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Volume 24, No.4 Pages 468 - 470

4. SPring-8/SACLA通信/SPring-8/SACLA COMMUNICATIONS

タンパク質結晶自動測定について
SPring-8 PX-BL Automatic Data Collection

(公財)高輝度光科学研究センター 放射光利用研究基盤センター タンパク質結晶解析推進室 Protein Crystal Analysis Division, Center for Synchrotron Radiation Research, JASRI

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SPring-8

 

1. はじめに
 近年、タンパク質結晶解析における利用者のニーズは、回折測定の自動化など測定や解析の迅速化効率化と、微小結晶測定や超高分解能構造決定など高難度解析に二極化してきています。これらに対応するため、アンジュレータビームライン(ID-BL)のBL45XU、BL32XUでは、タンパク質結晶の自動測定環境を整備し、共用利用での本格運用を2019年9月30日(2019B期)より開始いたしました。
 自動測定では、利用者の方に凍結試料をSPring-8に宅配便でお送りいただき、サンプル情報や測定条件をお知らせいただくことで、来所不要の自動測定を実施し、測定後に試料と共に測定データと自動データ処理結果をお返しいたします。以下の内容をご確認の上、是非ご利用ください。

 

 

2. 概要
(1)タンパク質結晶自動測定
 自動測定を実現するために理研ビームラインBL32XUで開発された自動データ収集/データ処理システムZOOを実装しました[1][1] タンパク質結晶から自動でデータ収集する「ZOOシステム」を開発
(http://www.spring8.or.jp/ja/news_publications/press_release/2019/190207/)
。ZOOシステムでは、(1)サンプルチェンジャーSPACEによる試料の自動交換、(2)X線を用いた結晶位置の探索、(3)重篤な放射線損傷を回避したデータ収集、(4)自動データ処理システムKAMOの機能を統合し、自動かつシーケンシャルに測定が行われます[2][2] タンパク質微小結晶のための自動データ処理プログラムの開発
(http://www.spring8.or.jp/ja/news_publications/press_release/2018/180510/)
。データ収集においては、結晶の形状に応じて以下のような測定モードを選択できます。「位置固定データ収集法」は照射位置1ヵ所で測定、「ヘリカルデータ収集法」では2点間を移動しながら測定、「複数部分データ集積法」では複数の結晶から数度~十度分程度の微小角で測定します。
 この自動測定では、結晶を収容する共通規格の凍結保存容器UniPuck(16サンプルピン収容)の1パックの測定を1.5~2時間で完了します。SPACEにはUniPuckを8個搭載可能であり、128試料を12~16時間でデータ収集できます。

 

(2)対象ビームライン
1)BL45XU構造生物学IIIビームライン

 BL45XUは、5.7 × 1012~1.7 × 1013 photons/sec@12.4 keVの高強度ビームを用いた自動での回折実験ができるタンパク質結晶解析ビームラインです。膜タンパク質を含む十µmから数百µmまでの様々な大きさの凍結結晶を対象試料とし、ビームサイズを5(H) × 5(V)~50(H) × 50(V) µm2の範囲で切り替え、試料の交換・X線照射位置の決定・データ測定・データ処理を自動化した高効率な回折実験に対応します。

2)BL32XU理研ターゲットタンパクビームライン

 BL32XUでは、ビームサイズ1(H) × 1(V)~10(H) × 15(V) µm2の範囲で切り替えが可能で、7 × 1010~8 × 1012 photons/sec@12.4 keVの高フラックス微小ビームの利用が可能です。このビーム性能を最大限に活用し、膜タンパク質やタンパク質複合体など解析困難であった回折能が低い、もしくはサイズが10 µm以下の微小結晶からでも高分解能構造解析を実現してきました。最近では集光光学系の微調整により、1(H) × 1(V) µm2サイズで、2 × 1012 photonse/sec@12.4 keVでのハイパーフォーカスモードの利用により、サブミクロンのタンパク質結晶を用いてSS-ROX(serial synchrotron rotation crystallography)法[3][3] 凍結した試料を回転させる「SS-ROX法」を確立、汎用化へ(http://www.spring8.or.jp/ja/news_publications/press_release/2017/170105/)による自動データ収集も実現しています。

 

(3)利用実績
 2019A期の試験的運用では、成果専有課題の利用は10ユーザー(のべ12ユーザー)による19.5シフト(156時間)でした。1ビームタイムあたりの利用時間は0.25シフト(2時間)~1.5シフト(12時間)と様々です。その主な利用者は製薬企業となっています。
 BL32XU:4回(2ユーザー)
 BL45XU:14回(10ユーザー)
 成果非専有課題(BL45XUのみ集計)では、5ユーザーによる2.5シフト(20時間)でした。またBL32XUではユーザーが来所する測定においても、すでにほとんどが自動測定による運用となっております。

 

 

3. 利用時期、利用料金、試料、実験への立ち合いについて
(1)利用時期と手続き
 一般課題(成果非専有課題、成果専有課題)の場合は、例年5回行われるビームタイム希望調査の際に自動測定希望の旨をお知らせください。
 下記資料の「PX-BL自動測定の手続き(一般課題・来所無し)」をご参照ください。
 (http://bioxtal.spring8.or.jp/ja/users/Auto/PXBL_Auto_measurement_ja.pdf
 希望調査については、「2019B生命科学/タンパク質結晶構造解析分野の課題の運用について」の「3.詳細」、「3.3 利用時期」(http://www.spring8.or.jp/ja/users/proposals/call_for/protein_19b/)をご参照ください。
 成果専有時期指定課題の場合は申請を随時受け付けます。
 下記資料の「PX-BL自動測定の手続き(成果専有時期指定・来所無し)」をご参照ください。
 (http://bioxtal.spring8.or.jp/ja/users/Auto/PXBL_Auto_measurement_ja.pdf
 実施可能な日程については、ビームライン担当者にお問い合わせください。なお、これに伴い、タンパク質結晶解析ビームラインでの測定代行は運用を終了しました。

