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Volume 25, No.4 Pages 341 - 346

3. SPring-8/SACLA通信/SPring-8/SACLA COMMUNICATIONS

専用ビームラインにおける評価・審査の結果について
Review Results of Contract Beamlines

(公財)高輝度光科学研究センター 利用推進部 User Administration Division, JASRI

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SPring-8

 

 SPring-8に設置されている専用ビームラインは、登録施設利用促進機関であるJASRIの専用施設審査委員会において、「放射光専用施設の設置計画の選定に関する基本的考え方」に基づき、評価・審査等を実施し、その評価・審査の結果は、SPring-8選定委員会に諮った後に通知・公表されます。
 以下の3本の専用ビームラインについては、契約期間の満了に伴い設置者より「延長」「再契約」「撤去」の意思表示があったことから、2020年7月に専用施設審査委員会(以下、本委員会という)で評価・審査を実施し、その評価・審査の結果を2020年9月に開催しましたSPring-8選定委員会において承認されましたので以下、報告します。

 

 

利用状況等評価/延長計画審査・次期計画審査
・レーザー電子光ビームライン(BL33LEP)
・レーザー電子光IIビームライン(BL31LEP)
 (設置者:国立大学法人大阪大学核物理研究センター)
契約期間満了に伴う評価(事後評価)
・先端触媒構造反応リアルタイム計測ビームライン(BL36XU)
 (設置者:国立大学法人電気通信大学)

 

 

 国立大学法人大阪大学核物理研究センター(RCNP)が設置したレーザー電子光ビームライン(BL33LEP)およびレーザー電子光IIビームライン(BL31LEP)は、契約に基づき設置期間の満了の1年前の意思表示によりBL33LEPについては5年間の契約延長、BL31LEPについては、10年間の再契約の希望があり、本委員会で利用状況等の評価と延長計画・次期計画の審査を実施しました。
 評価・審査の結果は、BL33LEPは、延長計画の妥当性に疑問があったことやBL31LEPへマンパワー等のリソースを集中すべきとの意見より「中止・撤去」を勧告することとし、BL31LEPについては、次期計画は承認するが、契約期間は6年、3年後に中間評価を行うこととなりました。
 国立大学法人電気通信大学が設置した先端触媒構造反応リアルタイム計測ビームライン(BL36XU)については、設置期間の満了の1年前の意思表示で2020年2月末をもって利用を停止し、撤去(理研への設備の譲渡)の申し出があったことから、契約に基づき本委員会で契約期間満了に伴う評価(事後評価)を実施しました。
 事後評価の結果は、燃料電池研究専用ビームラインとして、世界最高水準の装置群を立ち上げ維持してきたこと、利用成果については、国際的にレベルが高く、独自性の高い成果が着実に得られており、当初の設置目的を十分に達成した専用ビームラインであると高く評価されました。

 

 評価・審査結果の詳細については、以下、各施設の報告書を参照ください。

 

 

レーザー電子光ビームライン(BL33LEP)利用状況等評価及び延長計画審査報告書

 

 レーザー電子光ビームライン(BL33LEP)は、国立大学法人大阪大学核物理研究センター(RCNP)が、SPring-8に設置した1本目のレーザー電子光利用のための専用ビームラインである。このLEPS実験施設は、GeV領域の高エネルギーガンマ線を、逆コンプトン散乱法により生成する極めてユニークな施設として2000年より実験を開始し、第1期(10年)、第2期(6年)を経て、現在、第3期(6年)を終えつつある。その研究の目的は、物質の基本粒子であるバリオン及びメソンの構造とそれらの間に働く力を、その構成要素であるクォークのレベルで理解することである。一方、これと並行して更なるビーム強度の増強と検出器アクセプタンスの改善を目指して、二本目のビームライン(BL31LEP)の利用が進められている。
 専用施設審査委員会は、この二つの専用ビームラインの運営に責任を持つ国立大学法人大阪大学核物理研究センター、および国立大学法人東北大学電子光理学研究センターから本委員会に提出された「レーザー電子光ビームライン(BL33LEP)第3期利用状況等報告書」、「レーザー電子光ビームライン(BL33LEP)延長計画書」と、2020年7月28日に開催された委員会での報告および討議に基づき、利用状況等の評価及び延長計画の審査を行った。その結果、現時点で当該ビームラインを閉じるべきであり、延長は認められないと結論した。
 以下に、各項目に関する評価結果と提言を記す。

