ページトップへ戻る

Volume 15, No.3 Page 200

4. SPring-8 通信/SPring-8 COMMUNICATIONS

2007A期実施開始の長期利用課題の事後評価について1
Post-Project Review of Long-term Proposals Starting in 2007A I

(財)高輝度光科学研究センター 利用業務部 User Administration Division, JASRI

pdfDownload PDF (12 KB)

 

 2007Aに採択された長期利用課題について、2009Bに3年間の実施期間を終了しましたので、5月に長期利用分科会による事後評価が行われました。

 事後評価は、長期利用分科会によるヒアリングの後、評価を行う形式にて行い、利用研究課題審査委員会で評価結果を取りまとめました。以下に対象となる長期利用課題のうち、評価を受けた1課題の評価結果を示します。研究内容については本誌157ページの「最近の研究から/長期利用課題報告」に実験責任者による紹介記事を掲載しています。

 なお、2007Aに採択された長期利用課題2課題のうちもう1課題については、今秋に評価を実施する予定です。

 

課題名:Nuclear Resonance Vibrational Spectroscopy (NRVS) of Iron-Sulfur Enzymes for Hydrogen Metabolism, Nitrogen Fixation, and Photosynthesis

実験責任者 Stephen P. Cramer (University of California)
採択時課題番号 2007A0015
ビームライン BL09XU
配分総シフト 252シフト

 

〔評価〕

 本課題の目的は、Fe-Sタンパク質の構造や機能に関する研究における、核共鳴振動分光法(NRVS)の有用性を示すことであった。実施期間中、代表者らは二種類のタンパク質に着目した。一つは、N2のアンモニアへの還元を触媒するニトロゲナーゼであり、もう一つはH2の生成や消費を触媒するヒドロゲナーゼである。希薄で、しかも鉄に少量のリガンドしか結合していない酵素試料のNRVS実験は困難であった。しかし申請者らはこの問題を、(1)試料の改良、(2)同位体ラベリング、(3)長時間平均化、(4)データ収集ソフトウェアの改良、によって克服した。これは、本研究において達成されたもっとも重要な業績である。もう一つの重要な業績は、NRVSデータをラマン分光やFT-IR分光のデータと組み合わせて用いたことである。申請者らはこのような技術的改良にもとづいて多数の論文発表を行い、申請者は多くの学会から招待講演を依頼され、さらに2010年のACS分析化学部門の分光分析賞を得ている。これらの事実は、本研究が成功裏に終了したことを示している。

 

 

Print ISSN 1341-9668
[ - Vol.15 No.4(2010)]
Online ISSN 2187-4794