 

(2)放射線従事者登録について
 ユーザーが放射線管理区域に立ち入らない場合は、放射線従事者登録は不要です。

 

(3)利用料金
 成果専有利用の場合は、次の1)および2)の合計金額となります。
 成果非専有利用の場合は、2)の金額となります。
 自動測定1回あたりの最小時間は0.25シフト(2時間)となります(BL32XUについては、最小時間は1.5シフト(12時間)となります)。

1)ビーム使用料

 ビーム使用料は下記の金額となります。
成果専有(一般課題)料金相当:120,000円/2時間
成果専有(時期指定)料金相当:180,000円/2時間

2)消耗品実費負担相当額

 消耗品実費負担相当額として、定額分(2,680円/2時間)および従量分(測定中に使用した消耗品等の金額)を2時間単位で算出します。

3)利用時間の目安

 サンプル数と測定時間のおよその目安は、下記資料の「測定時間算出方法」、「ZOO自動測定平均測定時間実績」をご参照ください。
 (http://bioxtal.spring8.or.jp/ja/users/Auto/PXBL_Auto_measurement_ja.pdf

 

(4)測定試料
 測定試料は、生体高分子結晶のみを取り扱います。重原子誘導体等の重金属を微量含む試料については相談窓口にご相談ください。なお、JASRIが定める「ランク4」の化学薬品、即ち、取り扱いに際し、国または県の許可が必要な物質は、原則対象外とします。昆虫細胞で発現させた試料などの遺伝子組換え試料での実験の場合、担当者に事前に問い合わせください。

 

(5)測定可能な試料の保存形態について
 試料を金属製の共通規格ピンに搭載して液体窒素で凍結し、UniPuckに収納(16試料/パック)した状態での受け入れとなります。収納方法の詳細は、タンパク質結晶解析推進室ウェブページ(http://bioxtal.spring8.or.jp)をご覧ください。

 

 

4. 申込方法
 申込方法の詳細および各種様式は、下記資料の「PX-BL自動測定の手続き(一般課題・来所無し)」、「PX-BL自動測定の手続き(成果専有時期指定・来所無し)」をご参照ください。
 (http://bioxtal.spring8.or.jp/ja/users/Auto/PXBL_Auto_measurement_ja.pdf
 課題の種別ごとに申請方法が異なりますのでご注意ください。

 

 

5. 申請後の自動測定の流れ
(1)測定内容の打合せ
 自動測定サンプルシートに測定内容に関する内容を記述していただき、自動測定実施日の2日前までにメールにて送付していただきます。その内容を基に打ち合わせを行い、測定内容を決定します。

 

(2)自動測定実施前の試料準備
 試料は、UniPuckに収納し、自動測定実施日の前日まで必着にてご送付ください(送料は申請者負担となります)。また、「自動測定同意書」と、データコピー用のハードディスクドライブ、返信用の送り状を同梱してください。

 

(3)自動測定の実施
 送付された試料を担当者がビームラインのサンプルチェンジャーにセットし、実験の準備を行います。打ち合わせの内容に即した測定条件のインプットファイルに沿って測定が実行されます。また得られたデータは自動データ処理プログラムKAMOにより自動処理されます(ユーザーがデータ処理プログラムXDSのライセンスを所持されている場合に限ります)。

 

(4)自動測定実施後の流れ
 申請者に、測定データと測定レポートを送付します。申請者から送付されたハードディスクドライブに収納し、お送りいたします。あわせて、測定後の試料についてもお返しいたします(送料は申請者負担となります)。なお、解析はサービスには含まれておりませんのでご注意ください。
 試料および測定データを受領後、JASRIまで「試料等受領書」をご返信ください。受領書の受け取りを確認した後、測定データは消去いたします。
 また、成果専有課題の場合は申請者の所属機関に利用料金の請求書を送付しますので、利用料金をお支払いください。

 

 

6. その他
(1)関連するプレスリリース

[1] タンパク質結晶から自動でデータ収集する「ZOOシステム」を開発
http://www.spring8.or.jp/ja/news_publications/press_release/2019/190207/

[2] タンパク質微小結晶のための自動データ処理プログラムの開発
http://www.spring8.or.jp/ja/news_publications/press_release/2018/180510/

[3] 凍結した試料を回転させる「SS-ROX法」を確立、汎用化へ
http://www.spring8.or.jp/ja/news_publications/press_release/2017/170105/

 

(2)タンパク質結晶自動測定に関するお問い合わせ先

〒679-5198 兵庫県佐用郡佐用町光都1-1-1
公益財団法人高輝度光科学研究センター
放射光利用研究基盤センター
タンパク質結晶解析推進室
TEL : 0791-58-0833
e-mail : mail-in@spring8.or.jp

 

(3)オンライン課題登録/書類提出に関するお問い合わせ先

〒679-5198 兵庫県佐用郡佐用町光都1-1-1
公益財団法人高輝度光科学研究センター
利用推進部
TEL : 0791-58-0961
e-mail : sp8jasri@spring8.or.jp

 

 

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[ - Vol.15 No.4(2010)]
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