 

1. 「ビームラインとステーションの構成と性能」に対する評価
 一本目のレーザー電子光ビームラインとして、基本的なビームラインの性能は確保されている。266 nmレーザーの使用により最大2.9 GeVまでのガンマ線の利用が可能である。
 一方で、建設から20年を超え装置の老朽化の問題は顕在化しており、当該期間のアクティビティにも影響が現れている。2006年より開発を進めていた偏極重水化水素(偏極HD)標的においては、希釈冷凍機に大きな故障が起こり、加えて、深刻なヘリウム供給問題を抱えている。結果として、偏極HD標的の開発は遅れている。

 

2. 「施設運用及び利用体制」に対する評価
 世界に同様の施設のないLEPの利用を適切に進めるにあたり、Q-PACによる国際的な課題審査に基づく利用体制は評価できる。
 前回中間評価における指摘事項も反映し、マニュアル整備、ガイドライン作成、安全点検の実施、安全教育の実施などが行われ、安全確保の取り組みは一定の改善がみられる。運用体制における課題はBL31LEPとほぼ同一の人員で、このBL33LEPのビームラインの管理をしていることである。最近、ビームシャッタのトラブルによるビームアボートを引き起こしたが、これはビームラインの特殊性も相まって維持管理体制が十分でないことの表れと考えられる。一方のBL31LEPにおいてもビームシャッタの特殊性に起因するビームアボート事例が発生しており、これらのトラブル事例は本質的なリソースの不足を伺わせるものとなっている。研究体制だけでなく、ビームラインの運用、維持管理体制をしっかりと確保することがBL31LEP、BL33LEPを合わせた課題となっており、改善が望まれる。

 

3. 「利用成果」に対する評価
 本ビームラインでは、長年にわたりΘ+の発見という大きなインパクトを世界に与え、たとえば、CERNの最近の新しいペンタクォークの発見にも多大な影響を与えた。しかしながら、成果報告で示された統計的有意性2.4 σでは決定的証拠というには不十分である。統計精度を改善し、解析過程の曖昧性を低減した総合結果が近日中に出る予定とのことであり、期待したい。Θ+の検証におけるBL33LEPの役割は、今回の総合結果の発表により完了した。さらなる検証に関しては大きな立体角を覆いより良い不変質量分解能をもつBL31LEPに期待する。
 円偏光ビームの生成やバンチ化レーザーの実用化など、実験技術面での成果は評価できるものの、偏極HD標的の故障のため、データ収集の見込みは立っておらず、この利用期間における成果はあまり出ていない。今後もヘリウムの供給問題などを抱え、偏極HD標的の実験の実施には困難が伴うものと予想される。

 

4. 「延長計画」に対する評価
 Θ+の検証実験は、より統計精度を上げ、かつ、解析過程の曖昧性を改善可能なBL31LEPにおける実験に移り、BL33LEPにおける延長計画は、偏極HD標的を用いた実験を中心として進めることが提案されている。
 偏極HD標的に関しては、個別の性能試験が終わり総合試験に移行しつつあるとは言え、これまでもトラブルなどにより進捗が遅れ、度々延長されてきた計画である。ビームラインの老朽化も加わり希望する延長期間内において確実に実施できるようには判断できない。DAQの老朽化が原因とはいえ、最初の2年間に物理実験が実質できないことも実施計画として評価できない。また、核子内ss検出も、必ずしも見通しが立っていない偏極HD標的の完成が前提になっており、不確定要素が大きい。
 提案されている実験自身は価値があると考えるが、現実の環境を勘案して計画を練り直すことが望ましい。偏極HDのテストは他の場所で入念に行い、見通しがついた場合には、BL31LEPで行うといった方策を検討することを推奨する。
 BGOeggやLEPS2/TPCなどの優れた検出器を持つBL31LEPと比較して、20年に亘るレガシー検出器からなるBL33LEPは、若手人材の育成に関しても役目を終えようとしている。特に気になる点として、これからの活躍が期待される、プロジェクトの中心として活躍してきた若手の分野外への転出がある。

