

野村 昌治 NOMURA Masaharu
高エネルギー加速器研究機構
〒305-0801 つくば市大穂1-1
TEL : 029-879-6293
e-mail : masaharu.nomura@kek.jp

 

 

Print ISSN 1341-9668
[ - Vol.15 No.4(2010)]
Online ISSN 2187-4794