 

延長の是非について
 このビームラインの役目は、ほぼ終了したと判断でき、また、人員面や経費面を考えると電子光ビームラインはBL31LEPの一本に絞るべきと考える。従って当委員会としては、「中止・撤去」を勧告する。
 ただし、今期での利用停止を前提としつつ、施設者と協議の上での柔軟な停止措置や移行措置のために若干の占有延長(※)は許容する。
※RCNPが運用する共同利用施設としての後処理、機能をBL31LEPに集約するために必要な最低限の開発やデータ取得等で最大半年程度。

以上

 

 

レーザー電子光IIビームライン(BL31LEP)利用状況等評価及び次期計画審査報告書

 

 レーザー電子光IIビームライン(BL31LEP)は、国立大学法人大阪大学核物理研究センター(RCNP)が、SPring-8に設置した2本目の専用ビームラインであり、その研究の目的は、物質の基本粒子であるバリオン及びメソンの構造とそれらの間に働く力を、その構成要素であるクォークのレベルで理解することである。第2のビームラインを建設するLEPS2プロジェクトは、2006年度より検討開始、2010年から建設に入り、2014年度から物理実験が行われている。
 国立大学法人大阪大学核物理研究センターから本委員会に提出された「レーザー電子光ビームラインII(BL31LEP)利用状況等報告書」、「レーザー電子光ビームラインII(BL31LEP)次期計画書」と2020年7月28日に開催された委員会での報告および討議に基づき中間評価後の利用状況および次期計画の妥当性について審査した。その結果、次期計画のための再契約は妥当であると判断した。なお、次期計画は10年間として提案されているが、ビームライン自身の進捗に加えSPring-8の次期計画の進捗に応じた見直し等が必要と考えられることから契約期間は6年とし、3年後を目途に中間評価を行うことを勧告する。
 以下にその評価と提言を記す。

 

1. 「ビームラインとステーションの構成と性能」に対する評価
 BL33LEPとはカバーする散乱角範囲が相補的で、検出器等も異なることを除けば、SPring-8の長直線部をレーザー・電子相互作用領域として使用するなど、BL33LEPよりもさらに高強度のGeVガンマ線を生成でき、世界的にもユニークなビームラインと位置付けることができる。このビームラインにおいて、電磁カロリーメータBGOeggやソレノイド・スペクトロメータとの組み合わせにより他所では実施不可能な実験データを生み出すことが可能である。
 しかしながら、現状ではレーザーがフル稼働でなく、検出器故障などのトラブルもあり、必ずしも100%の性能を出して利用できているとは言えない状況にある。また、ソレノイド・スペクトロメータの建設において、TPCの故障、冷却水ポンプの故障などが重なり建設に遅れが生じている。

 

2. 「施設運用及び利用体制」に対する評価
 世界に同様の施設のないLEPの利用を適切に進めるにあたり、Q-PACによる国際的な課題審査に基づく利用体制は評価できる。
 利用体制における課題はBL33LEPと同じく、人員に余裕がないことである。BL31LEP、BL33LEP両ビームラインを合わせてビームラインを運営するには、現人員配置は少ない感が否めない。むしろ、一本に集中した方が、効率がはるかに上がると考えられる。人的資源、物的・経済的資源をこのビームラインに集約することが望ましい。
 本ビームラインの中間評価およびBL33LEPの中間評価における指摘を受けて、マニュアル整備、ガイドライン作成、安全点検、教育の実施などが行われ、安全面を含む運用には一定の改善がみられる。しかしながらビームライン二本体制におけるリソース不足により装置の使用・維持管理におけるマシントラブルが発生していることも事実(2020年上半期でBL33LEP、BL31LEPの2本で3回のビームアボートを発生させた)であり、装置の点検・維持管理、使用者教育なども含め、さらなる改善が求められる。

 

3. 「利用成果」に対する評価
 BGOegg実験の結果が出始め、η'中間子の原子核束縛状態の可能性に対する論文がPRLに出るなど一定の成果がみられる。しかしながら、η'中間子の原子核中の質量変化という観点では、まだこれからという感が強い。原子核中のハドロン質量変化の検証は明瞭な結果が得にくい研究テーマではあるが、データを積み重ねて明確な結論が得られるよう、努力してもらいたい。
 陽子標的からのπ0、η、ω中間子の光生成について高統計のデータを取得しており評価できる。これらの単一メソン生成断面積データは、基礎データの蓄積という意味でも重要であり、分野の発展のために不可欠である。
 ソレノイド・スペクトロメータを用いた実験に関しては、TPCの故障などで立ち上げが遅れており、成果が得られるのはこれからという状況にある。

 

4. 「次期計画」に対する評価
 BL31LEPは、BGOeggとLEPS2/TPCという2つの大型検出器系から構成される。それぞれが所期の性能を早期に発揮することが望まれる。Θ+の実験はBL33LEPから大きな立体角を覆いより良い不変質量分解能をもつBL31LEPに移行される。実験はトラブルにより建設が遅れていたソレノイド・スペクトロメータを用いて行われる。今年度中のスペクトロメータ全系の完成が望まれる。Θ+の検証は、当該研究グループにより自ら決着すべき課題と位置付けられるので、次期計画のなかでしっかりと取り組んでもらいたい。この他、ソレノイド・スペクトロメータを用いたΛ(1405)粒子の光生成の研究などが計画されている。
 第二期BGOegg実験においては、η'中間子の原子核中の質量減少の探索という観点で引き続き実験が行われる。こちらも次期計画のなかの主要なテーマと位置付けられる。
 将来的にはSPring-8-II(6 GeV)での軟X線による高エネルギーガンマ線の生成まで視野に入れているが、実現に向けては技術的な検討課題が多い。まずは、上記の実験に優先的に取り組むべきであろう。
 以上、次期計画実施のための再契約は妥当と認めるが、当該ビームライン自身の進捗、及びSPring-8の次期計画の進捗に応じた見直しが必要と考えられることから、契約期間は6年とし3年後を目途に中間評価を行うことを勧告する。

以上

 

 

先端触媒構造反応リアルタイム計測ビームライン(BL36XU)契約期間満了に伴う評価(事後評価)報告書

 

 設置者である国立大学法人電気通信大学から提出された事後評価報告書および口頭による報告発表にもとづき、ビームラインとステーションの構成と性能、施設運用及び利用体制、利用成果について、2020年7月28日に開催した第29回専用施設審査委員会で評価・審査を行った。その結果、施設運用に特段の不安はなく、利用状況及び利用成果も良好であることが確認され、当初の設置目的を十分に達成した専用ビームラインであると高く評価された。
 以下、項目毎の評価・審査結果の詳細を記載する。

 

1. 「装置の構成と性能」に対する評価
 BL36XUは、光源としてSPring-8標準真空封止型テーパードアンジュレータを採用しており、ビームライン構成も高時間分解クイックXAFS計測と100 nm集光ビーム形成を可能にするSPring-8標準デザインを用いて、高時間分解能・高空間分解能をもつXAFS計測装置を中心に整備が進められた。時間分解XAFS計測装置としては10 ms時間分解クイックXAFS計測装置、新規開発のガルバノモーター駆動分光器による800 µs時間分解クイックXAFS計測装置、さらには超高速計測用100 µs時間分解エネルギー分散XAFS計測装置が整備され、目的としている固体高分子形燃料電池電極触媒の化学反応過程および劣化過程のメカニズムの解明において、異なる時間スケールにそれぞれ対応したリアルタイム計測を実現した。一方、空間分解XAFS計測装置では、2次元走査型顕微XAFS計測装置、深さ分解XAFS計測装置、3次元ラミノグラフィXAFS計測装置、3次元XAFS-CT計測装置さらには、XAFSと相補的な情報を与える雰囲気制御型HAXPES装置を整備し、電池電極内に不均一に分布する電極触媒の計測など実燃料電池に対応した計測手法を提供してきた。更に、中間評価以降には、アンジュレータピンクビーム全散乱計測システムも立ち上げ、100 msでの固体高分子形燃料電池内の膜/電極接合体(MEA)の全散乱パターンの取得にも成功している。以上のように燃料電池研究専用ビームラインとして、世界最高水準の装置群を立ち上げ維持してきたことは高く評価される。

 

2. 「施設運用及び利用体制」に対する評価
 BL36XUは、NEDO燃料電池プロジェクトの専用ビームラインであり、ビームラインの維持管理、高度化およびユーザー支援は、電気通信大学SPring-8分室に常駐するビームライン担当者とテクニカルスタッフが行っており、当初計画に沿った性能目標を達成している。利用研究は主として運営グループである電気通信大学、分子科学研究所、名古屋大学がビームタイムの2/3を使用して実施しているが、最近はNEDO燃料電池プロジェクトに参画する他機関によるビームタイム実験も行われており、常駐の担当者や分析会社がサポートしている。運営グループからの申請課題は運営グループで審査し、他機関からの申請は、これにNEDOとFC-Cubicを加えた選定会議で審査している。このような運用体制は、燃料電池開発の基盤技術開発というプロジェクトの目的に沿ったものであり、ビームラインが安定に利用実験に供され、有効にビームタイムが活用されていることは評価できる。安全面においても、ガス供給排気装置を整備し、日々の巡視・点検が実施され、実験や持ち込み機器についてもビームライン担当者による確認、教育が適切にされてきたことで良好な運用がなされたと評価できる。

 

3. 「研究課題、内容、成果」に対する評価
 世界最高性能の時間分解・空間分解性能を有する先端XAFS/XRD/X線CT計測法、および雰囲気制御型HAXPES計測法を構築し、これによりNEDO燃料電池プロジェクトが目的としているin-situ実燃料電池実験に特化した研究課題が実施されている。放射光計測用に日本自動車研究所(JARI)標準型燃料電池セルを構築し、オペランドマルチ計測に適用し、反応機構のみならず、実燃料電池の開発に重要な劣化機構に関して多くの研究が行われていることは高く評価できる。オペランドXAFSイメージングでは加速劣化試験によりPt-Co合金の溶出や劣化を可視化し、またEXAFS-CTによってPt/C配位数の3Dマップを得るなど、従来まったく得られていなかった燃料電池内部における構造・化学状態情報の取得に成功している。さらに、これらオペランド可視化情報を基に、燃料電池が抱える様々な課題にアプローチするため、機械学習により劣化に関する情報を抽出しようという試みもなされており、情報科学を取り入れた取り組みとして評価できる。一方、雰囲気制御硬X線光電子分光法についても、分光器入り口のアパーチャーを縮小することにより完全大気圧下での計測に成功しただけでなく、固液界面の電気二重層の電位計測や、硫黄の化学種の同定など、応用面での成果が上がっている。全体として、Nature CommunicationsやAngewandte Chemie International Edition等の著名な海外のジャーナルを含め、年10報程度の利用研究論文が掲載されており、燃料電池プロジェクトという単一テーマを追求するビームラインとして成果は大変良好である。国際的にレベルが高く、しかも独自性の高い成果が着実に得られており、高く評価できる。

以上

 

 

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[ - Vol.15 No.4(2010)]
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